福祉とバイヤーとのマッチング会

経営

全国各地に障がい者が就労している施設は、A型が3,600ヶ所、B型が9,200ヶ所、そして移行施設が3,000ヶ所ある。また身体や知的あるいは精神といった様々な障がいのある人々を雇用している中小企業も多数ある。

こうした障がい者多数就労施設の最大の問題は、そこで生産された商品が安定的に市場流通しないという点である。

その最大の要因は、多くの人々が、そこで作られた良い商品を知らないからであり、またこれら施設の経営力は総じて弱く、特に販売力については大半が保有していないからである。

その結果、多くの施設では下請的商品の生産が行われ、結果として、低単価・不安定受注を余儀なくされているのである。

こうした実態を知り、行動を起こしてくれた集団がある。それは人を大切にする経営学会が主催する「経営人財塾」で学ぶ社会人学生達である。

人を大切にする経営学を学んでいる社会人学生たちは、その実態を知り、課題解決のため「マッチング会」の開催を企画してくれたのである。マッチングとは、障がい者就労施設や多数雇用中小企業と、そこからの仕入れやそこへの発注を考えてくれている企業やバイヤーが一堂に会したお見合い会のことである。

先般、都内の東京駅日本橋口にあるパソナグループ本部2階で、恐らく全国初である「マッチング会」が開催された。参加者は障がい者就労施設や多数雇用中小企業が計20社、そこに関心のある企業やバイヤーが130人であった。

当日は20社が会場にブースを構えるとともに、責任者が一人ずつ商品を高くかざしながら、10分間のプレゼンテーションを行った。1社10分×20社で計200分、つまり3時間以上のプレゼンであったが、この間、席を立つ参加者は一人もいなかった。それどころか、その後の商談会では、各ブースに立ち寄ったバイヤーと出展者の打ち合わせが、時間いっぱい続いた。

これまでのこうした試みは、福祉と福祉のお見合い会といったもので、広がりが不十分であったが、今回の開催で、バイヤーたちは一様に「こんなすごい商品ができるなんて思っていなかった…」と語ってくれた。

一方、障がい者施設の関係者も、バイヤーの反応に自信を深めてくれた。いつの日か、ビッグサイトの一館を借り切り、世界からバイヤーを集め開催できたらと念じている。

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筆者紹介

坂本光司

アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長  坂本 光司(さかもとこうじ)
1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。

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