リストラ相談お断り【194号】

リストラ相談お断り【194号】

業績が低下したり、赤字経営が余儀なくされると、罪のない社員の希望退職者を募集したり、協力企業に大幅なコストダウン等を強いる企業が少なからず存在する。

企業を存続するために止むを得ない苦渋の選択などと言いながら、自身の報酬はたいして減額せず、その後も居座る経営者も多い。

こうした経営者がリーダーである企業が、長期にわたって反映した歴史はない。

一時は業績が高まったとしても、誠実な社員をはじめとする関係者が、次第に組織に嫌気がさし組織を見捨てるからである。

これは筆者がよく言う「正しき経営は決して滅びないが、欺瞞に満ちた経営は『やがて』滅びる…」である。

「やがて」が曲者で、「茹でがえる現象」ではないが、正しい経営に気がついた時には「終わり…」である。

都合が悪くなると、社員へのリストラをしたり、協力企業へ理不尽な要求を強いたりする企業は、経営者が最も罪深いが、同様に問われなければならないのが、金融機関や、顧問や再建を依頼された経営コンサルタントである。というのは、人減らしや下請けいじめを助長するようなアドバイスを平気でするからである。

金融機関や経営コンサルタントが、経営者に対し「まずは、あなたの報酬を大幅に減額しなさい」とか「こうした時のために、蓄えてきた内部留保金を取り崩して、社員とその家族の命と生活を守りましょう…」とアドバイスしたならば、リストラをされ路頭に迷う人々は大幅に減少するはずである。

こうした真っ当なことを進言しない・できない金融機関や経営コンサルタントが多いのは、未だ「人重視・幸せ重視」ではなく「業績重視・勝ち負け重視」の経営学が主流だからである。

また、それを助長するようなMBA教育や中小企業診断士試験が、依然行われていることも問題である。加えて言えば、もとより全てではないが、金融機関や経営コンサルタント諸氏が、担当企業から契約解除、つまり、失職を恐れていることも大きい。

こうした中にあって、これぞあるべき経営コンサルタントと筆者が高い評価をしている方々も少なからずいる。その一人が宮崎県の「K事務所」である。

まず驚くのが、事務所に入り相談室のテーブルのプラスチックボードの下の1枚のメモ用紙である。

そこには大きな文字で「リストラ相談お断り」と書いてあるのである。その目的は、「決してやってはいけない事を応援するような事務所ではありたくない…」「スタッフに心痛むような書類はつくらせたくないから…」という。

筆者が「相談者の反応はどうですか…」と聞くと、「かつては、相談に来られた方で、相談室に女性スタッフが通し、所長であるK氏が行くと、いなくなっていたというケースも時々ありました。しかし、今はそういう相談者はいませんし、万が一いたとしても、人を大切にしなさいとアドバイスをします…」と話してくれた。経営コンサルタントの鏡である。

 

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