提案型売り場づくり -株式会社ヘッズ

経営

西浦道明のメルマガ 2016年6月

2014年から当メルマガでは、自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」になった結果、高収益を持続している中堅中小企業をご紹介している。

連載22回目の今回は、「幸せ制作会社」を社是に、業務用資材・販促用品・ラッピング用品・ギフト用品の企画制作販売及び提案型売り場づくりを支援する、株式会社ヘッズ (以下、H社)の池クジラぶりを見ていきたい。

暮松邦一氏(以下、K氏)が、ファンシー雑貨店で10年ほど店長として勤務していたある日、小さな女の子が友達にプレゼントする文房具を買いに来た。

その翌日、お母さんへのエプロン、その数日後、おばあさんにあげるタオルを買ってくれた。

ところが、毎回、同じ包装紙で包んでしまった。

「贈る相手に合わせて違う包装紙で包めば良かった」という思いが心に引っ掛かっていたK氏は、自分のイメージに合う包装紙を探そうと街を歩いたが見つからなかった。

「ならば、自分で創るか」と考え、1985年12月、H社を業務用資材の企画・制作会社として創業した。

包装資材業界は大きく2つに分類することができる。

1つは、それなりの規模の企業を対象にそれぞれの名入り袋を取り扱うもの。

そしてもう1つが、個人商店のように、自社ブランド名を入れない袋を取り扱うものである。

後者は市場全体の1割ほどに過ぎないが、K氏は、この大手が対応できない個人商店を対象とする分野で事業をスタートさせた。

個人商店にしてみれば包装資材は重要だ。

たくさんの種類から自分の商品にマッチした魅力的なものを自由に選びたい。売れ行きが包装資材で決まる場合もある。

誰にでも同じように、簡単に綺麗に素早くラッピングできるものがいい。
できるだけ小ロットで買いたい。

そこで、K氏はこうした顧客ニーズをすべて拾うことにした。

また個人商店は高いものは買わない。

そこで安く売っても高収益を上げるには問屋を中抜きにするしかないと「通販事業」に乗り出した。

さらに、お客の心に響く提案をするには、特定分野に集中特化した方がいい。
そこで、お客様を、洋菓子店・生花店・雑貨店に絞り込んだ。

その結果、全国に34,000社のお客様を持つまでに成長発展し、アイテム数は約4,500にまで拡大した。

K氏が次に打った手は、「売り場づくり支援(繁盛支援業)」だ。

お客様の売上が上がらなければ本物ではないと考えたK氏は、商品企画段階から、いかに来店客にアピールするか、どのようにラッピングすればいいか、商品カタログ等を通じて、店舗ディスプレイまで含め、店頭での展開シーンを提案することで売場づくりを支援するようになった。

カタログは、毎月、テーマごと、分野ごとに作成している。

K氏は、贈る相手も商品も違うのに同じ包装紙で包むことが当たり前だったラッピング資材を、売上アップにもつながる「販促資材」にまでランクアップさせた。

このようにH社は、「カンタン・キレイ・便利」をコンセプトに、洋菓子店・生花店・雑貨店の販売促進に専門特化して、単なる包装資材の企画販売に留まらず、「提案型売り場づくり」という、今まで誰も手を付けてこなかった小さな市場(池)の圧倒的トップ企業(クジラ)になっている。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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