中里スプリング製作所~楽しい・夢のある会社を創り、小さな独立企業へと変身【第152回】

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中里スプリング製作所~楽しい・夢のある会社を創り、小さな独立企業へと変身【第152回】

群馬県の高崎市の郊外に「株式会社中里スプリング製作所」という社名の中小企業がある。社員数はわずか20名、主事業は各種ばねの開発・製造である。

こういうと、全国どこにでもある町のバネ工場かと思われる読者もいるかも知れないが、その実態は傾注に値する、まさに小さな独立企業、スモールジャイアントである。

その特長の1つは、社員数20名ながら、なんと7,000種類以上もの多種多様なバネを生産する多品種少量生産型工場であるという点である。しかも、その大半は自社で設計開発したオリジナルの企画商品や特注バネという点である。社員数が20名ということを考えると、想像を絶する精鋭集団・開発集団である。

第2の特長は、その取引先の多さで、現在の同社の取引先は1,874社である。より驚くことは、その取引先は全国に及び、現在、取引企業のない都道府県は存在しないという。

第3の特長は、その経営姿勢であり、その最たる姿勢は、取引先を決める時、その企業が有名企業か・無名企業か、あるいは儲かるか・儲からないのか、ではなく「同社の社員がその企業や担当者を好きか・嫌いか…」で決めている点である。

それゆえ、有名ブランド企業からの、おいしい仕事であっても同社では断ることがよくあるという。全国各地の多くのバネ工場は、低単価発注や、大幅なコストダウン等、理不尽な取引を強要する企業との取引に、心身ともに疲れ果てている中、何ともうらやましい中小企業である。

とはいえ、同社はもともとこうした独立企業ではなかった。それどころか、上述した多くの町のバネ工場同様、下請けの悲哀を余儀なくされた中小企業であった。

こうしたこともあり、2代目である現中里良一社長も父親が創業した同社を継ぐ意思は全くなく、大学卒業後は都内のある商社に就職している。その中里社長が、同社に入社したきっかけは、第1次オイルショック後、それまで弱音を吐いたことのない、父親から、「今度こそだめかもしれない…」と寂しそうな声で、案に助けを求める電話があったからという。

入社したが、暗い・ぎすぎす感のはびこる・夢と希望のない職場の改革なくして将来は無いと思った中里社長は、10数名のスタッフと議論を重ね、全員参加の「夢会議」を立ち上げた。そして、「楽しい・夢のある職場を創るため、10年がかりで理不尽な取引を強要する企業とは取引をしなくて良い企業を創ろう…」と、ビジョン・夢の共有化を図った。

一方、当面の仕事の確保も重要で、これは商社マン時代培った自慢の営業力をいかし、仕事を求め全国に行脚をした。

こうした努力が実り、ゆっくりではあるが着実に、取引先の拡大と分散はもとより、オリジナルの規格バネの開発に成功したのである。

こうした企業の存在を見ると、中小企業の最大の問題は、規模や業種ではなく、経営者の経営の考え方・進め方といわざるを得ない。

 

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