10年後に存続可能な企業になるために!待ったなしの人材確保難対策

10年後に存続可能な企業になるために!~待ったなしの人材確保難対策 人材育成

人手不足による倒産の実態

帝国データバンクの発表によると、2025年上半期に発生した人手不足を原因とする倒産(従業員の退職、採用難、人件費高騰などによるもの)は202件にのぼり、上半期としては2年連続で過去最多を更新したとのことです。

2016年には34件であったため、この9年間で約6倍に増加しています。

業種別では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用された、いわゆる「2024年問題」を抱える業界が目立ち、建設業で54件、物流業で28件と、合わせて約4割を占めています。

その他では、老人福祉事業(12件)、労働者派遣業(11件)、受託開発ソフトウェア(7件)といった、労働集約型のサービス業における倒産の増加が顕著であり、全体の件数を押し上げる要因となっています。

これまでも人材確保は重要な経営課題とされてきましたが、人手不足がいよいよ、廃業や倒産の直接的な要因となるまでに深刻化していることが明らかになり、改めてその影響の大きさを実感させられます。

企業にのしかかる「人材確保」という経営課題

また2025年の中小企業白書では、企業が直面している経営課題のうち、「まだ取り組んでいないが、今後着手する必要があると考えている最も重要な課題」についてのアンケート調査結果が公表されています。

中規模企業では、「人材確保」(22.3%)が最も重要な課題であり、続いて「省力化・生産性向上」(20.9%)となっています。

一方、小規模事業者では、「人材確保」(23.0%)が最も重要な課題であり、「省力化・生産性向上」(12.7%)が4番目に挙げられています。

これらの結果を見ると、「人材確保」という課題は、現時点ですでに企業の存続を左右するほど深刻化している一方で、その対応が十分に進んでいない最も大きな経営課題であることがうかがえます。

▼2025年版 中小企業白書(HTML版) 第3節 雇用環境・労働移動 | 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/chusho/b1_1_3.html

人材確保の後回しが企業の命取りに

筆者は、業績悪化により過剰債務に陥った企業の再生支援をお手伝いさせていただく機会が多くあります。

その企業再生において、まず実施することが、過剰債務に陥った要因を明確にし、再度このような窮状に陥らないように対応策を明確にすることです。

この窮境の原因としてよく見られるのが、外部環境の変化への対応が遅れた結果、売上が減少し、赤字体質に陥るケースです。

具体的には、将来の需要減少が予測された10年前、20年前にその現実を直視し、当時の収益を将来の課題解決に向けた投資に充てていれば窮状に陥ることはなかったと考えられます。

しかし、現実を直視せず問題を先送りにした結果、赤字体質に陥り、さらには過剰債務に陥ってしまったというケースが多く見られます。

こうしたケースと同じように、人材不足や生産能力の低下といった将来のリスクに、いま何も手を打たなければ、5年後、10年後には皆さんの会社も生産能力を維持できなくなり、売上が減少し、結果として過剰債務へとつながってしまう恐れがあります。

まとめ

まとめ

筆者が日ごろ、数多くの経営者の方々とお会いするなかで、ほぼすべての方が、人材確保の難しさを将来の重要な課題として認識されています。

しかし、前述のアンケート結果が示すように、日々の業務に追われるなかで、将来の課題に対してしっかりと手を打てていないという企業が非常に多いと感じています。

5年後、10年後に「あの時こうしておけばよかった…」と後悔しないためにも、今この瞬間から、優秀な人材を惹きつける魅力ある報酬体系や職場環境の整備、生産性向上のための設備投資など、将来の生産能力を維持・向上させるための戦略と投資について、真剣に検討していただきたいと思います。

アタックスグループは、企業の持続的な成長と課題解決を見据えた中長期経営計画の策定をご支援しております。企業様と対話を重ねながら、中長期的な視点から経営課題を整理し、解決に向けた施策を具体化してきます。

さらに、策定した戦略を行動レベルに落とし込み、担当者やスケジュールを明確にすることで、戦略の実行性を高めることを目指しています。

生産能力の維持・向上といった中長期的な経営課題の解決に向けて、中長期経営計画の策定をご検討されているようでしたら、是非こちらからお気軽にご相談ください。

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筆者紹介

伊原和也

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 中小企業診断士 伊原 和也
大手ノンバンクを経てアタックスに入社。中堅中小企業を中心に企業再生支援、M&A支援、中期経営計画策定支援および株式公開支援等を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。

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