40年ぶり民法大改正の要点解説~「配偶者居住権」の創設~

平成30年7月、実に40年ぶりに民法が改正され、平成31年1月から順次施行されることになりました。本改正によって見直された項目は以下の6つです。

1.配偶者の居住権の保護
2.遺産分割等の見直し
3.遺言制度の見直し
4.遺留分制度の見直し
5.相続の効力等に関する見直し
6.相続人以外で貢献した人を考慮

相続の問題は、決して富める者にのみ発生するわけではありません。誰もがこの問題に直面する可能性があります。

この改正は一言でいえば、配偶者の権利の拡大です。超高齢化社会の、現代の家族事情に配慮したものとなっています。また、改正の多くが、手続きの煩雑さを解消した内容であることも特長的です。

「配偶者居住権」とは

そのなかで今回は、新たに創設された「配偶者居住権」について、その中身をみていきたいと思います。ただし、現時点で確定していない点もありますので、今後の動きを見守る必要があることはお含みおきください。

「配偶者居住権」とは、亡くなった夫が所有していた自宅建物について、その配偶者に終身または一定期間、この自宅の使用が認められ、配偶者は遺産分割や遺言などでこの権利を取得することができるというものです。

私のこれまでの経験では、亡くなった夫の財産を分ける際、配偶者である奥様は、自身の今後の生活のことを考えて、自宅と金銭を取得することを望むケースが多く見られます。

「配偶者居住権」活用による効果は?

この場合、「配偶者居住権」をどのように活用できるのか、具体的に事例を見てみましょう。

例えば、妻にも財産があり、また自宅の評価が思いのほか高いような場合、夫の相続と妻の相続(いわゆる二次相続のことですが)の合計の相続税で考えますと、自宅については妻ではなく子に相続させることが望ましい、ということがあります。

このような場合に、妻には「配偶者居住権」を取得させ、子には「実際の自宅」を取得させるという財産の分け方をすることによって、妻の不安を解消しつつ相続税を圧縮できるという効果が期待できます。

課税関係の未確定部分には要注意

しかし、ここからが未確定部分です。今後、詳細な取扱いが決まってくることになりますので、注意が必要です。

1.この自宅への相続税の特例である「小規模宅地等の特例」の適用の可否
2.この自宅を売却した場合の課税関係
3.この「配偶者居住権」を取得した配偶者が亡くなった場合の課税関係

ここでいう、3.の「配偶者が亡くなった場合の課税関係」とは、どういうことでしょうか。

「配偶者居住権」は配偶者にのみ認められた権利であるため、仮に配偶者が亡くなった際には相続税の対象とせず、また他の課税関係を用いて税金の精算もしないということになれば、「配偶者居住権」の活用によって、より効果的な相続税の圧縮が期待できます。

この「配偶者居住権」の他、「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」(配偶者には1億6、000千万円または法定相続分までは相続税がかからない、という相続税の特例)は、「誰が財産を取得するか」によって適用できるか否かが決まります。つまりどのように財産を分けるかで相続税が増減するということです。

今回は、あくまで民法の相続法の改正です。相続法に則って財産を分けることで、どのように相続税が増減するかを十分に検証したうえで判断することが大切です。

アタックス税理士法人は、創業73年の歴史をもつ財産承継支援のプロフェッショナルファームです。「万が一」に備えて、ぜひとも専門家にご相談ください。

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筆者紹介

アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 村井 克行
1987年 南山大学卒。「会計税務の知の集結と事例の体系化」を確立すべく立ち上げた「ナレッジセンター室長」を務めた後、現在は、組織再編や相続対策など、最新の税法・会社法の知識を生かした永続企業のための総合的な支援業務に従事。誠実で緻密な仕事ぶりは多くのオーナー経営者から高い評価を得ている。
村井克行の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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