マイルズ・マイコラス投手~抜群のパフォーマンス、青い目の大黒柱【第49回】

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マイルズ・マイコラス投手~抜群のパフォーマンス、青い目の大黒柱【第49回】

いよいよ2015年のプロ野球も大詰めが近づいてきました。今回の原稿を書いている8月終わりの時点で、パリーグは1位と2位、2位と3位の間に大差がついてしまい、どのチームが3位になるかに焦点が絞られましたが、セリーグはまだ混戦が続いており、ペナントレースの行方は全く予断を許しません。野球というゲームは何点得点をあげても、それ以上得点をとられたら負ける訳ですから、結局最後は投手力を含めた守りの力が大きなウェートを占めているように思われます。

そんな観点から、今回はシーズン開幕当初から徐々に徐々に力を発揮し、気がつけばチームの大黒柱として、今や押しも押されもしない大きな存在感を示しておられる一人の投手を取り上げてみたいと思います。その投手は読売ジャイアンツのマイルズ・マイコラス投手です。

マイコラス投手は1988年8月生まれの27歳、米国フロリダ州のご出身です。米国のノバサウスイースタン大学を経て2009年にMLBのドラフト7巡目(全体では204位)でサンディエゴ・パドレスから指名を受け入団されています。当初の3年間はマイナーリーグでトレーニングを積み、2012年5月にパドレスでメジャーデビューを果たしておられます。2012~2013年の2年間パドレスに在籍しておられましたが、この2年間はメジャーとマイナーの間で何度も昇格・降格を味わっておられます。結局この2年間は、主に中継ぎで通算27試合に登板し、2勝1敗・防御率3.62という記録が残っています。

2014年はトレードでテキサス・レンジャーズへ移籍され、ここでもメジャーとマイナーの昇降格を経験されましたが、先発投手に怪我人が続出するというチーム事情から先発投手に転向し、7月以降先発投手として10試合に登板し、2勝5敗・防御率6.44という成績を残されています。そして今シーズンより読売ジャイアンツに入団された訳ですが、先発ローテーション候補となり得る投手が欲しかった読売ジャイアンツと、ロースター(支配下に置く40人の選手枠のこと)が満杯で整理せざるを得ない状況にあったテキサス・レンジャーズの思惑が一致し、移籍の運びとなったようです。更にレンジャーズにしてみると読売ジャイアンツへの移籍で約20万ドルの移籍金を得ることができる点もスムーズな移籍に結びついたようです。

マイコラス投手は読売ジャイアンツへの入団時点では26歳、3年間のメジャー生活でそれ程目立った成績をあげていた訳ではありませんが、150キロを超える速球に、スライダー、カーブ、チェンジアップといった多彩な変化球を持ち合わせており、メジャー関係者の中でも「調子がいい時は攻略するのが難しい投手」という評価を得ておられたようです。26歳という若さも相まって、伸びしろの期待できる投手としての入団であったように思われます。

しかし開幕前のオープン戦では、日本の野球に慣れていないというハンデもあってか、勝ち星なしの4敗。それでも開幕第二節の4月2日の中日ドラゴンズ戦で来日初先発のチャンスを手にされます。この試合では6回を投げて被安打7、失点2で勝ち負けなしという結果でした。その後、交流戦が始まるまでの序盤戦では、5回先発して0勝2敗・防御率4.03と日本の野球への適応という点でかなり苦労もされていた様子が見てとれます。

その当時はランナーを出してからの投球にかなり課題を抱えておられたようで、セットポジションやクイック等、改善すべきポイントもいくつかあったようです。併せて試合中盤の6回以降、球速が急激に落ちることから、スタミナ面の強化も課題としてあげられていました。

このように交流戦が始まる前までの様子では、日本の野球に慣れて本来の力を発揮するには、もう少し時間が必要かなという感じにも見えましたが、

5月28日の西武ライオンズ戦で初勝利をあげると、交流戦に3試合登板して2勝1敗、セリーグ同士の戦いに戻ってからは、6月20日の中日ドラゴンズ戦での3勝目を皮切りに、9試合に登板して勝ち負けのつかなかった7月4日の中日ドラゴンズ戦を除き、なんと8連勝という結果を残されました。しかも読売ジャイアンツにとって当面の敵である、阪神タイガース相手の3勝、ヤクルトスワローズ相手の2勝を含んでおり、チームへの貢献度は極めて大きいものがあります。

更にこの8連勝中の9試合で自らの責任で点をとられたのはたった3試合、自責点4点という抜群の安定感を誇っておられますし、アメリカでよく使われる指標である「6回以上投げて3点以内に抑える」クオリティスタートという基準にあてはめると、この9試合はすべてがクオリティスタートに該当しています。(ちなみに先発された全17試合でも14回がクオリティスタートに該当しています)

このように時間の経過と共に、極めて高い適応能力を示されたマイコラス投手ですが、この裏ではランナーを出してからの課題や試合後半の球速低下という課題を解消する為、色々な角度からの指導をされたであろう一軍のピッチングスタッフ(斎藤雅樹コーチ、豊田清コーチ、田畑一也コーチ)の多大なご努力があったであろうことが容易に想像できます。

しかし好事魔多し! 8月18日の東京ドームでの阪神タイガース戦でエラーがらみの1点は奪われた(自責点ゼロ)ものの95球での完投勝利で10勝目をマークした後、右前腕部にに強い張りが出たということで8月23日に登録が抹消されました。幸い大事には至っていないようで、10日間の登録抹消期間が過ぎれば再びマウンドに戻って来られる見込みです。ただ本来ならマイコラス投手が登板予定であった8月25日のヤクルト戦では、代役として先発された投手が早い回に交代となっており、今さらながら存在の大きさを示された形となってしまいました。

シーズン開幕以来、序盤の一時期を除き、ほぼ中6日のローテーションを守って、8月末時点で17試合に登板して10勝3敗・防御率1.83という抜群のパフォーマンスを発揮しておられるマイコラス投手ですが、読売ジャイアンツがセリーグのクライマックスシリーズ進出を確保し、更には優勝、その先の日本シリーズへと進んでいく為には、マイコラス投手の力が必要不可欠、というより、もし今回の登録抹消が延びるような事態になれば読売ジャイアンツのシーズン終盤の戦いは極めて苦しいものになると言わざるをえません。

マイコラス投手は登録抹消になる直前の2試合を完投勝ちしておられます。本来であれば、これだけ厳しい戦いの続く最終盤、ローテーションの間隔を詰めて、中5日あるいは中4日で投げさせる場面が当然あるはずですが、右前腕部に強い張りが出て登録を抹消せざるを得なかった投手をどう使っていくか、原監督をはじめ首脳陣の手腕も見どころです。

そしてジャイアンツファンにとってのの大きな心配の種は、これだけのパフォーマンスを発揮し持てる能力の高さを見せつけたマイコラス投手に対して、メジャーリーグの各球団がどんなオファー(ちなみに読売ジャイアンツとは今年度70万ドルの1年契約になっています)を出してくるのか、という点です。それに対して読売ジャイアンツがどのような対抗処置を打ちだしてくるのか、グラウンドで繰り広げられる戦いとは別に注目していきたいと思います。

青い目の大黒柱であるマイコラス投手がシーズンの最終盤にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、一野球ファンとして大いに楽しませていただこうと思います。

(おわり)
2015/09/01

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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