原理原則を学び実践する -広告代理店L社

経営

西浦道明のメルマガ 2014年4月

L社は、単に売上や利益で一番になるのではなく、「宇宙一愛される企業」を目指している。

率いるのは39歳の創業経営者M社長。

「メンバー第一、顧客第二主義」「ノルマなし、順位付けなし」「サービス残業なし」「決して怒らない」「完全禁煙会社」といった、思い切ったメンバー重視の価値観を掲げており、一切ぶれることなく実践している。

L社はスマートフォン(スマホ)広告代理店。

広告を出そうとするクライアントに徹底的に密着し、かゆいところに手を届かせることで価値を生み出す。

具体的には、クライアントにスマホ広告を提案するに際し、メンバーは、その費用対効果の最大化に向け取り組む。

広告を企画した後も、自社の効果測定システムをフル回転させ、それを改善・修正し続けているのだ。

メンバーは、効果測定システムの手を借りながら、どのような広告の効果が一番高いかを学習していく。

結果、クライアントに、極めて高い価値を生み出している。

このモデルを支えているのが、クライアントに対して、メンバーたちが親身に取り組む姿勢だ。

そのベースには、費用対効果測定技術力・原稿制作力・広告運用力といったコア技術がある。

すべて「人」に依存し、L社の「競争力」は「社員力」次第なのだ。

M社長は創業して何年か経ったとき、「人財採用」が極めて大切だと気づいた。

それ以来、「人が好きで人に貢献するために働きたい人」「お客様志向の人」「チームワークを重視する人」「継続的な学習意欲のある人」だけを採用し続けてきた。

今現在、売上は60億円を超え、利益もしっかり上がっている。

M社長は、順風満帆にやってこれたように見えるが、どっこい大変な苦労もあった。

ひとつは大学在学中に父の勤務する会社が倒産したこと。
仕送りがゼロになったが、死ぬほどアルバイトをして乗り切った。

もうひとつは世の中がガラケー(ガラパゴス携帯)と呼ばれた従来型携帯電話からスマホに切り替わったとき。
つい最近のことである。

クライアント、ビジネスモデルともに変わらざるを得なくなり、同業他社は慌てふためき、ことごとく撤退した。

しかしL社は違った。

M社長は悩みに悩んだが、自社には、社員のクライアントに対する親身さ、さらにこれを支える技術力・制作力・運用力という素晴らしい強みがあると、自社の原点に気づいた。

スマホ広告市場は、誰にとってもゼロスタートなのだから、自社がここまで培ってきた従来ビジネスを、全身全霊で再構築すれば、必ず勝てるに違いないと決断したのだ。

優れた経営者は、冷静に自社の環境を分析し、原理原則を勇気をもって実践できる人である。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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