コロナ収束で企業に明暗!~サバイブ企業の事業ポートフォリオ

会計

先日、新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけを五月に5類へと移行する方針が発表され、その医療対策への負担が大きく軽減される見通しとなりました。

2020年初から始まったコロナがようやく収束を迎えることに、皆様も安心しておられることかと思います。

コロナがもたらしたもの

事業再生コンサルティングを生業にしている筆者は、現在、総額42兆円ともいわれるコロナ融資をうけた企業の返済出口のご支援を活動の中心としております。

コロナ禍中は、突然の受注減少とこれによる資金繰り難で、事業継続が危ぶまれる企業への対策対応のご支援に走り回った3年間でした。

この中で、比較的早期に事業収支を立て直した企業やなかなか収支が戻らない企業、残念ながら廃業の選択をされた企業など、「コロナがもたらした結果」をコンサルタントとして目の当たりにしてきました

では、これらの企業の差異はどこから生じるものでしょうか?

事業ポートフォリオでみる

差異要因については、そもそもの財務基盤の厚薄や危機に対するマネジメントの対応力など、様々な切り口があると思いますが、今回は、筆者の経験から事業ポートフォリオの観点から、事例をご紹介したいと思います。

事例となる企業2社(コロナをサバイブしそうな会社をA社、今も低迷中の会社をB社とします)に、関与したのは、2019年の夏ごろでした。

両社は製品に差異はあるものの、両社とも同じ航空機業界に属する製造業であり、メインの顧客は全く同じ、全社的な低収益性も共通のテーマとなる2社でしたが、分析を進めていくと大きな違いがあることがわかりました。

売上高のセグメント分析で比較

分析は売上高のセグメント分析です。

筆者は、顧客別売上高や製品別売上高をさらに、それぞれ主力orサブの属性をつけて、簡単なマッピングを行いました。

コロナ前のマッピング

両社のコロナ前のマッピングは下図の通りでした。

(1)は、主力の顧客に主力の製品を販売しているセグメント

両社とも長期的な取引を行っている主力顧客に最も得意とする製品を販売していました。

まさに本業での売上ですので本業売上とします。

(2)は、主力の顧客に副次的な製品・サービスを販売しているセグメント

両社は、主力顧客から設計業務の委託を受ける等の深耕販売を行っていました。

(3)は、主力以外の顧客に主力製品を販売しているセグメント

A社はこのセグメントを積極的に伸ばす方針で、逆にB社は力を入れていませんでした。

(4)は、主力以外の顧客に副次的な製品・サービスを販売しているセグメント

両社は、人材派遣や物品販売を中心に他業種・分野への販売を行って、多角化にも取り組んでいました。

A社は顧客、製品の偏りが少ない替わりに開拓・開発コストの負担により利益率は相対的に低く、B社は一点集中型で高い利益率であることが特徴です。

コロナ後のマッピング

上記の中、コロナにより主力顧客である航空機業界向けの売上が蒸発し、マッピングも大きくかわり、両社の営業利益は下図のように逆転しました。

営業利益が逆転した要因とは?

何故、逆転したのでしょうか?

筆者は、コロナ前の事業ポートフォリオの持ち方とコロナ期間中での両社の対応にあるものと考えます。

B社の対応

相対的に利益率の高かったB社は、耐えきれず赤字となりました。

如何に主力製品が魅力的なものであったとしても、新規顧客を開拓することは一朝一夕にはいきません。

また、これまでの一本足打法の反省からか、事業再構築の方針は極端な(4)へのシフトでした。

コロナ期間中で資金リソースも乏しい中で、製品開発も顧客開拓もこれからという事業に事業再構築補助金を利用し、投資を行いました。

こちらも残念ながら結果は出ていません。

A社の対応

一方、A社は、上記のとおり、コロナ前において、ある程度の利益を犠牲にしながら、顧客開拓を行い、(3)にセグメントされる航空機業界以外の顧客、販売ルートを育んでいました。

また、コロナ期間中の事業再構築補助金を主力製品の価値向上のための設備投資に利用し、航空機業界以外の顧客への売上をコロナ期間中に増加させることに成功したのです。

このため、(1)や(2)に属する主力顧客売上の蒸発に耐え、コロナをサバイブすることができたといえます。

今後の経営に必要な備えとは

中堅中小企業は大企業と比べて経営リソースが限定的です。

この中で、効率的な利益稼得をするためには、特定分野の顧客製品を定め、ここにリソースを集中させることがこれまでの定石だったと考えます。

しかしながら、コロナを経験したことで、VUCA(ブーカ)の時代であることに、リアリティがでてきました

突然の外的変化で、今日の本業が明日は必要無くなることもあり得ます。

この場合、一本足打法の経営では耐えきれません。

このための備えとして、今日の本業を大切にするだけでなく、一定のリスクをとり、また、優先順位をしっかり定め、顧客や製品軸を少しずつ分散・展開させていくことが今後の経営に必要と考えます。

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティングは、ファイブステップ(調査分析→問題発見→課題整理→改革提案→実行支援)コンサルとして中小企業の経営改善に関する様々なお悩みに対し、現状分析から課題解決のためのご支援を行っています。

こちらからお気軽にご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 公認会計士 森下 大
1999年 早稲田大学卒。中堅中小企業の事業再生・買収のアドバイザーとして、財務・事業デューデリジェンス、経営計画策定支援を中心としたコンサルティング業務、並びに、計画経営推進のための経営顧問業務に従事。公認会計士としての知識・経験を活かし、社長の良き相談相手として伴走型の支援を行うことで定評がある。
森下大の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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