利益を出し続ける企業がやっていること!~利益は企業の未来を創造する手段

会計

緊急事態宣言や蔓延防止措置も解除され、街中では小売店や飲食店等賑わいを取り戻しつつあります。

一方、自動車業界を始め各製造業では、半導体不足等部品供給の遅れにより減産を強いられ、業績を向上させることが難しい状況にあるのではないでしょうか。

そこで今回は、この厳しい状況下を生き抜いていくために、改めて「利益」について考えてみたいと思います。

生き残っていくために必要な「手段」としての利益

経営者は、社員やその家族を守っていく立場にあります。
社員やその家族を守っていく為には何が必要か、筆者は、常々それは、「利益」だと伝えています。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、ここで言う利益は、「目的」ではなく、生き残っていくために必要な「手段」としての利益です

利益には、6つの使い道があります
それは次の通りです。

①借入金の返済
②社員への還元
③未来への投資
④株主への配当
⑤内部留保
⑥税金の支払い

この内、④株主への配当と⑥税金の支払いについては、そのままの意味です。
では、他の4つについて1つずつ見ていきます。

利益の使い道①:借入金の返済

製造業であればその多くは、金融機関からお金を借りて設備投資をしており、その設備を使って製品を製造し、お客様に製品を納め、対価として利益を得ています。

これを元手に借りたお金を返済しているわけです。
これは経営者の方は、よくご存知の内容かと思います。

利益の使い道②:社員への還元

企業は、進むべき方向や目標を経営者が明確にし、それに向かう社員の活動があってはじめて業績を伸ばすことができます。
社員への還元とは感謝の気持ちを具体的に表すことです。

例えば、夏季・冬季賞与への反映や決算賞与を出すこと、社員旅行(福利厚生旅行)などです。
苦しい時に共に戦っている仲間への感謝の気持ちを、具体的に表すことで社員のモチベーションの維持向上にも影響します。

利益の使い道③:未来への投資

上述①の設備投資や、研究開発・社員教育・販売促進活動等がありますが、「将来の利益獲得」のために「今かけるべき」必要な投資を指します。

利益の使い道⑤:内部留保

これは利益を蓄積し純資産を増やしていくことです。
節税を意識されることも重要ですが、適正な利益を計上し、純資産を増やすことで、財務体質が強くなり、不測の事態に備えることが可能となります。

厳しい状況下、利益を出し続ける企業がやっていることとは?

筆者は、日々クライアントの経営者の方と、業績向上策とその実行による効果の振り返りを、一緒に確認・検討していますが、今の厳しい環境下でも、利益を継続的に計上し、耐えている企業があります。

そうした企業は、上述①②も実践していますが、特に③未来への投資と④内部留保を意識した経営をされています。

平時において、業績改善のための活動を通じて社員教育を行い、内部体質の改善を行っています。
また、新しい商品、新しい事業の創造活動を行っています。

これらは、1年や2~3年でできることではなく、継続してやり続けることで、その実現に近づいていけるのです。

有事に備え、常日頃から行うべきこと

特に内部体質の改善活動は、有事においても力を発揮します。

売上という入りが少ない状況の中、費用という出を減らす取り組みを全社一丸となって行うことで、利益の減少を食い止めることに繋がっています。

これを社員の方が自発的に行っているのです。
言い方を変えると、社員が自発的に行うことが、あたり前の状態になっているということです。

また、内部留保を意識した経営をしておくことで、金融機関からの資金調達も容易になり、事業を継続していく上で必要な資金をストックして、事業活動を行うことが可能となります。

今は利益を出していくことが難しい状況かもしれませんが、経営者は、コロナ禍においても、企業の方向性を社員に示し、その実現に向けて、妥協なく、経営改善に取り組んでいくこと求められます。

足許の対応を行いつつ、3~5年先を見据えて、③未来への投資と⑤内部留保を意識した経営計画を立て実行していくことを検討されてはいかがでしょうか。

本コラムのポイントを動画でも解説しています
 

管理会計導入

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 土屋 元樹
1974年長野県生まれ。大手メーカー(上場会社)勤務を経て、株式会社アタックス戦略会計社 入社。中堅・中小企業を中心に、中期経営計画の策定、利益計画の策定、経営改善計画の策定、業績管理制度の構築・運用支援、経理業務改善、月次業績モニタリング支援、企業再生支援等に従事。各支援を通じて、経営者の片腕となる経営幹部の育成に情熱を燃やす。
土屋元樹の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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