役員報酬・役員退職金の設計はこう考える!~経営者利潤獲得の考え方

最近、経営者の方と話をしていますと、「売上も伸びてきて利益も出ているから役員報酬を増やそうと思うけど、報酬を増やしても税金と社会保険料で半分取られるから、損した気分になる」と仰ることがあります。

所得税の納税、社会保険料の納付は、義務ですので、当然適切に行っていただくべきものです。しかし、一個人として、最終的な手取りが多い方が良いというお気持ちもよく分かります。

税金に絞ってお話をしますと、役員報酬のような給与所得は、総合課税に区分され、課税所得が1,800万円を超えますと所得税が40%(復興特別所得税を除く)、住民税が10%課されますので、約半分を税金として納めることになります。

このような話になった場合、税金面で私が経営者にお伝えすることは2つです。一つは役員退職金の活用、もう一つは株式譲渡の課税の活用です。

役員退職金の活用

一つ目の退職金は、役員に限らず、税金面で優遇されており、簡単に言いますと、給与で同じ金額をもらうよりも税金が半分で済みます。いわゆるハーフタックスと言われる制度で、退職金が長年の勤労に対する報償的給与として位置づけられているためです。

では、役員報酬を必要最低限まで下げ、減額した分を役員退職金で一気にもらえば良いかというと、現実的には難しいのです。

通常、役員退職金の適正額を計算する際、

「退任時の役員報酬の最終月額×勤続年数×功績倍率」

という算式を用いるため、役員報酬を下げることで、最終月額報酬も下がり、役員退職金の適正額も下がってしまうのです。

そのため、累進課税で課される役員報酬の所得税額と、役員退職金に課される税金のバランスを見ながら、役員報酬の水準を決められたらいかがですか、とお伝えしています。

(ご参考)事業承継:
アニメ動画で学ぶ「事業承継の基本」~村井税理士に聞いてみよう~|社長の知恵袋

この場合、いつ頃引退し、いくらぐらいの役員退職金を受給する予定かをあらかじめ決めておかれると、よりシミュレーションがしやすくなります。 また、まとまった役員退職金を出すことで、経営されている会社の株式の価格が下がることもあります。

従って、事業承継で後継者に会社を渡していく場合には、役員退職金の支給時期とともに株式の承継もいつ行うかということも検討する必要があります。

株式譲渡の課税の活用

次に、もう一つの株式譲渡の課税についてご説明します。 株式の譲渡益は、総合課税ではなく、分離課税として一律20%(所得税15%、住民税5%)と決められており、多額の譲渡益であっても、税率が変わりません。

この比較的低い税率は、経営者が引退される際に、M&AやMBOというスキームで、経営されている会社を売却することで活用できます。

もし、引き継ぐ後継者がいないため、将来的に会社を売却することを検討されている場合は、役員報酬は必要最低限にしておき、純資産を十分に貯め、財務状況を良くした上で、売却することも一つの方法です。

売却金額を大きくすることで、株式譲渡の課税(20%)の税率を最大限活用でき、結果、手取り額が増える可能性もあります。

通常、事業承継を考える際、後継者の選抜や育成株式の承継をどうするかということなどを検討します。

しかし、経営者として頑張った証として、経営者利潤を工夫して出来るだけ多く貰うということも検討すべきポイントの一つだと思います。 そのためには、事業承継計画を立てる際に、その出口(親族内承継なのか、親族外承継なのかなど)に応じて、役員報酬や役員退職金をどうしていくのかということを計画的に決められることも大事だと言えます。

アタックスの事業承継

筆者紹介

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アタックス税理士法人 主任コンサルタント
稲木 武雄 (いなき たけお)
2000年 金沢大学卒。ベンチャー企業から上場会社まで幅広い会社の税務顧問業務を担当、また、組織再編成実行支援といった特殊税務や相続対策などの資産税についても幅広く対応、総合的な税務コンサルタントとして活躍するプロジェクトマネージャー。

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