「税務調査」最近の動向~調査事例と気をつけるべきポイント解説

税務

2023年5月にコロナウィルス感染症が、2類相当から5類へと移行し、社会や経済もコロナ禍で落ち込んだ3年間を取り戻すように活動しています。

国税当局の税務調査もコロナ前と同様に行われるようになりました。

しばらく間が空いた感覚がありますが、最近いくつかの税務調査に立ち合ったので、所感を含め動向について述べます。

税務調査の最近の動向

法人税の調査件数は、コロナ前は年間10万件弱で、令和2年事務年度(R2.4~R3.3)では2.5万件と1/4程度まで落ち込みました。

しかし、令和3年事務年度(R3.4~R4.3)では4万件と徐々に戻ってきました(令和4年事務年度はまだ公表されていません)。

令和5年事務年度(R5.4~R6.3)では、当法人の関与している実績ですと件数はコロナ前に戻ったと感じます。

国税当局が調査にかける日数は、以前と変わらず、税務署管轄では、小規模企業で2日程度、中堅企業で1週間程度、大規模企業では2週間程度、国税局管轄ではそれ以上です。

調査人数は、以前より1~2人多くなっている場合があります。

これは3年間のコロナ禍で税務調査が思うようにできず、若手職員の経験機会が減ってしまったため、教育目的のためにベテラン職員と同行するケースも少なからずあるようです。

注意すべき調査項目

調査の項目としては、売上と在庫は確実にチェックの対象とします。

売上

売上については、例えば3月決算の場合は、翌年度の4月に売り上げ物品で3月に計上すべきものはないのか(期ずれ)を、出荷伝票や納品書の日付、4月に売り上げたとする物品の3月時点の在庫状況と照らし確認します。

在庫

また、在庫については、棚卸原表の確認、在庫保管場所に赴いての保管状況の確認、積送品や預け在庫の有無、帳簿上から3月に仕入れたものの状況をチェックします。

この売上と在庫は、調査で必ずチェックの入る項目なので決算時にはよく検討しておくべき項目といえます。

在庫は、「数量×価格」と表されるように、2つの軸があります。

例えば、長期滞留(保管)在庫は販売不能であると判断し、在庫に計上していない場合がありますが、数量は正しく把握できるとして、問題は価格の評価です。

つまり、価格の評価をどのように立証するかがポイントとなりますのでご注意ください。

海外勤務者の取り扱い

また、最近多く見られるのが、海外勤務者の取り扱いで間違いを指摘されるケースです。

これはコロナ禍で海外勤務者の予定外の帰国があり、帰国の時期(日にち)により給与や賞与の源泉所得税の取り扱いに誤りがある場合です。

特に賞与で支給対象期間が規定されている場合は、帰国日によっては案分計算が必要となりますのでご注意ください。

インボイス制度

最後にインボイスについてです。

インボイス制度が2023年10月より導入され、今後の調査ではそれも含めて確認されることとなります。

制度については、実務で事前に準備していたこととはいえ取り扱いに戸惑うことが多く、不安に感じることもあるかと思います。

ただし、調査官も時間的制約があり証憑を一つ一つ確認することはできないと思いますので、最初のヒアリングで、免税業者等(適格請求書発行事業者以外のもの)との取引の有無を確認し、主だった取引先や外注先、飲食関係等で疑わしいものの証憑を確認することが予測されます。

最後に

当面、調査については周知期間ということも考慮し、厳しい指摘というより指導的なものになるのではと考えられます。

調査では問題ないと思っていても、多くの方が不安に感じると思います。

その場合は、事前に税理士と打合せをして疑問点があればよく相談し、少しでも払拭しておくことが対策として有用だと考えます。

筆者紹介

アタックス税理士法人 代表社員 税理士 愛知 吉隆
1962年生まれ。中堅中小企業から上場企業に至るまで、約800社の税務顧問先の業務執行責任者として、税務対応のみならず、事業承継や後継者支援、企業の成長支援等の課題や社長の悩みに積極的に携わっている。
※顧問税理士 変更をご検討の方はこちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました