中小企業も必見!経営者・後継者に必要な「起業家精神」とは?

中小企業も必見!経営者・後継者に必要な「起業家精神」とは? 経営

なぜ今、「起業家精神」が注目されるのか?

皆さまは、アントレプレナーシップ(entrepreneurship)という言葉を耳にしたことはありますか。

一般に「起業家精神」と訳され、新しい事業や価値を生み出すために、困難や変化に自ら向き合い、リスクを恐れず挑戦する姿勢や行動力を指します。

これは起業家や経営者に限らず、社会のあらゆる場面で求められる能力です。

予測が困難なVUCA時代を乗り越えるために、近年はアントレプレナーシップの必要性が高まり、文部科学省をはじめとする関係省庁や大学等では、アントレプレナーシップ育成やスタートアップ支援の施策が積極的に進められています。

失敗を恐れない学びへ~日本におけるアントレ教育~

「アントレプレナーシップ教育」は、社会課題の発見から、その解決に向けて他者と協働しながら解決策を探求するための知識・能力・態度を育むことを目的としています。

起業家を育成・促進するためのビジネス教育とは異なるものです。

しかし、2019年時点で、国内大学におけるアントレプレナーシップ教育の受講者は、学部・修士学生全体の約1%、約3万人にとどまっています。

こうした状況も影響し、日本におけるアントレプレナーシップの醸成状況は、諸外国と比べて各種指標が相対的に低いとされています。

また、日本で起業が少ない(※注1)と考えられる理由としては、「失敗に対する危惧(37.6%)」が最多で、次いで「身近に起業家がいない(19.5%)」、「学校教育(15.0%)」などが挙げられます。

出典:文部科学省 科学技術・学術審議会 産業連携・地域振興部会
「アントレプレナーシップ教育の現状について」
https://www.mext.go.jp/content/20210728-mxt_sanchi01-000017123_1.pdf

※注1:2019年時点の先進各国の起業・開業率は、イギリス13.5%、フランス10.9%、アメリカ9.1%、ドイツ8%、日本は4.2%となっています。
日本の開業率はイギリスの3分の1、アメリカの半分以下にとどまります。
また、企業価値10億ドル以上のユニコーン企業数も、アメリカの249社に対し、日本はわずか4社にとどまっています。

出典:科学技術・学術政策研究所
「主要国における起業の状況」
https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2021/RM311_56.html

社内から生まれる新規事業~既存リソースと強みから価値創出~

上記のような情勢を背景に、アントレプレナーシップ育成への機運の高まりを受け、企業が自社のリソースを活用して新規事業の創出や人材育成につなげる社内ベンチャー制度を導入するケースが増えています。

たとえば、社内ベンチャーの成功例として「スープストックトーキョー」(三菱商事)、「無印良品」(西友)、「スタディサプリ」(リクルート)などがあります。

これらは、時代に合ったコンセプトの提示や社会課題の解決、既存資源を活用しつつも独立した事業として大きく成長させる考え方などが成功要因とされています。

さらに、担当者の強い想いや明確なビジョンが、困難を越える推進力になっている点も見逃せません。

一方で、中小企業では限られたリソースの中で、利益を生み出す必要があるため、既存事業の強み・弱みを明確にし、他社にはない提供価値を創出し、適正な価格でお客様に喜んで選ばれるための戦略が欠かせません。

社内ベンチャーに限定しなくとも、事業拡大や新規事業のために社内から新たなアイデアやプロジェクトが生まれる環境づくりは企業の競争優位性を高めます。

私が関わらせていただいている、とある中小企業はワークショップや意見交換会を定期的に開催しています。

こうした場を通じて、社歴や年齢といった枠を超えた自由な発想とアイデアが生まれ、組織として大きな成長を遂げています。

こうした取り組みは新たな知見の蓄積や多様な経験の機会を生み、キャリア形成にもつながっています。その結果、個人のモチベーション向上にとどまらず、売上や採用にも非常に良い影響が表れています。

社員一人ひとりがアントレプレナーシップを発揮し、既存のリソースと事業の強みから新たな価値を生み出せば、企業は大きな成長を実現できるでしょう。

後継者に問われる「覚悟」とリーダーシップ

アントレプレナーシップとの関係で言えば、中小企業の社長には、経営・事業展開に直結する意思決定力や行動力、すなわちリーダーシップが求められます。

とりわけ、経営理念を引き継いで事業承継する後継者は、その力を能動的に磨く必要があります。

私がこれまで出会った中小企業の後継者に、事業承継当時の話を伺うと、共通して口にされるのが経営者としての「覚悟」です。

その覚悟が生まれる瞬間にはそれぞれの経緯やドラマがあり、胸を打たれるものがあります。

経営者の覚悟が経営方針に直結している例も少なくありません。

しかし、

  • 事業承継は数年後なので、ゆっくり時間をかけて準備したい
  • 家業に入ってまだ数年経つが、未だ社内の財務状況がよくわからない
  • 会社に愛着はあるが、創業者と同じ熱量で事業に向き合える自信がない

といった声を、親族内外を問わず事業承継候補者から耳にします。

安定した財務基盤を築き、雇用を守り、企業を永続的に発展させるには、経営者としての覚悟が不可欠です。

その覚悟に共感する仲間(社員)を一人でも増やすべく、リーダーシップを発揮しなければなりません。

明日への一歩~失敗を許容し、挑戦する組織へ~

明日への一歩~失敗を許容し、挑戦する組織へ~

昨今、事業承継の場面でも企業の持続性を高めるために起業家精神が求められており、それは経済的価値だけでなく社会的価値の創出にもつながっています。

予測が困難な時代を乗り越えるには、内部・外部環境の分析はもちろん、事業コンセプト(誰に、何を、どのような武器で戦うか)を明確にし、数値目標を伴う具体的な打ち手を設計しなければなりません。

イノベーションを巻きおこすために、
「アイデアが生まれる仕組みと環境づくり」
「失敗を許容できる企業風土づくり」
「失敗から生まれた商品・サービスから学ぶ」など、
多様な価値観と視点をもって、旧来の考えから脱却する一歩を踏み出してみませんか。

本記事が、皆さまの起業家精神の発揮と、激動の時代における企業の持続的成長について考えていただくきっかけとなれば幸いです。

後継者・経営者を育成する「アタックス社長塾」では、「強くて愛される会社」の考え方を体系的に学び、コンサルタントによる個別支援のもとで「価値創造計画」を策定します。

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筆者紹介

株式会社アタックス 社長塾推進室
コンサルタント 中村香央里

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