中堅中小企業がM&Aに成功する3つのポイント

経営

中堅中小企業のM&Aは新型コロナウイルスの影響にも関わらず、依然として盛んに行われているようです。

一層の成長を目指す企業にも、経営の承継先を望む企業にもM&Aは有効なツールだと私自身も実感しています。

そこで私が最近M&Aに取り組まれるようになった企業を見て感じることから、中堅中小企業がM&Aを成功させる3つのポイントを挙げます。

仲介会社任せにしない

M&A仲介会社、提携先の地域金融機関からの情報をきっかけにM&Aに取り組まれる中堅中小企業が多いと思います。

仲介会社は名のとおりM&Aの相手方の紹介から、交渉、契約、実行まで双方のサポートをしてくれます。両手取引と呼ばれる形態の場合、売り手と買い手の双方が一つの仲介会社に手数料を支払うのです。

このような場合、片方の条件にこだわるより成約を優先しようとする気持ちが仲介会社に出ないとは言い切れません。

M&Aに関するリスクの見極め、重要な条件の意思表示は仲介会社任せとせず、当事者意識を持って臨むことがとても大切です。

必要なら仲介会社の他に適切な専門家を雇って、当社のリスクをしっかりと見極めるべきでしょう。

買収後に次のようなことが発覚することは避けねばなりません。

  • 多額の簿外債務が見つかった
  • 旧役員の不正が発覚した
  • 買収会社のキーパーソン二人が辞めてしまった
  • 買収会社の重要顧客が、旧役員が興した別会社に取引を移してしまった
  • 買収会社の組織風土がひどく荒れており、修復が難しい

契約に損害賠償条項があれば金銭的な補償や賠償は得ることはできるかも知れませんが、買収の効果が充分に得られない結果になる可能性もあるので要注意です。

買収の成否は交渉時から始まる

会社は単なるモノでもカネでもなく、経営者や社員の能力や思い、業務システムや仕組み、信用やブランドなど複雑なものから成り立っています。

それらは買収後に買い手である自社へスムーズによい状態で移管されなければなりません。

買収は契約日から始まるのでなく、契約書に書かれた実行日に始まるのでもありません。買収監査(デューデリジェンス)をしている時から始まっているのです。

買収前には対象企業の能力/リスクの見極めだけでなく移行に関するプランニングが、そして、買収後には計画のスピーディーな実行がとても大切です。

プランニングもなく移行にもたつけば、失われていくものも増えていくことでしょう。

買収の資金調達では安全マージンを取る

複数の企業買収を短期間に、かつ借入金によって実行する企業が増えている印象があります。

譲り受ける株式の対価の外に、譲り受ける企業の借入金を承継する場合も借入金によって買収することとほぼ同様です。

仲介会社は企業の売り情報が入ると、売却の実現性や価格の予想をもとに買い手候補をリスト化し、優先順位をつけて候補先企業に打診をしてきます。

外部から「優良」と認知される企業には企業売却の情報、そして買収資金の貸出提案が次々に舞い込んでいることがその一因ではないでしょうか。

自己資金に借入金を加えて投資することをテコの原理になぞらえ「財務レバレッジを効かせる」などと言います。

レバレッジを効かせることは実行スピードを手に入れることを意味しますが、買収企業の事業に不測の事態が起こった途端、そのレバレッジは逆回転をし始めます。

短期間に複数の企業買収を借入金主体で行うことは、相当に踏み込んだリスクテイクをすることにほかなりません。

持ち込まれる売却情報に都度ゞ反応するのでなく、買収による成長戦略と財務戦略を明確にして取り組むことが大切です。

「リスクテイクはダメ」いうことではなく、自社の資金調達余力や財務耐性を理解し、一定の安全マージンを設ける形でM&Aに臨まれるとよいでしょう。

アタックスグループでは、売り手・買い手のどちらかのアドバイザーとなって、中小企業のM&Aのサポートを行っています。

M&Aに関するご相談がございましたらお気軽にこちらからご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 廣瀬 明
1968年生まれ。企業再生、財務・事業デューデリジェンス業務、M&A、株式公開のサポート等に従事。中堅中小企業への豊富な支援業務を通じて培った知識と経験を活かし、現在大阪事務所のプロジェクトマネージャーとして活躍中。
廣瀬明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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