中小企業の資金繰りを助けるための中小企業円滑化法を利用して返済猶予を受けたのにもかかわらず、倒産する企業が急増しており、返済猶予後の倒産件数は8月に15件で、前年同月の2.5倍に膨らんだ。

企業は、損益が黒字であっても資金が赤字となった場合は倒産することとなり、返済猶予後に倒産した企業は、通常の営業活動の経常収入から本収入を獲得するために支出した経常支出を差し引いた経常収支が赤字であったことが推察でき、この状況は営業活動を継続しても、資金的には赤字であったことをあらわしている。

資金的な危機に陥った会社が倒産を回避するには、経常収支が黒字であることが前提となり、経常収支を黒字にするためには、経常収入の増加・経常支出の削減の両面から検討することとなる。

しかし、売上高の増加による経常収入の増加に関しては、中小企業景況調査によれば震災が発生した3月以降、継続して売上が減少していると認識している企業のほうが多い。また、倒産原因においても販売不振を中心とする「不況型」倒産が増加している中においては、売上高の拡大による経常収入の増加よりも聖域なき経費削減による経常支出の削減策を策定・実施せざるを得ない。

過去および将来の経常収支の推移を把握することは、企業の資金ショートのシグナルを掴むことにつながり、企業継続の可能性を明確にすることができる。

また、自社の経常収支が黒字で推移していたとしても、今後、販売不振による倒産件数が増加することが懸念されるため、経常収入の中心となる販売代金の回収状況については注視することが必要となり、今後、全ての企業において、経常収支を重視した経営が必要となる。

<参考記事>
「返済猶予後の倒産増加」
2011年9月3日(土)日本経済新聞 朝刊

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 取締役 錦見 直樹
1987年 富山大学卒。月次決算制度を中心とした業績管理制度の構築や経理に関する業務改善指導を中心としたコンサルティング業務に従事。グループ7社を有す中小企業の経理・経営企画部門出向中に培った豊富な経理実務経験を武器に、経営者、経理責任者の参謀役として活躍中。
錦見直樹の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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