部門別業績管理で必要となる業績測定ルール

「業績測定ルール」には社員の理解と納得が不可欠

部門別業績管理の構築で一番問題となり骨の折れる作業は、「業績測定ルール」と「成果配分ルール」を決定することです。

この二つのルールについて社員の理解と納得が得られない状況で部門別業績管理制度を導入すると、社員の不満と不安が増し、かえってやる気とモチベーションを下げてしまいます。

一般的には「業績測定ルール」を決定し、1~2年程度運用し、社員の納得が得られるようにルールの修正改良を行います

その後に「成果配分ルール」を決定し、社員に支給される賞与の一定額を成果配分賞与に切り換えます。

賞与の中には生活給的な部分も含まれているため、賞与のすべてを成果配分賞与にすることは好ましくありません。

さて、部門別業績測定ルールを決める上での重要な点は次の通りです。

(1)間接費の配賦

本社管理部門(経理、総務、人事など)、共通サービス部門(電算室、物流など)といったコストセンターで発生する経費をプロフィットセンターへ配賦するルールを決めなければなりません。

一般にコストセンターで発生する経費は次のような基準によってプロフィットセンターへ配賦されます。

  • 売上高基準…各部門の売上高の実績によって配賦する。
  • 粗利益基準…各部門の粗利益の実績によって配賦する。
  • 資産残高基準…売上債権、棚卸資産、固定資産などの各部門の資産残高によって配賦する。
  • 人員数基準…各部門に所属する人員数によって配賦する。
  • 人件費基準…各部門の人件費によって配賦する。
  • 使用実績基準…事務処理、業務代行などを各部門の使用実績によって配賦する。

 
以上のような配賦基準を使って、具体的には次のような形で配賦計算が行われます。

  • 広告宣伝費のように売上に関係する経費は、「売上高基準」あるいは「粗利益基準」で配賦されます。
  • 福利厚生費、水道光熱費といった人員と関係の深い経費は、「人員数基準」か「人件費基準」で配賦されます。
  • 支払利息は、「資産残高基準」で配賦されます。
  • コンピュータ部門、物流部門などのコストセンターの経費は、部門発生コスト全体を部門費として集計し、プロフィットセンターへ「使用実績基準」で配賦することが望ましいでしょう。

 

(2)内部取引と振替価格

工場のように、もっぱら製造を担当し、販売は販売部門が行うといった、社外との直接取引がなく収益の発生しない部門を擬似的にプロフィットセンターとする場合は、この部門の仕事を内部取引と見て収益計算を行うことが必要となります。

このような内部取引で利用される内部取引価格を振替価格と言いますが、この振替価格の合理的な基準は、販売部門と製造部門が買い手と売り手の立場で交渉し、納得した市価(マーケットプライス)にします。

工場と販売部門との関係で言えば、販売部門は工場から振替価格によって製品を仕入れ、それを顧客へ販売して利益を得ることになりますし、工場では販売部門からの収益(内部取引)から材料費、外注費、人材費といった製造費用を差し引いた残りが利益となります。

工場から購入する製品や部品の振替価格が市価に比べて高すぎる時は、購入部門は工場に値引き交渉をすることができ、場合によっては他社から調達しても良い(このことを忌避宣言権と言います)と認めている会社もあります。

なお、業績管理制度は、製品別、地域別(支店、課、店舗)、得意先別といったタテ割り組織ではうまく導入することができるのですが、開発部、購買部、販売部、経理部といった職能別組織では導入がむずかしくなります。
その理由は、客観的な合理的な売価(内部振替価格)の決定がむずかしいからです。



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筆者紹介

丸山 弘昭アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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