源田壮亮選手~チームの潤滑油を期待される新人選手【第77回】

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源田壮亮選手~チームの潤滑油を期待される新人選手【第77回】

2017年のプロ野球は開幕から2ヶ月近くが経過しましたが、5月28日(日)をもってセパ両リーグとも同一リーグ内の戦いを終え、今は3週間にわたるセパ交流戦に戦いの場を移しています。ここまで各チームとも5月28日時点で40数試合のゲームを消化していますが、昨シーズンの成績と比べてみると、セリーグでは阪神タイガースが、パリーグでは東北楽天ゴールデンイーグルス、埼玉西武ライオンズの両チームが昨年のBクラスから今年はAクラスでの戦いを繰り広げています。

この3チームの中で、昨年はシーズンを通してリーグワーストの101にも及ぶ失策を冒していた埼玉西武ライオンズが見事に守備の体制を建て直し、昨シーズンとは見違えるようなチームに生まれ変わったことがとても強く印象に残っています。これは今シーズンより正式に監督に就任された、かつての西武黄金時代に名手と謳われた辻発彦監督の手腕によるものであることは間違いありませんが、その辻野球の担い手の一人は、今年からチームに加わった新人内野手ではないかな、という気がしています。という訳で今回は、埼玉西武ライオンズの新人内野手・源田壮亮(ゲンダ・ソウスケ)選手を取りあげさせていただきます。

源田選手は1993年2月生まれの24歳、大分県大分市のご出身で、大分県立大分商業高校・愛知学院大学・トヨタ自動車を経て2016年秋のドラフトで埼玉西武ライオンズから3位指名を受け入団されています。高校時代には甲子園出場の経験はありませんが、大学では1年生の秋からショートのレギュラーに定着し、4年時には主将としてリーグ優勝(愛知大学野球連盟)にも貢献されました。

大学卒業後に進まれた社会人野球のトヨタ自動車でも1年目からレギュラーの座をつかみ、都市対抗野球の優勝に貢献されるなど、将来を嘱望される選手として注目を集めてこられました。ただ社会人野球の時代には9番を打っておられたこともあり、アマチュア時代全般を通じて守備力に、より高い評価を受けてこられた選手であったようです。

守ることに関してはグラブ捌きやフットワークの軽さ、捕球からスローイングまでの機敏さと送球の正確性といった点で入団時点で新人離れしているという評価を受けておられます。しかも足が速く、課題のバッティングさえある程度の形がつけられれば、結構早い時期に埼玉西武ライオンズのショートのレギュラーポジションを奪うことも可能、というのが入団が決まった時点の評価だったように思われます。

埼玉西武ライオンズは昨シーズン、前述した通りシーズン通算のチームエラーが101もあり、ショートのポジションが固定出来ず、計7人の選手が起用されています。エラーが多いか打てないか、結局誰一人としてポジションを奪い取ることが出来ずにシーズンを終えています。そういった意味では源田選手のドラフト指名は、チームにとってまさにドンピシャの補強であったと思われます。

しかし2017年にプロ入りした新人内野手全体では、打撃も含めた総合的な評価という点では、読売ジャイアンツに1位指名された吉川尚輝選手、中日ドラゴンズに2位指名された京田陽太選手の方が高く評価されていたかもしれません。入団後は守備と走塁に対して高く評価され、オープン戦で11試合に出場する機会を与えられ、しかも打撃でも打率.300という結果を残し、開幕一軍入りを勝ち取られました。

そして迎えた3月31日の開幕戦、源田選手は9番・ショートとしてスタメン出場を果たされましたが、埼玉西武ライオンズでは、その年の新入団選手で開幕スタメン出場となったのは1981年の石毛宏典選手以来36年ぶりのことだそうです。開幕からスタメンとして出場する選手はどの球団でも時々は見られますが、ずっと出続ける為には、それなりの結果を出さなければなりません。源田選手はスタメン出場した開幕戦で三遊間を抜けそうな当たりに飛びつき、一塁へのノーバウンド送球で刺すというファインプレーを見せたことを皮切りに、以降も安打性の当たりを凡打にしてしまう守備力を遺憾なく発揮されています。

開幕から1週間ほどたった頃には馬場敏史・内野守備走塁コーチは源田選手について「もう大丈夫でしょう。細かいことが色々出てくるとは思うが、それはその都度言えばいいこと」と、既に守備に関してはレギュラー選手並みの扱いをしていることを暗に認める発言をされていました。

また源田選手のもうひとつのセールスポイントである走力に関しても、開幕して6試合目のソフトバンク戦で、センター前ヒットで出塁された源田選手は中村剛也選手の1球目に盗塁を決められましたが、これが記念すべきプロ入り初盗塁でした。しかもベテラン左腕の和田毅投手から盗塁を成功させたことで、野球センスと度胸の良さを高く評価されることとなりました。以降も着実に盗塁を積み重ね、5月28日現在の盗塁数13はパリーグ1位の記録となっています。

埼玉西武ライオンズは5月28日時点で45試合を消化していますが、なんと源田選手はそのすべての試合に先発出場し、しかもフルイニング出場を果たしています。即ち課題であったはずの打撃も課題どころか、今やチームにとって欠くことの出来ない主力の働きを見せておられます。

45試合に出場して打率.304(リーグ11位、チーム内3位)、ホームランこそ1本もありませんが、打点は16点あげており、得点圏打率の.340はリーグ4位、チーム内2位の成績となっています。開幕当初9番であった打順も開幕5試合目以降は2番に定着しており、今やショート・2番を不動のものとされつつあるように思われます。

あまり高く評価されていなかった源田選手の打撃が何故これほどの短期間でここまで良くなったのかについて、源田選手ご自身はこんな趣旨のことを語っておられます。「もともとは引っ張り中心の打者だったんです。それが社会人の時に全部逆方向に打てと言われたことで、引っ張ろうと思っても引っ張れなくなっていました。ただプロ入り後のキャンプで『もう一回強く振れ』と言われて、強く振ることを徹底されたことで引っ張れるようになりました」。

元々俊足の左バッター(源田選手は右投左打の内野手です)故に当てるような打ち方をして、脚を使ったヒットを打つという小手先のバッティングを強いられていたようですが、プロ入りと共に強く振ることを心掛けた結果スイングが変わり、打撃そのものにも開眼されつつあるのかもしれません。と同時に源田選手ご自身が極めて順応性の高い選手のようで、プロのスピードに慣れ始めた10~20試合目あたりから急激にヒット数も増え始めています。

昨シーズン崩壊状態であった内野守備を整える為にドラフトで指名された源田選手には、当初打つことにそれ程の期待は掛けられていなかったのではないかと思われます。しかし守備と走塁に加えて、打つことでも十二分な戦力であることを自らが証明し始めると、辻監督をはじめ首脳陣は源田選手に打線の潤滑油として色々な役割を担わせるようになってきているようです。

埼玉西武ライオンズの1番バッターは2015年にシーズン最多安打記録(216本)を樹立した秋山翔吾選手ですが、今年も打ちまくっている秋山選手が塁に出ると、チャンスを広げるバッティングをし、自らが塁に出た際には、盗塁の構えを見せることで相手投手を警戒させ、どうしてもストレート系の球種が多くなることで、後を打つクリーンアップは球を絞りやすくなるといった効果を生み出しているようです。

嶋重宣打撃コーチは源田選手のバッティングの良さを「視野の広さ」と指摘されています。凡打になるにしても、どういう凡打がチームにとってプラスになるかを常に考えてプレーをしているそうです。だからこそ無死一塁で源田選手に打席がまわってきても、必ずしもバントのサインが出るのではなく、源田選手個人の判断に任せるケースがあるそうです。

たった45試合でここまで首脳陣の信頼を勝ち得ている源田選手も素晴らしいですが、選手の能力や適性に応じて任せるところは任せきる姿勢を持った辻監督をはじめとする首脳陣の度量も素晴らしいと感じました。

守備と防御をキッチリ整え機動力を駆使するという、辻監督の目指す野球が、源田選手という一枚のピースが加わることで大きく動き出したような気がします。守備のピースとなることへの期待が、今や攻撃面も含めてチーム全体の潤滑油としての期待も掛けられており、まさにチーム全体にとっても欠くべからざる存在となりつつあるように見受けられます。

これから先、梅雨時・夏場を迎え、試合に出続けていることによる体力への懸念も出てきますし、相手チームの研究も益々厳しくなってくるに違いありません。やって来るであろう試練も乗り越え、ぜひシーズン終了まで突っ走り、新人王を獲って欲しいなと願っています。埼玉西武ライオンズの躍進と源田選手のご活躍を心よりお祈りしています。

(おわり)
2017/5/30

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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