「この人、わかってくれる!」信頼を築く会話術とは?

「この人、わかってくれる!」信頼を築く会話術とは? 人材育成

ある上司と部下のやり取り

先日、オフィスで仕事をしていると、近くの席にいた他の部署のリーダーとメンバーのやり取りが聞こえてきました。

リーダー
なぜお客様に約束した期日通りに資料を提出できなかったんだ?
私が問い合わせたことへの他部署からの回答が遅かったし、その回答内容も明確ではなく、再度確認しないといけなかったんです。
メンバー

私はこのやり取りを聞いて、「このメンバーの話し方はちょっと勿体ないなぁ」と思ってしまいました。

相手の気持ちを考える

一般的に、質問されたり要求されたりすると、私たちはその質問や要求にそのまま答えようとします。

先の会話のメンバーも、提出が遅れた理由を聞かれたので、素直にその理由を述べています。

しかし、私には、このリーダーは今後、約束した期限は必ず守るようにして欲しい、と思って話しているように感じました。

そうだとすると、上記のような質問に対して、メンバーが表面的な部分だけを捉えて遅れた理由を説明してしまうと、リーダーには単なる「言い訳」に聞こえてしまいます。

「申し訳ありません。私の段取りに甘さがありました。
今後、事前の準備や途中の作業の期限設定をきちんとします」

メンバーがこのような回答をすれば、リーダーは「自分の気持ちがわかっているな」と思ってくれたことでしょう。

研修講師のこだわり

このように、相手の言葉を、言葉通りに捉えるのではなく、その気持ちを汲むことが大切な場面は、私たちの日常で頻繁にあります。

もう一つ、例をご紹介しましょう。

少し前、同じ職場のFさんと立ち話をしていたところ、こんな相談を受けました。

「今、3日間のマネジメント研修を受けていますが、講師がその日の研修の終わりに
『では、本日の講義について質問をしてください』と言うんです。
誰も質問しないと、
『質問がないということはあり得ないですよ。質問してください』と厳しいんです。
質問なんてすぐに思い浮かばないんですよね。どうしたらいいと思いますか?」

あなたがこういう相談をされたら、どう答えるでしょうか。

私は、Fさんに「確認ならできるんじゃない?」と答えました。

講師はなぜ質問にこだわったのか

Fさんは講師の『質問』という言葉を捉えて「わからないことを聞かなければ…」と考えたのだと思います。

しかし、この講師の発言の意図を考えてみると、少し違う見方や考え方ができるはずです。

私はこの講師の質問の狙いは、
「質問に答えることで、講義とは違う切り口やアプローチで説明することができる。それを話すことで、参加者の理解をより深めることができる」
ということなのではないか、と推測しました。

単に「わからないところがあればもっと詳しく説明するので質問してください」という意図ではなさそうだ、と思ったのです。

私の推測通りであれば、必ずしも「この部分がわかりません」といった質問を求めているのではないはずです。

そう考えると、次のような確認ができるはずです。

「部下には指示ではなく提案というスタイルを取る、という話がありました。
それは部下の自発性を引き出すという狙いがあると思いますが、そう考えてよいのでしょうか?」

「権限と責任を明確にする、というお話を聞いて
私はまず部下の責任を明確にしてから具体的な権限を設計すべきだと考えました。
手順としてはこれが一般的でしょうか?」

こうした類の確認であれば、今聞いた講義に関することでも、すぐに質問できるでしょう。

私たちは、日常会話でもビジネスでも質問を頻繁にしたりされたりしていますが、その言葉の奥には別の考えや気持ちがある場合が少なくありません。

それを考えてみるだけで、コミュニケーションの質は大きく変わります。

ぜひ言葉の奥にある、相手の考えや気持ちを考えながら話すようにしてください。

コミュニケーションの取り方を基本から学びませんか?

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上述のように、相手の考えや気持ちを考えながら話すことで、より適切にコミュニケーションを取ることができるようになります。

日本話し方センターのベーシックコースでは、コミュニケーションに関する基本的な事柄を丁寧に解説し、それらを実習で実践して身につけていただいています。

その根底にあるのは、『常に相手の立場に立って物事を考える』という考え方です。

この姿勢を意識することで、今回お話した内容も実践していただけるようになります。

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筆者紹介

横田章剛

株式会社日本話し方センター 代表取締役社長 中小企業診断士 横田 章剛
神戸大学卒業後、メガバンクにてシステム開発、役員会事務局等のガバナンスや主計関連業務、税務関連業務に従事。アタックスに入社後、グループ全体の経営企画、総務、法務、財務等の間接部門全般を統括。その後、日本話し方センターの代表取締役社長に就任し、大企業及び中小企業の組織運営経験、及び、中小企業診断士の知識を活かしつつ、話し方、コミュニケーション、ロジカル・シンキング、ファシリテーション等の分野の指導に従事。

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