森友哉選手~若き天才、大輪の花を!【第46回】

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森友哉選手~若き天才、大輪の花を!【第46回】

毎年夏に行なわれるプロ野球のオールスターゲームですが、交流戦が定着した今となっては、セリーグとパリーグのどちらが強いの?という興味は薄れ、名だたるスタープレーヤーがどんなプレーを見せてくれるのか、というところに関心は移っているような気がします。そうした中で今年は両リーグ最年少で最多得票となる53万6267票のファン投票を集めた埼玉西武ライオンズの森友哉(モリトモヤ)選手が話題となりました。という訳で今回は森選手のことを記してみたいと思います。

森選手は1995年8月生まれの19歳(まもなく20歳ですが・・・)、大阪府堺市出身、右投左打の選手です。大阪桐蔭高校時代には、高校2年の時に現阪神タイガースの藤浪晋太郎投手とバッテリーを組んで甲子園の春夏連覇を成し遂げています。自身が3年生となった翌年も主将として春夏の甲子園に出場されていますが、優勝には手が届きませんでした。ただ甲子園の通算記録は14試合に出場して打率.473、5本塁打と素晴らしい成績を残し、強打好守の捕手として2013年秋のドラフトで埼玉西武ライオンズから1巡目で指名され入団されています。

プロ1年目であった昨年(2014年)は、開幕は二軍スタートであったものの7月後半に一軍に昇格し、8月半ばには代打も含めて3試合連続のホームランを打つなど、打つことに関しては評判に違わぬ強打の片鱗を見せ、41試合に出場して打率.275、6本塁打、15打点と、高卒1年目の野手としては十分評価に値する成績を残しておられます。ただ捕手としての守りには多くの課題も目につき、スローイング、キャッチング、配球、投手との信頼関係など、どの点を見ても西武ライオンズの正捕手である炭谷銀仁朗選手とは歴然たる差があるという見方をされているようです。

そして今シーズンが始まる前のキャンプ中、田辺監督は「森については(炭谷)銀仁朗と競わせますが、もしとんでもなく打つようならDHでの起用も考えます」と述べておられましたが、シーズンが始まるとその言葉どおり、開幕からDHで起用され、交流戦の一時期少しスランプ気味の時はあったものの、これまでコンスタントに打ち続け、立派に結果を出し続けておられます。

オールスター戦に入る直前の段階で、84試合に出場し打率.292、13本塁打、45打点を記録し、今やチームに無くてはならない中核打者のお一人として、その存在感は益々大きくなっています。貴重な戦力と認められた結果、田辺監督は7月上旬に「森の今季の捕手起用はない。正捕手の炭谷に何かあっても2番手は岡田でいく」と明言されました。そして森選手については「今は打撃で更に自信をつけさせることを優先。捕手をさせることで打撃までダメになるのが一番恐ろしい」と育成の方針についても明らかにされています。

このように高卒2年目とは思えないような高い適応能力を発揮されている森選手ですが、その能力はプロに入る前から群を抜いたものであったようです。それは森選手の母校である大阪桐蔭高校の西谷浩一監督が「教え子の中では森がナンバーワンの打者」と述べておられる言葉に端的に示されているように思われます。

大阪桐蔭高校出身の打者と言うと日本ハムファイターズの中田翔選手、西武ライオンズの中村剛也(タケヤ)選手、浅村栄斗(ヒデト)選手、中日ドラゴンズの平田良介選手、阪神タイガースの西岡剛(ツヨシ)選手と錚々たる顔ぶれが並びますが、平田選手を除く他の選手は、中村選手の5度のホームラン王をはじめ、すべて打撃のタイトルホルダーです。

高校時代から先々プロ入りする選手を何人も見てきた西谷監督が、これら錚々たる顔ぶれの選手よりも高い評価をしておられる訳ですから、森選手の潜在能力には末恐ろしいものを感じます。

ちなみに余談ですが、これら後にこれだけ大成する選手たちを大阪桐蔭の西谷監督はどうやって集めておられるのか、とても興味をひかれるところですが、西谷監督はこんなことを言っておられます。

「まず何を見るかと言われれば、1球目から振っていける選手かどうかという点です。普通球技というのは攻撃する側がボールを持っていますが、野球だけはディフェンス側、つまりピッチャーがボールを持っています。バッターは攻撃側なのに受け身にならざるを得ないんです。だからこそ積極的に振っていけるか、そういう気構えのある選手かどうかが大事だと考えています。」

先ほど名前を挙げた錚々たる選手たちは、この基準をクリアして集められた選手たちなのでしょう。更にバッティングの練習という面で大阪桐蔭高校が他校と比べてものすごく振り込んでいるかと言うと、そんなことはないらしく、ただ他校と違いがあるとすれば、シートバッティングや紅白戦といった実戦形式の練習を毎日やることだそうです。

それも打撃投手ではなく、本職のピッチャーが抑えにかかって投げてくるボールを打つ練習を徹底しているそうです。更にシートバッティングでは、1死ランナー二塁、1ボール2ストライクといった厳しい場面を想定しての練習を繰り返すことで勝負強さを身につけていかれるようです。これは後にプロに進まれた選手のお一人も、あの練習は役にたったし今の自分につながっていると述懐しておられます。

森選手について言えば、こうしたベースを身につけて入団されたチームが西武ライオンズであったというのも、ある意味とても幸運でもあったようにも思われます。西武ライオンズというチームは、かつての名投手東尾脩氏が監督に就任されて以降、自由闊達であると共にしっかりした指導がなされるというチームカラーに生まれ変わっています。バッティングに関しては、体格がそれほど大きくなくても「しっかり振る」ことが徹底され、かつ各選手の持ち味が個性として大切にされています。

森選手もガッチリした体格ではありますが、公称の身長が170cmとプロ野球選手の中では小柄な部類の選手です。しかも両脚が大地にめり込んでいるかのような低い重心の構えから、体が壊れてしまうのではないかと思われる程のフルスイングをされますが、それこそ森選手の個性として大事にされています。

また捕手というポジションについても、もし森選手がセリーグのチームにドラフト指名されていたら、今ほどの出場機会は得られていなかったのかもしれません。プロ入り2年目の若手捕手を育てると公言しながら、勝負の前ではなかなか出場機会を与えることの出来ない阪神タイガース、読売ジャイアンツの事例を見せつけられると余計にそう思ってしまいます。

高校時代に才能の芽を育まれ、プロに入ってその能力を大きく開花させつつある森選手を見ていると「スター」と呼ばれるような選手は、自らの能力を開花させる環境をも目に見えない力で引き寄せておられるのかなと思えてきます。プロ野球の評論家や現役の選手の何人もの方が驚きと共に絶賛される、天才的とも思える打撃センスが今後どのように花開いていくのか、一プロ野球ファンとして楽しみに見守り続けたいと思います。

ただ森選手の、あの独特の沈み込むような打撃フォームは下半身への負担も大きいようで、シーズン後半疲れのたまってくる時期を乗り切っていけるか、という課題も指摘されています。これからの優勝争い、クライマックスシリーズの戦いへ向けて、ケガをせず大いにご活躍いただくことを心よりお祈りしています。

(おわり)
2015/07/24

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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