売上目標未達の回避策~供給リードタイム長期化への戦略的対応ができているか!

営業

国内の景気動向は、2020年コロナウィルスの影響でダメージを受けた頃に比べて、徐々に改善傾向にあります。

業種にもよりますが、私がかかわっている企業でも、引き合いが戻ってきているという話が以前よりも増えています。

にも拘わらず、いまだ多くの営業組織が安定して目標達成できておらず、その原因は新たに発生している営業上の問題に起因しているケースが見受けられます。

その要因のひとつとして、営業リードタイムと供給リードタイムの変化に対応できていないことが考えられます。

供給リードタイム長期化の「営業」への影響

この1年問題となっている電子部品の供給不足は多くの営業現場に影響を及ぼしています。

ウクライナの戦争の影響も電子部品だけでなく、そのほかの物資の供給不足につながっています。

以前であれば、注文をいただき、3ヵ月で納品できていた供給のリードタイムが、半年に伸び、物によっては、1年にまで伸びているケースもあります。

多くの営業組織の目標である売上は納品したタイミングで計上されますから、受注したとしても、納期が大幅に遅れれば、売上計上のタイミングは来年度ということになります。

昨年から、そういった納期の長期化の影響が頻繁に発生しています。

そして変更された納期の長期化はいまだに改善されずなかなか先行きも見えません。
(影響は2025年まで続くという予想もあります)

その結果、契約や内示をいただいた案件の総量は目標を達成していても、当期計上できる売上が目標の50%しか達成できなかったという企業もあります。

来期の受注残になるだけという考え方もありますが、それだけでは済まない問題も発生しています。

納期の長期化によって懸念されるお客様側の対応

お客様側も必要なタイミングで購入できることを前提に計画を進めているため、物が入らないなら、別の方法を検討する必要があり、内示まで進んでいたものが見直しになることも少なくありません。

  • 納期が遅れるなら修理で対応する
  • 納期が遅れるなら中古品、海外品で対応する
  • 納期が遅れるなら今対応してくれる新しい取引先を開拓する

といった対応をお客様側が積極的に進めると案件を失うだけでなく、販路を失うことにもなりかねません。

変化させるべき営業スタイル!重要な3つのポイント

このようなリスクを回避するためには営業活動のリードタイムの考え方と、供給リードタイムの対策を立て、今までの営業スタイルをブラッシュアップしなければならないと考えます。

それでは変化させるべき営業スタイルについて重要なポイントを3点記載します。

ポイント①:引き合い対応からの脱却

引き合い対応とは、お客様から声がかかるのを待ち、お客様から依頼いただいてから動く営業スタイルです。

なぜ引き合い対応に問題があるのかというと、お客様側が過去の供給リードタイムのイメージを持っているため「このくらいの時期に話をすれば、望んでいる納期に間に合うだろう」というイメージで相談されても、希望したタイミングで納品できません。

供給が安定していた頃であれば、無理して何とか調整していたものが今は本当に手に入りません。「前はやってくれたのに」ということにもなりかねません。

そのため、こちら側から前もって、商品ごとの供給タイミングを説明し、お客様側の検討時期、検討期間も合わせて営業全体でお客様に案内し、引き合いではなく、こちらから誘導して購入に導く必要があります。

ポイント②:案件の受注狙い月の管理

多くの営業組織は案件管理表を使い案件の進捗を追いかけています。

その管理は結果の管理が多く、組織内で状態を把握するだけに使われていることがほとんどです。

その結果、案件が進捗してもしなくてもそのまま放置され、動いているものにのみマネジャーが指示をしていることがよくあります。

それでは、当期中に計上するためのタイミングを逃す案件が複数発生する可能性があります。

そのため、案件の登録に合わせて、当期計上のために必要となる受注狙い月を必ず記載し、受注に必要なプロセスをいつまでに終了させるかの計画を立てマネジャーが管理する必要があります。

ポイント③:お客様の希望する商品をそのまま準備しない

引き合い営業にもつながることですが、お客様に依頼された商品をそのまま納期確認して見積を出すという対応が当たり前になっている営業は沢山います。

しかし、現状の供給不足の状況では、お客様の希望する納期に対応できないことも十分想定されます。

どうしてもその商品が必要で、待っていただけるならばよいのですが、タイミングが合わない場合、お客様は別の検討をして当社が外される可能性があります。

いわれた商品の依頼をなんの疑問も持たずそのまま対応しているだけの営業スタイルでは機会損失が発生します。

そのため、お客様に「この商品を検討された理由」「なぜこのタイミングまでに必要なのか」といった理由を確認し、代替案が出せる営業スタイルに変化する必要があります。

まとめ

以上3点ポイントを上げましたが重要なのは、営業メンバー全員が今までのタイミングでの動き方では、目標達成にリスクがあるということを認識し、活動を変えることです。

また営業だけでなく、営業から上がってきた情報をもとに納期長期化に対応する在庫戦略や、商品戦略も社内での検討が必要となります。

是非自社の活動と照らし合わせて問題を検討いただければ幸いです。

当社の予材管理の考え方は、今回お話させていただいた納期長期化の際に営業を管理する場合にも最適ですので、是非ご確認ください。
予材管理オフィシャルサイト

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツコンサルタント 山北 陽平
富士通グループ主力販売会社を経て、株式会社アタックスへ入社。前職では企業向けのモバイルソリューション販売に従事。 【エリア別法人営業 :250人中/1位の販売実績】企業間アライアンス構築、新規ビジネス推進プロジェクトを数多く経験し、新規顧客開拓、販売チャネル開拓を得意としている。アタックス・セールス・アソシエイツ入社後は、前職での営業経験を生かし、『正しい手順に基づいた組織営業』を定着させること、『正しい販路開拓をコーディネート』することをテーマに現在クライアント営業組織の目標予算達成に必要な、行動改革から戦略構築支援を展開している。また、研修講師として、独自開催している若手営業パーソン向けセミナー【絶対達成スピード講座】は営業パーソンの意識と行動スピードを短時間で改善させる体験型セミナーとして、多くの経営者、営業マネジャーから「なかなか変わらない部下に是非受けさせたいインパクトの強いセミナー」と大変高い評価を受けており、常に集客前直後には満員御礼になってしまう人気セミナーの講師としても活躍している。
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