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海外に移住すると税金が安くなる?~海外移住のメリットと注意点~

投稿日:2020年7月16日 更新日:

日本には所得税や相続税、贈与税、消費税など様々な税金(国税)があります。
また、その他に固定資産税や住民税など地方自治体に納める税金もいろいろあります。

そのため、毎月の給与明細を見たり、年末調整や確定申告の時期になると、多くの税金を納めていると感じることも少なくありません。

最近では、富裕層を中心に、国境を越えて海外へ移住する事例が多くなっています。

そこで、今回は、私が出向しているシンガポールを例にとって、海外移住のメリットと注意点をお伝えしたいと思います。


 

日本とシンガポールの税率の比較

海外に移住することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
まずは、日本とシンガポールの税率を比較してみましょう。


 

海外移住のメリット

上図のように、日本とシンガポールでは税率だけを見ても大きな違いがあります。

例えば、給与所得をみても、1,000万円の給与がある場合の納税額は、

所得税82万円+住民税63万円=145万円・・・日本 (※1)
所得税70万円+住民税0円70万円・・・シンガポール (※2)

(※1) 基礎控除、給与所得控除、概算による社会保険料控除を加味した税額です。
(※2) 基礎控除のみ加味した税額です。換算レートは1SGD=78円としています。

となり、負担する税額に大きな差があることがわかります。

このように、日本と比較して各種税率が低い国へ移住する場合、税負担が小さくなる(=手取り金額が大きくなる)という点が、移住のメリットの一つとなります

このことを、タックスメリットを享受するといいます。

シンガポールのように、住民税がない国に就職すると日本で就職する場合と比較して住民税相当額のタックスメリットがあるといえます。

また、相続税や贈与税がない国では、一定の要件を満たした場合、所有する財産を税負担なくご家族等へ譲ることができる可能性があり、タックスメリットを享受することができると考えられます。


 
 

海外移住の注意点

ただ、移住のメリットの1つとしてタックスメリットが挙げられるのは確かですが、タックスメリットのみで移住することは得策ではありません。

次に、海外へ移住する際の注意点についてお話をします。

ビザ

海外に移住する場合、在留資格となるビザが必ず必要となります。
移住を希望する国により、ビザの取得方法や取得のしやすさは全く異なります。
検討する際には、現地の専門家を含めて余裕をもって計画を練る必要があります。

シンガポールでは、最終学歴や年齢などによってもビザ取得に影響を及ぼします。
また、昨今でいえば、コロナウィルスや選挙動向によっても、大きな影響が出ます。
現地の最新情報を入手しながら、専門家に申請を依頼することをお勧めします。

生活コスト

食費、家賃、医療費など日々の生活に必要になるコストにも注意が必要です。
日本では、近年において物価に大きな変化はありませんが、世界各国では物価は上昇傾向にあるといえます。

シンガポールでは、賃料は東京23区並み、医療費は全額自己負担と、生活コストはかなり高くなります。
安全な国であるほど、生活コストは高くなる傾向があります。

タックスメリットを享受する一方、生活コストの負担が大きくなれば、移住のメリットがなくなりますので、移住後の経済的負担も冷静に見極めて決断をすることをお勧めします。


 

相続税贈与税改正

シンガポールでは相続税や贈与税がありません。
前述のとおり、一定の要件を満たす場合は、所有する財産をご家族等へ無税で譲ることができます。

しかし、課税当局も一定の要件のハードルを高くしており、移住により容易な財産移転、承継ができないように法改正を行っています。

法改正のポイントを2つお伝えしますと以下のとおりです。

  • 移住をしても日本国内にある財産(国内財産)の相続や贈与については、必ず日本の相続税や贈与税の対象となる。
  • 財産を渡す者(被相続人、贈与者)と財産を受け取る者(相続人、受贈者)が共に10年以上海外に居住している場合、海外財産の相続及び贈与については日本の相続税及び贈与税の対象にはならない。

移住を検討する際には、要件をしっかりと理解した上で検討することをお勧めします。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 社員 税理士 片岡 宏将
2002年 静岡大学大学院卒。税務顧問業務を中心に中小企業から上場会社まで幅広い法人を担当。クライアントとの直接対話をモットーに、税務顧問、国際税務業務、税務コンサルティング業務等のプロジェクトマネージャーとして活躍中。

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