沢根スプリング~小さな町工場の挑戦【第106回】

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沢根スプリング~小さな町工場の挑戦【第106回】

先般ある商工会議所主催の「ユニーク企業視察会」のコーディネーターとして、浜松市の「沢根スプリング」という社名の従業員数約50名の中小企業を訪問した。

主製品は社名の通り、各種のバネを製造しているが、その経営内容は一般的なバネ屋とは大きく異なる。

その特長を2点ほどあげると、第1点は、当社の商品構成と取引先についてである。一般的のバネ業界の大半は大手の下請企業といったタイプであるが、当社はなんと売上高の約50%は、自社ブランドバネである。

しかもその販売は、商社や問屋などを通さず、カタログ通信販売やネット販売で行っている。ちなみに現在当社の分厚いカタログに掲載されている自社バネの商品アイテムは何と5,000種類、その年間販売先は約18,000社である。

売上高の約50%は、未だ大手メーカーの下請的なバネの生産であるが、その実態は、やはり傾注に値する。

と言うのは、一般的に下請的バネ業界の取引先は1社依存や、せいぜい5社から10社程度であるが、当社の取引先はなんと約450社である。しかもより驚くのは、その取引比率で、大半が1%未満、1社あたりの取引比率はなんと0.23%である。

第2点は、当社のES経営である。

その内容は「毎月1回の全員参加懇談会」「社員による文集の製作・発行」「ありがとうカード」「毎月の給料袋に入れる『社員様とご家族様へ』の社長からの手紙」等多岐に及ぶが、紙面の都合で、ここでは、当社の残業時間を少し紹介する。

当社の就業時間は8時から17時まで1直であるが、驚くべきはその残業時間である。業界では月間残業時間が30時間以上になる企業も多いが、当社の残業時間は毎月平均5時間前後以下である。

美しい工場内を案内してくれた女性スタッフが、「当社の現場では17時30分前後に電話をくださっても誰も電話口に出ませんよ…特別なことのない限り、毎日ほぼ全員が17時には間違いなく退社します・・・」と、ニコニコ顔で話してくれた。

余談であるが、当社が採用時重視する条件の1つが「残業が嫌いな人・・・」という。

こうした経営が、経営の成果である業績を、いかに高めたのかを知りたい読者のためにあえて言えば1966年の創業以来、48期連続黒字経営、近年の売上高経常利益率は10%前後以上である。

もとより、当初からこうした経営体では決してなかった。それどころか、創業当初は100%の量産下請で過度な残業をせざるを得ない場合もあったという。「こんな経営をしていたら、自分も社員も幸せになれない・・・」と決意し、「社員の幸せを追求するバランス経営」を旗印に、この間、不断の経営革新努力を続けてきたのである。

 

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