アジアの経営者に思う【185号】

アジアの経営者に思う【185号】

数年前からであるが、毎月のようにアジアの国々の経営者が、私たちの唱える業績や勝ち負けではなく「人を大切にする経営学」を学びにわざわざ来日する。

その国・地域は、タイ・台湾・ヴェトナムなどもあるが、とりわけ多い国は中国の経営者である。

来日の目的は「5方良しの経営」「人を大切にする経営」を理論と実務の両面から学ぶためである。

このため、半日から1日は、私たちからの講義。その後、1日から2日かけ「5方良しの経営」を実践している中小企業を訪問研究するのである。

来日するきっかけは、筆者らの書いた本が、中国語等で翻訳されていることもあるが、最大の要因は、一度来日し勉強をした方々が、国に帰り、いろいろな場面で学んだことを話す、その話を聞いた方がまた別の人に…といった、まさにクチコミである。

講義資料は、例えば、中国人の場合は、同時通訳に近いほどの文章を記載したパワポで講義することもあり、講義を聞く受講者の必死になってメモを取る姿、真剣な聞く態度には驚かされる。

同じような講義をしても、「何しに来たのだろうか…」と疑いたくなるほど、ひどい受講者が少なからずいる日本における講演会とは、残念ながら随分違う。

そればかりか、講義終了後の感想文や質問の内容やレベル等を見ても、「日本の誠実な経営者が書いたのではないか…」と、見間違えるようなものばかりである。

いつぞや、参加者の方々に、「なぜ大企業ではなく『中小企業』なぜ効果・効率や生産性を高めるための経営学ではなく『人本経営学』を学びに来るのですか…」と、質問をしたことがある。

その時の衝撃的な回答は今でも鮮明に覚えている。

要約すると、

「もはや、日本の大企業から学ぶことはほとんどありません。
 大企業で学んだことを導入すれば、かつては一定の効果がありましたが、
 近年は導入すればするほど会社のギクシャクしてしまう。

 加えて言えば、業績や勝ち負けを重視するあまり、
 最も大切な人がそのための手段となってしまい、
 多くの社員を心身共に疲弊させてしまいました。

 こうした中『5方良しの経営学』『人本経営学』『社員とその家族第一主義経営』
 という考え方を知りました。

 これから、私たち中国の経営者が真剣に学ぶべきは、
 日本の有名大企業の経営ではなく、
 人を大切にする中小企業が実践している経営学だからです。」

と言いきったのである。

こうした真剣に良い企業になろうと真剣に学ぶ中国をはじめ、アジアの経営者の姿勢を見ると、日本の未来が心配でならない。

 

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