ふくや~同業者を育てた地域を愛する会社【第104回】

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ふくや~同業者を育てた地域を愛する会社【第104回】

先般福岡市博多区に本社がある明太子のトップメーカーである「ふくや」を訪問した。当社の創業はまだ戦後の混乱の残る昭和23年、現社長の父、川原俊夫氏が奥さんと二人で現在地近くで家業としてスタートしている。

創業者の川原氏は、父親の仕事の関係で朝鮮半島の釜山で生まれ育ち、その後徴兵のため、アジアの南方戦線を生き延びてきた苦労人である。

終戦後、母国日本に帰還し、1年の準備後、明太子の開発に成功し「ふくや」を創業している。既存商品を仕入れ販売するとか、当時の売れ筋商品を物まねし、創業するという道もあったが、川原氏はあえてそれをやめ、最初から自家商品の製造販売という道を選んでいる。

その理由は、戦争の体験も踏まえ、地域の皆と共存・共栄していくためには、この世にないだれもやっていないビジネスの創造しかないと考えたからである。

それがふくやの「明太子」である。ちなみに「明太子」の原点は、あのキムチという。父親の仕事の関係で釜山で生まれ育った川原氏は、その味が忘れられず、それをアレンジすれば日本的な新食品が誕生すると考えたのである。

1年間試行錯誤し、ようやく「明太子」は開発されたが、初めての商品ということもあり、さらには、当時は夫婦二人の家業的企業であったこともあり、十分な広告宣伝費などもかける余裕もなかった。こうしたこともあり、販売の努力はしたが、市場の反応は鈍く、当初はほとんど売れなかった。

しかしながら、川原氏はめげず、その後、約10年間かけ改良に次ぐ改良を加えるとともに、販売の努力を行った。その努力により、次第に地域の飲食店等で購入されだすともに、新幹線の開通時期だったこともあり、地域産のお土産として次第に評価されていった。

苦節65年、夫婦二人でスタートした「ふくや」は今や、売上高は200億円弱、従業員数は約600名という業界最大手の企業にまで成長発展しているのである。

「ふくや」を創業した川原氏をはじめ、今日までの経営者が高く評価されるゆえんは、こうした当社の成長発展ぶりだけではない。

周知のように、現在福岡県内には約50社の「明太子」メーカーが存在する。味は若干違えど、製法技術やブランド名はおなじである。読者の方々はこの状況を不思議に思うかもしれない。

あえて言えば、これは創業者である川原氏が製法特許や商標ブランドなどを一切取得せず、惜しみなくその技術や経営ノウハウをオープンしてきたばかりか、参入したい人々に手とり足とり教え続けてくれたからである。そればかりか「元祖」等といった「われこそは…」といった差別化もあえていなかったからである。

それは川原氏が創業時お世話になった地域への御恩返しと当時これといった地場産品がなかったこの地に、地域の名物として育てたかったからである。ちなみに当社の地域貢献費は利益の10%というから凄い。

 

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