理念経営のすすめ【第168回】

理念経営のすすめ【第168回】

経営理念の存在と浸透は、企業経営を全社一丸となって推進していく上において、極めて重要である。
というのは、その組織の存在目的や向かうべき方向を示した経営理念がなければ、それはまるで方向舵のない飛行機や船のような経営に陥ってしまうからである。

属する組織の存在価値や方向が示されていなければ、社員をはじめとした関係する人々は、何をモノサシに、どんな努力をすればいいのかがわからず、疲弊と不安を増長させるだけである。

もとより、経営理念は、ただあればいいというものではない。
「いい経営理念」の存在と、その経営理念が全社員にまで浸透していることがより重要である。

「いい経営理念」とは、単に経営者や株主の満足度を高めるものではなく、社員はもとより取引先や顧客等5人の関係者が、心から共感・共鳴する内容のものでなければならない。

より重要なことは、その経営理念が関係する人々の言動の価値判断基準にまで落としこまれていることである。
つまり、理念と実践の一致であり、全社員への浸透である。

経営理念は立派だが、やっていることは、理念とは正反対であるならば、関係者の支持を得ることができないばかりか、とりわけ、社員を心身ともに疲れさせてしまう。

しからば「いい経営理念とはどういう内容か…」、そして「経営理念を全社員に浸透させるにはどうすればいいのか…」である。
こうした疑問に応えるため、研究室では、1年の調査研究を踏まえ、去る3月末、『いい経営理念が会社を変える』(ラグーナ出版)というタイトルの書物を出版した。

全国各地の評価高い56社の経営理念とその浸透策について、現地取材に基づき、執筆したものである。

その1社が、沖縄県那覇市の琉球補聴器という社名の補聴器専門の小売業である。
同社の経営理念は「深い人間性」「広い社会性」そして「高い生産性」とあり、それぞれにその具体的意味が書かれている。
例えば「深い人間性」には、『わが社は、永遠の発展を目指し、親切丁寧をモットーにお客様に最善を尽くします』とある。
そしてこうした理念の浸透と具体的行動のために、毎日約1時間かけ「楽しい朝礼」を実施している。
同社が創業以来30年間、社員と顧客に支持され、好業績を持続しているゆえんも「いい経営理念」があったからと言える。

 

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