コロナ禍で考えるキャッシュフロー経営の重要性

会計

キャッシュフロー経営の要諦は古くからいわれてきたことですが、「入るを計りて、出ずるを制す」です。

キャッシュフロー経営とは、いかにしてキャッシュを稼ぎだすか、そして稼ぎ出したキャッシュをいかに効率的に活用するかを考えて経営の舵取りを行うことです。

経営の神様と言われた松下幸之助氏の経営の持論に「ダム経営」があります。

経営のあらゆる面にダムを持つことによって、外部の諸情勢の変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げていけるようにするというのがダム経営の考え方である
(松下幸之助:実践経営哲学)

ダムには設備、人員、在庫、技術などがありますが、1番重要となるのは資金のダムであり、松下幸之助氏はキャッシュフロー経営を実践していました。

今回のコロナパンデミックで多くの企業が資金繰りで悩んでいますが、十分な資金のダムがある企業は余裕を持ってこの危機に対処しています。

利益とキャッシュフローは違う

キャッシュフロー計算書は
①営業キャッシュフロー
②投資キャッシュフロー
③財務キャッシュフロー
の3つに区分表示されます(間接法)。

▼キャッシュフロー計算書の見方についてはこちら

この構造を理解すると「利益とキャッシュフローは違う」ということが容易に理解できます。

損益計算上の利益は減価償却の方法や在庫の評価方法など、会計処理の方法を変更することによって、いく通りにも計算されてしまいます。

しかし、キャッシュは現実に存在するものであって、事実を正確に表しており、嘘をつきません。「利益は意見であるが、現金は事実である」ということです。

キャッシュフロー経営では、損益計算上の利益とともにキャッシュの動きにも注意を払って経営を行うことになります。

フリーキャッシュフローで未来投資を

「営業キャッシュフロー」から「投資キャッシュフロー」を差し引いた金額を「フリーキャッシュフロー」といいます。

フリーキャッシュフローは、会社が将来、成長、発展するために自由に使えるキャッシュであるといえます。

筆者の顧問先で、フローキャッシュフローを潤沢に留保し、銀行借入を一切しないで大型の新規投資を行っている事例が数多くあります。このような会社はいずれも勝ち組企業です。

営業活動で稼ぎ出した「営業キャッシュフロー」を現状の事業を維持するための投資に使う。

余剰となった「フリーキャッシュフロー」は何年間か会社内部に蓄積しておく。

タイミングを見計らって「フリーキャッシュフロー」を使って会社の成長発展のための未来投資を戦略的に実行する。

これがデフレ時代の勝ち組の理想的な経営です。

キャッシュフローを改善する

フリーキャッシュフローを増やすには、まず営業キャッシュフローを増やす工夫をしなければなりません。本業により安定したキャッシュフローを稼ぎ出すことができない会社は長期的には存続することができません。

営業キャッシュフローを増やす一番の方策は利益を上げることです。あわせて、売掛金、在庫といった運転資金を圧縮することです。

次に、投資活動に支出される投資キャッシュフローも厳選することです。

そのためには製造設備、備品、車両、といった資産は将来キャッシュフローを獲得するためのコストと考え、キャッシュを生まない無駄な投資はしないことです。

投資をする場合は、多少性能が劣っていても中古品で代替する、あるいはメンテナンスをこまめに行い、なるべく長期間利用することなども検討すべきでしょう。不必要な遊休資産の売却処分なども行うべきです。

以上のようにフリーキャッシュフローを会社内に貯める方策は、結局のところ、損益計算書の損益分岐点を引き下げて営業利益を増やすことと、貸借対照表の資産スリム化により資産の効率運用を図ることです。


※CF・・・キャッシュフローの略
※FCF・・・フリーキャッシュフローの略

フリーキャッシュフローのマイナスが続く企業はいずれ資金不足に陥り、倒産に追い込まれてしまいます。経営者はなんとしてもフリーキャッシュフローを稼ぎ出さねばなりません。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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