会社の未来を数字で語れますか?

利益計画

「利益計画は売上高から決めるのではないのですね」
先日、私が講師を務めたセミナーの終了後、ある社長様が仰った言葉です。

会社の状況をお聞きすると創業30年を迎え、直近10年間は安定的な成長を続けており、そのことから利益計画を立てたこともなく、それなりに売上も資金も増加していることに満足しているとの事でした。

しかし、
「数字に強くないので、決算書のどこをどう見たらよいかわかっていない」
とも。

なぜセミナーに参加されたのかをお聞きすると、
「このままの状況が続くとは思えない、業績の良い時に何をすべきなのか打ち手を探りたいのです・・・」

なるほど創業期から成長期を経て安定期に入ったが既に衰退期に入っており、過去の経験則や成功体験が通用しない事に気づいておられるようでした。

自社を外部環境に左右されない会社にしたいと考えておられるのだなと感じました。

では、当面この社長が策定すべき利益計画のポイントはなんでしょうか?
私は次の3つだと考えます。

<利益計画策定3つのポイント>

1.自社の収益構造を掴むこと。

月次の試算表や決算書(財務会計)は法律に基づいて作成されています。
よって株主や銀行など第三者への報告用には向いていますが、会社の収益構造を把握するのに適しているとは言えません。

管理会計を導入して、変動損益計算書を作成すれば、付加価値率や損益分岐点比率、労働分配率などを部門毎、商品毎に把握できます。これによって、正しい収益構造を俯瞰的に掴むことができます。

2.自社にとって利益がいくら必要か把握すること。

「経営計画を作成していますか?」との問いにyesと回答する方は約50%ですが、では「利益がいくら必要ですか?」の問いに即答できる方は少ないと思われます。

税金の支払い、株主への配当金、銀行への返済、社員への還元、翌期以降売上を獲得するための戦略予算などは、すべて利益が原資になります。だから必要利益を決めることが重要なのです。

3.計画は逆算して考える。

損益計算書や社内で作成する数値資料の特徴は、上から下へ結果を導いています。
例えば、売上高-売上原価=売上総利益、売上総利益-販売費・一般管理費等=経常利益のように・・・。

その思考で計画を立てた場合、「今期は100の売上を達成したので来期の売上目標は105としよう、そうすると売上総利益は30となるだろうから販売費・一般管理費等は25なので経常利益は5となる」

5の利益がでる場合はまだ良いですが仮にマイナスとなった場合、黒字計画にするため売上高を増加させるというのはよくあることです。しかし、いわゆる鉛筆を舐めながら作る計画は極めて説得力が低く、特にむやみに売上目標を増やすと営業の方々には苦痛の種となります。

逆算する場合は次のプロセスになります。

(1) 必要利益を決めます
(2) 固定費を決めます
すると
(3) 粗利益が決まります
次に粗利益を獲得する為に
(4) 商品(サービス)の原価(変動費)を決めます
(5) 利益を含んだ販売額を決めます
(6) 販売すべき数量が決まります
=(7) 売上高が決まります

つまり、利益計画において売上額は「決める」のではなく「決まる」のであり、もはや目標(達成を目指すもの)ではなく必達(達成しないといけないもの)になる事がお分かりいただけると思います。

この思考を辿ると数字に対する感覚が鋭くなります。自分で(又は幹部と共に)作り上げた数値ですから、それが意味する根拠も明確になります。会社の未来を数字で語れる経営者になる第一歩なのです。

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筆者紹介

アタックス税理士法人 主任コンサルタント 岡田昌樹

アタックス税理士法人 主任コンサルタント 岡田昌樹
1985年 名古屋商科大学卒。入社以来、一貫して税務関係業務に従事する。専門性の高い税務を噛み砕いて判りやすく指導する事に定評があるとともに、幅広い顧客のサポートをしてきた経験から最近では特に中小企業が抱える諸問題の相談に軸足をおいて活躍中。「face to face」を基本に、社長の身近な存在であり続けることがモットーである。
岡田昌樹の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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