マルトグループ~三方良しの経営を愚直一途に実践する小売店【第140回】

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マルトグループ~三方良しの経営を愚直一途に実践する小売店【第140回】

大手総合スーパーですら出店よりは退店が多くなっている近年、退店はほとんどないばかりか、その業績も長期にわたり快進撃なスーパーマーケットがある。

その企業名はマルトグループといい、食品スーパーを中核に、他にドラグストアーや衣料品店、さらには酒小売店などを展開する小売業である。

マルトの設立は、1964年、現社長の父である安島裕司現会長が、27歳の時、祖父から引き継いだ雑貨商を事業転換し、食品スーパー(20坪)として再スタートしている。

安島会長の父親は病身で、このため、祖父が雑貨商を開店し家計を支えるとともに、矢島会長は幼少の頃から祖父を手伝っていた。中学校3年生の時には、年老いた祖父からバトンタッチし、社長業を兼務していた。このため、学校に行く前にお店の開店の仕度をし、その後学校に行き、学校から帰ってからは再び会社…といった生活だった。

これまでの懸命な努力が実り、今や社員数は非正規社員(タイム社員)含め計2,200名、その売上高も約800億円、店舗も約100店舗、今や、いわき市最大の小売業にまで成長発展している。

とりわけ驚くのは、地域住民の支持率を表す商圏内売上高で、食品と薬に関するシェアはなんと50%である。地域には全国チェーンの大手スーパーや、他の中堅スーパーが多数立地していることを考えても、この占有率は驚異的である。

同社のこの間の成長発展の要因は多々あるが、あえて1つだけあげれば、同社の経営目的が地域住民等の関係者の高い支持を受けてきたと言える。

ちなみに同社の目的を示す社是は「商売とは心からありがとうと言って下さるお客様という名の友人をつくること」とある。また、経営理念は「幸せを創造する企業づくり~公平・公平・公明~」とある。

そして、基本姿勢には「地域のライフラインを守るのが使命と誇りです」とあり、このための、5つのテーマ(お客様の満足・従業員の満足・取引先の満足・地域住民の満足・関係者の満足)が高らかに掲げられている。

こうした経営の基本的な考え方が、見事に実践されたエピソードを1つだけ紹介する。それは、あの東日本大震災の時のことである。地震により、当社の多くの従業員も自宅等を被災したばかりか、当社も多くの店舗も被災し、その被害総額は10億円以上になったという。

しかしながら、同社の1店舗は、なんとその日の夕方から、残りの全ての店舗も、翌日にはオープンしたという。しかも通信網や交通網が不通の中、開店は各店舗の従業員の判断であったという。

地域の大半の店舗の開店には数週間を要したというが、同社は直ちに被害の少なかった社員とその家族が店舗に駆けつけ、凍てつく寒さの中、店舗の前に列をなす地域住民のために商品を提供し続けた。もとより、同社への納入業者が、誠実に取引してきた同社に対し、商品の搬入をし続けたからである。

 

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