“トータルリワード”ってなに?令和時代の“報酬”はこう考える!

人材育成

“報酬”の考え方を変える必要性

私たちは日々、「お客様に選ばれる存在になる」ために、さまざまな経営努力をしています。CS(顧客満足)、CD(顧客感動)という言葉を学んだ方も多いでしょう。「マネジメントの父」といわれた、かのP.F.ドラッカーも、企業経営の目的とは「顧客の創造」といい、顧客意識大切さを説いています。

しかし、最近は、「お客様」だけでなく、「社員から選ばれる会社であること」「応募人材からも選ばれる会社であること」が、重要になってきました

コロナ明け、需要の反動による労働力の不足感、求められるスペックの変化による不足感によって、巷では人材争奪戦が繰り広げられています。

「社員に選ばれる会社」「応募者に選ばれる会社」にならなければ、つまり、ヒトがいなければ、モノとカネがあっても経営目標を実現することが難しい時代になりつつあります。

なぜ今、“トータルリワード”なのか?

そこで今回は、「社員に選ばれる会社」「応募者に選ばれる会社」になるための、令和時代の“報酬”について考えます。ぜひとも自社点検をしながら読み進めてください。

“トータルリワード”という言葉をご存じでしょうか。これは決して新しい概念ではありません。
日本語に訳すると“総合的報酬体系”です。

その中身を紐解くと、次のように分類されます。

「金銭的報酬」のなかに「直接報酬」と「間接報酬」があり、
「非金銭的報酬」のなかに「精神的報酬」と「労働条件」があります。

金銭的報酬

直接報酬とは

報酬というと私たちは第一に、「金銭的報酬」をイメージします。
月給、賞与、退職金、インセンティブがそうであり、これを「直接報酬」といいます。

長年、人事コンサルタントとして「直接報酬」を設計、導入を支援する業務に従事してきました。

「直接報酬」は、社員の生活の基盤を保証するものであり、水準が低く、決定方法が不明確だと社員の不満が増大し、離職の原因になります。現在のように転職市場が活況な時代には、なおさらです。

従って「直接報酬」は、その水準や支払い方法について、自社の賃金モデルを確認し、その水準が世間相場や、地域相場に対して遜色ないか確認すること、法令遵守(残業代の未払いを無くす)を徹底すること、そして賞与は原資の考え方と、個別の決定方法を透明化することが必要です。

しかしこれだけでは社員のやる気を高め成長を促進させる施策として万全とはいえません。

間接報酬とは

金銭的報酬には「直接報酬」以外にも、社員のやる気や成長を左右する要因があるからです。
それが「間接報酬」です。

意外に認識されていないのが、法定福利費の中身と負担額であり、私のクライアントでは、社員教育のなかに給与明細の見方や社会保険料の本人負担と会社負担について実データを示し、手取りでなく、会社が負担する人件費を伝えています。

更に、「間接報酬」で重要な項目が、「教育制度」です

成長意欲の高い社員ほど、「この会社で成長できるかどうか」がやる気や定着を左右します。

意識の高い社員を採用し定着してもらうには、OJT(職場内訓練)とOff-JT(職場外訓練)を、教育の両輪として設計することが大切です。これは、既存社員だけでなく、まだ見ぬ未来社員つまり採用活動にも大きく影響します。


 

今後は、「教育投資」に関する考え方を会社として示していく必要があります。企業によっては「教育予算」だけでなく、年間の所定労働時間に占める教育に費やす時間を目標設定している企業もあります。

「人的資本投資」という新しい概念が叫ばれるなか、人に対する投資額が、企業の価値を測る指標として注目されています

これまで中小企業の教育制度はOJTが中心であり、OJTが実務能力を高める近道であることは間違いありませんが、テクノロジーの進化、労働法改正やハラスメント防止法施行等、様々な法改正によって、現場のマネジメントが高度化、複雑化しています。

そこに追いつくには、Off-JTによる学びが不可欠です。
更にいうと、従来型の1対Nの集合教育から、「コーチ」や「カウンセラー」といった外部専門人材を活用し、“個の成長”にフォーカスした教育も注目されつつあります。

一言で教育といっても、多様化しており、これらを含めた教育制度の設計が必要です
 

非金銭的報酬

次に、最近注目されているのが「非金銭的報酬」です。

精神的報酬とは

そのなかでも「精神的報酬」が重要です。

これには、仕事に対するやりがいや、この組織の一員であることの誇り・社会的認知度、承認・成長実感などの要素が含まれています。

これらの社員満足度をあげるには、会社の存在意義や、経営理念、社会貢献に対する考え方など、トップ自ら、公器としての社会的責任と覚悟を表明することが必要です。

最近のキーワードにある、ESGや、SDGsなどもその一環であり、社会的責任を果たす姿勢が、広く関係者から共感を得て、社員がこの会社で働くモチベーションになるのです。

労働条件とは

そして最後になりますが、「労働条件」も「非金銭的報酬」の一つと考える必要があります。

会社の経営方針の明示も去ることながら、休日日数や労働時間に関する法令遵守、現場の安全管理や人間関係などの職場環境も、非金銭的な報酬であることを認識してください。

特に、20代30代は、休日日数、残業時間、多様な働き方に対する許容度、有給休暇の取りやすさなどを重視する傾向にあり、それが企業選定や定着に大きく影響します。

労働環境を改善することは、優秀な人材の採用と定着に不可欠であることを再認識することが大切です。新年に向けてぜひとも自社点検をしてください。

私共では、人事制度構築支援、人材育成支援、業績と働きがい両立支援、労務管理支援等、ヒトに関する環境整備のお手伝いをしております。いつもでお気軽にご相談ください
 

教育研修・人材育成

筆者紹介

アタックスグループ パートナー
株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 代表取締役
中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
北村信貴子の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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