月次報告・業績検討会を行う

経営のマネジメントサイクルをPDCA(プラン・ドウ・チェック・アクション)と言います。

月次報告・業績検討会は月次決算終了後すみやかに行われる月次業績の検討(チェック)の場であり、当月以降の活動(アクション)に検討結果を反映させるためのものです。

月次報告・業績検討会を行うためには月次報告で必要となる業績判断資料を整備し、業績検討会を開催しなければなりません。

月次決算は段階的にレベルアップさせる」で月次決算制度は、
(1)会社全体での月次決算
(2)部門別の月次決算
(3)予算管理を導入した月次決算
と、段階的にレベルアップをすることが定石であると述べました。

第一ステップの「会社全体での月次決算」で必要となる月次報告資料は、「月次決算は段階的にレベルアップさせる」で述べたように貸借対照表、変動損益計算書、キャッシュフロー計算書、経営指標一覧表です。
この四表以外に業績管理資料(得意先別売上・粗利、商品別売上・粗利、得意先別受注残、売掛金回収状況、在庫管理資料など)が必要であれば適宜作成することになります。

業績管理資料を経営者、経営幹部に有効に利用してもらうためには、資料が業績向上に役立つ、急所を押さえた情報であることと、見やすい形で資料が作られていることが重要です。
グラフや図表を上手に使ったり、時系列で情報を表示したり、全体から部分へ情報をブレイクダウンしたり、同業他社情報を表示するといった工夫をすると、見やすくかつ使いやすい業績管理資料となります。

以上の月次報告資料が整備されると会社全体の業績(財務状況、損益状況、資金状況)が把握できるようになります。

社長以下経営幹部は、月次の業績検討会(1時間~2時間)によって決算書を読みこなす能力が身につき、経営改善の着眼点を月次報告資料から見つけ出すことができるようになります。

第二のステップの「部門別の月次決算」では、第一ステップの資料に加えて部門別変動損益計算書をはじめ部門の業績管理を行う上で必要となる各種の部門別管理資料を作成します。

この段階での業績検討会はプロフィットセンターごとの具体的な業績の検討が中心となりますから、部門長が一堂に会した検討会では、一つの部門に議論が集中すると他部門の管理者は長々と待たされてしまうことになり、無駄な時間を過ごすことにもなりかねません。

そこでこんな弊害をなくすためには、業績レビューシステムとして社長と部門長が一対一で自部門の業績向上のための話し合いの場を持つことをお勧めします。部門の数が多くなると社長が部門の業績レビューに丸一日時間をとられることにもなり、社長にとってはきわめてハードスケジュールとなりますが、やっただけの効果は必ず出てきます。

E 社では従来、部門長が一堂に会した会議形式で業績検討会を行っていましたが、長時問掛けるわりには会議が形式的になり結果は不十分なもので、前述したような弊害が出たため、社長が丸一日掛けて各部門長と一対一の業績レビューを行うシステムを採用したところ、社長が部門長と部門の問題をひざを交えて話し合うことで社長の部門に対する理解が深まり、部門長のモチベーションもアップし、中身のある業績検討ができるようになりました。

なお、社長と部門長との一対一の業績レビュー以外に、社長(経営陣)と部門長全員が参加する業績検討会議も、業績報告レポートに基づき毎月開催することが必要です。この会議は全社業績検討の場と同時に、各部門長からの報告(前月実績の報告・問題点の整理と原因分析・今後の対策)の場であり、部門長同士が問題意識と情報を共有する場となります。

第三ステップの「予算管理を導入した月次決算」では、業績報告レポートに前年実績に加えて予算対比が加わります。
当然、月次業績は予算達成率で評価されることになり、プロフィットセンターの部門長の業績責任は重くなります。社長と部門長との一対一の業績検討レビューは、予算の未達原因の究明と対策案の検討が中心となります。

以上が月次報告・業績検討会の概要ですが、ここで、月次決算の目的は月次報告資料を作るだけでなく、月次報告資料を使って月次報告・業績検討会をタイムリーに行い業績向上に結びつけることであることをあらためて強調したいと思います。

なお、蛇足ですが、月次報告・業績検討会の開催に当たっては、会議資料を事前に準備し、会議の参加者にあらかじめ配布しておくこと、当日の議事進行プログラムを作っておくこと、会議が終了した後で議事録を作成し、参加者へ配布することが必要であることをつけ加えておきます。



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筆者紹介

丸山 弘昭アタックスグループ 代表パートナー公認会計士・税理士
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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