NPO法人 六星~視覚障がい者のために働く場をつくる【第159回】

NPO法人 六星~視覚障がい者のために働く場をつくる【第159回】

全国には、視覚障がいのある方が約32万人いる。加えて言えば、32万人の視覚障がい者の内、約7万人の方々は身体障がいや、知的障がいのある、いわゆる重複障がい者である。

障がい者の民間企業での就労は厳しいが、とりわけ視覚障がい者の就労は厳しく、現在、民間企業で就労している視覚障がい者は、僅か17,000人と、視覚障がい者全体の5%程度に過ぎない。

こうした現状を見かね、立ち上がった企業がある。
その企業は浜松市にあるNPO法人「六星」である。

創業は1996年、創業時は働く場を強く求めている6名の視覚障がい者と4名の職員の計10名であったが、苦労と努力が実り、現在では「ウイズ半田」と「ウイズ蜆塚」という2ヶ所の拠点に、51名の視覚障がい者と、12名の職員が就労する、わが国最大規模の視覚障がい者の就労施設にまで成長発展している。

同社の主事業は「白杖」「点字名刺」「点字広報誌」「ラベンダーのポプリの小物製品」「マグネットグッズ」「竹炭フクロウ」「手すきのハガキ」「布ぞうり」そして「たわし」など10数種類の商品の生産・販売である。

より驚かされることは、これら商品は、いずれも視覚障がい者と職員が、知恵を出し合い開発した自家商品ばかりである。

六星のリーダーは斯波千秋理事長である。
視覚障がい者の親御さんや、本人との出会いの中で、「家から出ず・家から出られず・家から出してもらえず…」という生活実態を知り、あえて立ち上がったのである。

数ヶ月前、社会人大学院生達10数名で、六星の1つの拠点「ウイズ蜆塚」を訪問させていただいた。
そこでは20数名の視覚障がいのある方々が、様々な仕事に取り組んでいたが、私たちをくぎ付けにしたのは、83歳の女性の仕事ぶりであった。

あの小さな針の穴に糸を通し、そして玉を作り、布ぞうりを縫いはじめたのである。親指のあちこちに血が滲んでいたが、「お金を払ってもいいから、ここで働き続けたい…」とニコニコ顔で私たちに語ってくれた時、筆者らは目頭を熱くした。

聞くと73歳で視力を失い、自宅に閉じこもり、1人暮らしをしていたが、斯波理事長さん達の懸命なリハビリ訓練で、再び勇気と希望を取り戻し、1日3時間働いているという。当日は、そこで生産されている商品を可能な限り買って帰るしか、私たちができることはなかった。

ともあれ、こうした頑張る企業の存在を見せつけられると、問題は外などと嘆き悲しむ中小企業に一段と奮起を求めたい。

 

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