自社株評価が変わります!~税制改正による影響と対策

12月28日付の日経新聞朝刊に「富裕層の節税封じ一段と 国外財産・タワマン高層階に網」という記事が掲載されました。

内容は平成29年度税制改正による国外財産に対する相続税や贈与税の見直し、タワーマンションの固定資産税の見直し、広大地の評価に関する見直しに関するもので、いずれも富裕層には厳しい改正となります。 同族会社のオーナー家にもこれらの改正内容にご留意いただきたいと思いますが、特に、自社株評価に関する見直し、中でも類似業種比準方式の計算方法の変更にはぜひ注目していただきたいと思います。

具体的には、平成29年1月1日以降の相続や贈与から、類似業種比準方式の計算式が下図のように変わります。
類似業種比準方式の計算式

つまり株価の算定において、「配当」「利益」「純資産」の比重が「1:3:1」から「1:1:1」になる、ということです。この計算式の変更により自社株評価には次のような影響があります。

(1) 利益の比重が3/5から1/3へ低下するので、業績好調な会社の株価は低下します。

(2) 同じく、利益の比重が低下するため、利益圧縮による株価引下げ対策の効果は低下します。

(3) 純資産の比重が1/5から1/3へ上昇するので、過去の利益の蓄積が多い会社(=自己資本の厚い会社)の株価は上昇します。

(1)によって株価は下がるが(3)によって株価が上がる、という両方の影響を受ける可能性がありますので、まずは計算式が変わることによる自社株評価への影響を確認する必要があります。 また、(2)については実行予定であったスキームの見直しが必要です。

例えば、先代に役員退職金を支給することによって利益を圧縮し株価が下がったところで後継者に自社株を引き渡すという“王道”のスキームを予定しているとします。前述のように、今回の改正で、利益の比重は3/5から1/3へ低下するため、その効果をシミュレーションし直し、場合によっては対策の再検討も必要です。

自社株評価に関する見直しについてはこの計算式の変更の他に「大会社・中会社の規模の見直し」「類似業種の株価について2年間平均を加える」「類似業種の配当・利益・純資産について連結決算を反映」という変更もあります。これらについても、具体的なデータなどが公表され次第、ぜひ自社株評価への影響を確認いただきたいと思います。

アタックスグループは、70年超にわたり、中堅中小企業の自社株承継、経営承継をご支援して参りました。時間をかけた丁寧なヒアリング、承継後の企業永続を最も重視したスキームの策定と実施に伴走します。いつでもご相談ください。

筆者紹介

アタックスグループ パートナー 税理士 村井 克行
1987年 南山大学卒。「会計税務の知の集結と事例の体系化」を確立すべく立ち上げた「ナレッジセンター室長」を務めた後、現在は、組織再編や相続対策など、最新の税法・会社法の知識を生かした永続企業のための総合的な支援業務に従事。誠実で緻密な仕事ぶりは多くのオーナー経営者から高い評価を得ている。
村井克行の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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