大谷翔平選手~極めよ、二刀流!見たこともない世界へ【第66回】

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大谷翔平選手~極めよ、二刀流!見たこともない世界へ【第66回】

2016年のプロ野球はペナントレースの戦いがすべて終わり、今はクライマックスシリーズへ戦いの場を移しています。パリーグは福岡ソフトバンクホークスが、セリーグは横浜DeNAベイスターズがそれぞれ千葉ロッテマリーンズ、読売ジャイアンツを下してファイナルステージへの進出を決めています。

私にとって自分自身がTVで観戦した試合の中で、今年のベストマッチは9月21日にゲーム差無しの状態での直接対決となった、北海道日本ハムファイターズと福岡ソフトバンクホークスの試合でした。先発の大谷翔平投手が8回を投げて、4安打・8奪三振・1失点の好投をみせ、2対1で日本ハム1点リードの9回裏、代わったバース投手がいきなり2塁打を打たれ、二人目の打者にデッドボール、その後犠牲バントを決められ、1アウトランナー2・3塁、一気に福岡ソフトバンクホークスの逆転サヨナラ勝ちの舞台が整ったところでピッチャー交代、代わった谷元投手が最初のバッターから三振を奪って2アウト、外野手はサヨナラ負け阻止の為に極端な前進守備、ソフトバンクの1番江川智晃選手の打った打球はセンター後方への大飛球、TVを観ていた私は「ソフトバンクが勝った。

ソフトバンクにマジック点灯」と思った瞬間、TVの画面には外野のフェンスへ向かって飛ぶボールと、背走につぐ背走で後ろへ向かって走る外野手・陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)選手の姿が同時に映し出されました。フェンス際まで背走した陽岱鋼選手が振り向きざまに伸ばした左手のグローブにボールが吸い込まれてゲームセット。この試合で福岡ソフトバンクホークスへのマジック点灯を阻止した日本ハムがそのまま押し切って優勝した訳ですが、この試合を見終わった時、このまま日本ハムが優勝したら陽岱鋼選手をこのコラムで取り上げてみようと心に決めました。

しかし一週間後の9月28日、マジック1で迎えた、勝てば優勝が決まるという試合での大谷翔平投手の言葉で言い尽くせないような投球を観てしまい、陽岱鋼選手は又の機会をいうことにさせてもらい、大変前置きが長くなってしまいましたが、今回は大谷翔平選手を取り上げさせていただくことにしました。

大谷翔平選手については、このシリーズの第23回で「異次元の世界へのチャレンジ」と題して取り上げさせていただいたことがあります。ひょっとしたら我々は誰も見たことのない異次元の伝説の目撃者になりつつあるのかもしれないと書いたのが2年数ヶ月前でした。その時から格段の進化を見せ、投手としては昨年既に規定投球回数をクリアして、ハーラーダービートップの15勝、防御率2.24、勝率.750で最多勝利、最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得されています。しかし昨年は打撃成績はイマイチで、投手としての貢献が打者としての貢献に比べて大きい一年でした。ところが今年は投打ともに素晴らしく、投手としては21試合に登板して10勝4敗、防御率1.86、奪三振174の成績でした。

残念ながら規定投球回数不足でタイトル獲得とはなりませんでしたが、これも残りはたった3回であり、優勝が決まった後の最終戦にあと3回投球していれば2年連続の最優秀防御率のタイトルが手に入っていただけに、ファンの勝手な心理としてはちょっと惜しかったな、と思わないでもありませんが、この後のクライマックスシリーズ、日本シリーズをにらんでの判断であったのだろうと推測されます。一方打者としては104試合に出場して、104安打を打ち打率.322、22本塁打、67打点、7盗塁という素晴らしい成績でした。一昨年に続き二度目の二桁勝利・二桁本塁打でしたが、今年は10勝・100安打・20本塁打という、多分ご本人以外誰も成し得ないであろう記録を残されたシーズンでした。

6月後半に最大11.5ゲーム差をつけられていた福岡ソフトバンクホークスをジワジワと追いつめていく過程では、打者としての大谷選手の果たした役割が実に大きかったと思われます。たまたま7月10日のロッテ戦で右手中指のマメを潰したことで、一度救援登板はあったものの約二ヶ月マウンドを離れ、その間は打者としてチームの浮上に大きく貢献されています。そして9月後半の最終盤では、冒頭に書いた9月21日の福岡ソフトバンクホークスとの直接対決での8回1失点の好投、9月28日の優勝を決めた埼玉西武ライオンズとの試合での1対0の完封勝ち、しかも打たれたヒットは1本、与えた四球はひとつ、ランナーを二人出しただけで15奪三振という、これ以上ない完璧な投球で、まさにチームの大黒柱、エースにしか成し得ない文句のない働きでした。

今年7月3日のソフトバンク戦に1番投手として先発した大谷選手は、1回表の攻撃で先頭打者として初球をホームランし、投げては8回無失点の勝利投手になるという離れ技を演じられましたが、今年は一試合の中で投打のヒーローになるケースもあれば、一年を通しても投打ともにチームの中心選手という、真の二刀流選手としての能力が誰もが認める形で開花した年であったと思われます。これまで辛口の批判が多かった野球評論家の張本勲氏、野村克也氏も今や大絶賛されるに至っており、野村氏に至ってはON(王・長嶋)に近い選手になるでしょう、とまで語っておられます。

超人的なアスリートの集まったプロ野球選手の中でも別格の存在として、今や北海道日本ハムファイターズという一球団の枠を超え、野球に興味を持つすべての人々を魅了し引き付け、プロ野球産業全体の隆盛にも多大な貢献をしつつあるようにさえ思われます。それはまるで画期的なイノベーションが社会に大きなインパクトを与え一大産業を勃興させる、そんなことをさえ想起させてくれます。ノーベル賞をとられた山中教授が発見されたIPS細胞が、水面下で医学薬学とその関連分野で大きなうねりを巻き起こしつつあり、いずれかの時期にはおおきな産業として勃興するのでは、と期待されていることと重なって見えてきます。

4年前のドラフト会議の際にメジャーへ行きたいので日本のプロ野球球団は指名しないで欲しいと言っていた大谷選手ですから、いつか日本の枠におさまりきれず、アメリカへ行ってしまわれるかもしれません。アメリカでメジャーの強打者相手に快刀乱麻の投球をしてくれる姿を観てみたいとも思いますし、メジャーの一流投手と対決するバッター大谷選手も観てみたいものです。ただしアメリカでは大金を投資した選手に対し、ケガのリスクが高い二刀流を許容してくれる球団は少ないだろうというのが一般的な見方のようです。

中4日で年間30試合前後、200イニング前後を投げ続ける中でバッターとしての調整もしていくことは、至難の技であろうかとは思えます。ただプロ入り後の4年間、非難と批判の嵐の中、自らの努力と実績で周りを黙らせてきた大谷選手ですから、これからも自らが選択されるチャレンジの道を見守ってあげたいなと思います。そしてアメリカへ渡られるまでの数年間、誰もが信じられないと思うような二刀流の記録を打ち立てていただくことを願いたいものです。例えば15勝・防御率1点台、打率3割3分・30本塁打・80打点・20盗塁といったような・・・。

そんな先々の夢もさることながら、今はパリーグのクライマックス・ファイナルステージ、勝ち上った場合に戦う日本シリーズの場での大谷選手の大活躍を心からお祈りしたいと思います。

(おわり)
2016/10/12

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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