予算管理で目標利益をどのように決定するのか

予算管理の目的は、会社が必要とする目標利益を確保することです。
当たり前のことですが、会社は利益を確保しなければ長期的には存続することはできません。

なぜ利益を確保しなければならないかは次のようなことから容易に判断できます。
(1)借入金の返済原資とする。
(2)内部留保によって自己資本比率を高め、財務体質を強化する。
(3)古くなった建物、店舗のスクラップ・アンド・ビルドあるいは製造設備、機械、車両などの入れ替え、新規設備投資のための資金を確保する。
(4)社員へ成果配分賞与(決算賞与)支払の原資とする。
(5)株主への配当金支払いの原資とする。

以上のような理由から、利益を単に結果としてとらえるのではなく、
来期はこれだけの利益を稼ぎ出すのだという目標利益を設定し、各プロフィットセンターのメンバーが中心となり、全社一丸体制で目標利益の達成に向けて努力することが予算管理であると言えます。

次にいくつかの目標利益の算出方法について説明しましょう。

(1)借入金の返済原資から算出する方法
借入金の返済のためには最低これだけの資金は必要になる、という考えから目標利益を計算する方法です。

目標利益=(借入金返済年間予定額-減価償却費)÷(1-税率)

(2)総資本営業利益率(ROA)から算出する方法
長期的に見た会社の効率性は経営投下資本の生産性であり、「ROA(総資本営業利益率)に着目!」で記したように、中小企業においては総資本営業利益率を指標とするのがベストです。最低で5%は目標としたいところです。

目標利益=総資本×目標総資本営業利益率(5%以上)

(3)利益処分から算出する方法
会社が稼ぎ出した利益は(a)従業員への成果配分賞与、(b)配当、(c)役員賞与、(d)内部留保(含む利益準備金繰入額)の四つに利益処分されます。このうち(a)の成果配分賞与は法人税等の計算上は損金となりますので法人税は課税されません。また、ここでは配当に伴う利益準備金の繰入れは内部留保に含めてあります。

目標利益=成果配分賞与+(配当+役員賞与+内部留保)÷(1-税率)

(4)一人当たり付加価値(または人件費)から算出する方法
一人当たり付加価値は人的生産性を測定する指標であり、会社の目標数値として社員に理解が得られやすいと思われます。

目標付加価値=一人当たり目標人件費÷目標付加価値分配率×社員数
      =一人当たり目標付加価値×社員数
目標利益=目標付加価値×付加価値営業利益率

以上のように目標利益の算出方法はいろいろあり、これ以外の方法も考えることができます。
以上のような算出方法を参考として、それぞれの会社でベストと思われる目標利益算出方法を考えることです。



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筆者紹介

丸山 弘昭アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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