事業計画はこう作る!しっかりとした事業計画の具体的な策定方法

事業計画 経営

以前、「その設備投資、本当に回収できますか?~投資判断を誤らない手法公開!」というテーマで、中小企業にとっての設備投資の判断基準を解説させていただきました。

その中で、しっかりとした事業計画を策定することをお勧めしましたが、今回は、事業計画を策定する具体的な方法について、解説したいと思います。

事業計画策定の目的

そもそも、事業計画は何のために必要でしょうか?

以前の記事でも書いたとおり、事業計画を策定することにより経済合理性の判断基準(設備投資などの経営判断を実施するかどうかの判断基準)を明確にすることが、目的の1つです。

しかし、それ以外にも大きく2つの目的があるものと筆者は考えています。

1.会社として向かうべき方向性を明確にする

事業計画を策定することで、今後数年間で会社はどの方向に向かうべきかが明確になります。

この方針を社内に示すことで、全社員が同じ方向に向かって力を注いでいくことが出来るようになります。

2.環境変化に対して、いち早く軌道修正できるようになる

事業計画を策定する際には、まずは外部環境や内部環境の分析を行ったうえで、仮説を立て計画を策定します。

計画策定後は、計画に従った行動が行えているのか、行動した結果、想定した成果が出ているかをモニタリングします(PDCAの実施)。

このようにPDCAサイクルを回すことで、環境変化を認識し、当初想定した仮説の適否を検証することができ、予定通り行っていない場合には、いち早く軌道修正(計画の修正)を行うことが出来ます。

事業計画の具体的な策定方法

それでは、事業計画を策定するためには、具体的にどのようなステップで行うべきでしょうか?

筆者は、今まで中小企業を中心に中期経営計画の策定や、再生フェーズにある企業の再生計画策定のコンサルティングを行ってきました。

このようなコンサルティングを行う際の標準的な事業計画の策定ステップをご紹介します。

STEP1:現状分析

計画を策定する際には、まずは現状分析を行います。

現状分析は、自社を取り巻く外部環境や、自社内の内部環境の分析などを行います。

いわゆるSWOT分析と呼ばれるものです。

分析方法の内容につきましては、「自社の強み・弱みの分析方法~SWOT分析と環境分析」をご覧ください。

簡単に申し上げると、外部環境分析と内部環境分析の主な目的は、以下のとおりです。

外部環境分析

市場環境の分析を通して、今後の売上高トレンド(伸びていくのか?維持が可能なのか?減少していくのか?)を予測する。今後、新たな分野での収益拡大の可能性(機会)を見出す。

内部環境分析

財務分析を通して、自社の正常収益力(特殊要素を除いた場合の収益力)を把握する。バリューチェーン分析や競合他社分析を通して、自社の強み・弱みを洗い出す。

STEP2:計画の策定

STEP1の現状分析に基づき、具体的な計画の策定に移ります。

①目標設定

まずは、計画期間(一般的に3年程度)の目標を設定します。

中期経営計画の策定の場合には、3年後の経営ビジョン(売上高・営業利益等の定量目標や、なりたい姿などの定性目標)、設備投資に関する事業計画の場合には回収期間(何年で回収するか?)などがあたります。

②成り行き計画の策定

続いて、STEP1の環境分析結果(売上高トレンドの予測や正常収益力)に基づいて、このままいった場合の成り行き計画を予測します。

なお、設備投資計画のような会社全体ではなく一部施策の効果などを測定する計画など、成り行き計画を策定するのに馴染まない場合には、この②は省いていただいても問題ありません。

具体的に成り行き計画の策定は、以下の流れで予測します。

<売り上げの予測>
外部環境分析の結果や、得意先別などの足元の販売状況などに鑑みて、このままいった場合の売上高を予測します。
こちらは、営業担当者が中心となり、ある程度固い水準(達成可能性の高い水準)で見積ります。

<変動費の見積り>
過去実績(売上比率)などに基づいて、売上高予測に対する変動費を見積ります。

<固定費の見積り>
過去実績に今後の変動要素(人員数の増減、設備投資予定など)を加味して、固定費を見積ります。

③戦略の検討

目標と成り行き計画が策定できると、目標に対するギャップが明らかになります。

続いては、このギャップを埋めるための戦略を検討します。

この戦略の検討方法には様々な手法がありますが、ここでは一つの例をご紹介します。

<切り口>
まず、戦略を検討する単位(切り口)を考えます。これには、主に2つの切り口があります。

1つ目の切り口は、バリューチェーンの機能(購買・マーケティング・製造・物流など)ごとに戦略を検討します。
つまり、購買戦略、マーケティング戦略、といった感じです。

2つ目の切り口は、勘定科目(売上高・仕入高・人件費など)ごとに戦略を検討します。つまり、売上高を伸ばす戦略、仕入高を減らす(利益率を上げる)戦略、といった感じです。

<検討方法>
続いて、それぞれの切り口について、具体的な戦略を検討していきますが、その検討方法の考え方として、TOWS分析と呼ばれるものがあります。

TOWS分析は、STEP1の現状分析で行ったSWOT分析の結果を用いて、強み・弱みと機会・脅威を掛け合わせることで方策を検討する方法です。

具体的には、強みと機会を掛け合わせ「当社の強みを活用して、この機会を活かす方法として、このような戦略がとれる」、強みと脅威を掛け合わせると・・・といった感じで検討していく方法です。

以下の4つの組み合わせから戦略を検討します。

・強み×機会 ~ 自社の強みを活かして、機会を最大化する戦略
・強み×脅威 ~ 自社の強みを活かして、脅威に対処する戦略
・弱み×機会 ~ 自社の弱みを補完して、機会を利用する戦略
・弱み×脅威 ~ 自社の弱みを補完して、脅威を最小化する戦略

以上の切り口・検討方法により戦略を立案したら、戦略による効果を試算し②で策定した成り行き計画へ反映します。

④目標達成度合いの検証

戦略を反映した計画について、①で策定した目標を達成できる水準になっているか検証します。

もし、目標を達成できる水準になっていない場合には、改めて③に戻り、更なる戦略を検討します。

事業計画策定にあたっての注意点

最後に、事業計画策定にあたっての注意点について、事業計画は、必ず戦略とセットで検討する必要があります。

具体的な戦略の無い数字だけが独り歩きした事業計画は、当然達成するための方策が不透明になりますので、計画が絵に描いた餅に終わってしまう可能性が高くなります。

また、自分たちの計画であることを強く自覚し、魂を込めて策定する必要があります。

これまで支援させていただいた先の中には、この計画はアタックスさんが策定したものだからと、実行段階になって現場の方が戦略どおりに動いていただけないケースもありました。

当然、これではせっかく策定した事業計画が実行されなくなってしまいます。

事業計画の策定にあたっては、現場のキーマンも巻き込み、自分たちの計画であるという意識を持ち、魂を込めて策定する必要があります。

以上、今回は具体的な事業計画の策定方法について、解説させていただきました。

これから事業計画を策定したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

また、弊社でも事業計画の策定をサポートすることが可能ですので、こちらよりお気軽にご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員
中小企業診断士 辻 裕之
銀行系システム会社、NRIデータサービス(現野村総合研究所)を経て、アタックスに参画。中堅中小企業を中心に、企業再生、M&Aサポート、計画経営推進、管理体制整備、経営顧問業務など幅広い業務にあたるオールラウンダーなプロジェクトマネージャーとして活躍中。
辻 裕之の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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