頑張れ!独立リーグの選手たち【第45回】

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頑張れ!独立リーグの選手たち【第45回】

2015年のプロ野球も半分以上の日程を消化しましたが、今年は米国のメジャーリーグを自由契約となった藤川球児投手が独立リーグである「四国アイランドリーグplus」の高知ファイティングドッグスに入団されることが大きなニュースとなったり、ヤクルトスワローズにはミッチー・デニング選手という年俸360万円の選手がやはり独立リーグである「ベースボール・チャレンジ・リーグ(略称ルートインBCリーグ)」の新潟アルビレックス・ベースボールクラブから加入され、高年俸の選手に伍して頑張っておられる等々、何かと『独立リーグ』が話題になっています。そこで今回は日本プロ野球機構(NPB)とは別に存在する独立リーグについて記してみたいと思います。

現在日本で独立リーグとして野球の興行が行なわれているのは、2005年設立の四国アイランドリーグplus(現在4球団)、2006年設立のルートインBCリーグ(現在8球団)の二つのリーグです。過去には別のリーグが存在した時期もあったのですが、財政上の問題からリーグが消滅したり、チームが活動を停止したり、といったことを繰り返し、現在の形となっています。

選手はプロ契約を結んでいますが、基本的にはリーグの開催期間だけ給与が支払われる形態であり、雇用支援策を受けて生活費を稼ぎながらトレーニングに励むといった生活をされているようです。独立リーグが設立された当初はNPBの二軍でできるかなというレベルの選手が数人おられる程度だったようですが、今はドラフト上位で指名される選手がいたり、一軍で通用する選手が何人も出てきたり、といった具合で独立リーグ自体のレベルがかなり高くなってきています。

レベルが上がっていく過程の中では、各チームの指導層である監督・コーチに元プロ野球経験者が就任されたことが非常に大きな要因だったようです。四国の4チーム、BCリーグの8チームとも監督はすべて元プロ野球経験者ばかりです。少し名前をあげてみると、BCリーグでは石川ミリオンスターズの監督兼選手が元千葉ロッテのフリオ・フランコ氏、福島ホープスの監督兼選手が元ヤクルト・元メジャーリーガーの岩村明憲氏、群馬ダイヤモンドペガサスはシニアディレクターが元ヤクルト・元巨人等のアレックス・ラミレス氏(6月下旬からはオリックス・バファローズの巡回コーチも兼務)、監督が元阪神の川尻哲郎氏、新潟アルビレックス・ベースボールクラブの監督が元近鉄の赤堀元之氏といった具合です。

四国アイランドリーグでも高知ファイティングドッグスの監督が元ロッテ・元阪神の弘田澄男氏、香川オリーブガイナーズの監督を元広島の西田真二氏が勤めておられます。その他各チームのコーチにも元プロ野球経験者がかなりの人数就任されています。今シーズン途中からBCリーグの富山GRNサンダーバーズには、かつて近鉄、巨人でホームラン王を4回獲ったタフィ・ローズ氏が選手兼任のコーチとして就任されています。

また選手としては、今シーズン独立リーグでプレーしている元NPBの選手は外国人も含めて28人、その中には大家友和投手(富山GRNサンダーバーズ、元横浜・レッドソックス等)、河原純一投手(愛媛マンダリンパイレーツ、元巨人・西武等)、多田野数人投手(石川ミリオンスターズ、元インディアンス・日本ハム等)、ソト投手(群馬ダイヤモンドペガサス、元中日・DeNA等)といった名前も見受けられます。

またちょっと意外な感じもしますが、独立リーグでは現在40人近い外国人選手がプレイしています。アメリカの独立リーグからメジャーへの道は契約の関係もあって事実上遮断に近い状態になっているようなのですが、日本では独立リーグをステップにNPBから声がかかれば簡単に移籍することも可能であること、BCリーグでは当初はあった外国人枠を撤廃したこと等もあって、これだけ多くの外国人選手を引き寄せる要因ともなっているようです。

このように元NPBの選手が監督・コーチを勤め、NPBを経験した選手がプレーすることでプロの技術が随所に盛り込まれた結果、独立リーグのレベルは年々上がってきているようです。現在ヤクルトスワローズでプレーするBCリーグ出身のデニング選手は、外国人選手と独立リーグとNPBの関係についてこんなことを述べておられます。

「毎年外国人選手はメジャーリーグや2A・3Aから直接日本に来るので、日本の野球に馴染めず成功しない選手も結構多いように見受けられますが、自分は独立リーグではあるけれど日本の野球を2年間経験して学ぶことができたことが、今につながっています。(オリックスバファローズの)カラバイヨ選手や自分が活躍することで独立リーグのレベルの高さを証明して、NPBのチームが独立リーグから外国人選手を獲得すればいいじゃないか、という流れになれば嬉しいです」。

今やその存在が無視できないものとなってきた独立リーグですが、独立リーグの存在をはっきりと認知させた一人の選手がいます。その選手は2006年に四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに入団し、その年の秋のドラフト7巡目指名で千葉ロッテマリーンズに入団した角中勝也選手です。入団6年目の2012年に独立リーグ出身者としては初めてとなる首位打者となり、ベストナインにも選出されています。その後第3回のワールドベースボールクラシック(WBC)の日本代表にも選出される等、俊足好守巧打の外野手としてチームの中心選手のお一人として活躍されています。

角中選手の活躍はNPBのスカウト陣の独立リーグを見る目を変えたようで、かつてはついでに見ていた独立リーグを今や必ずいい選手がいるという確信をもって見るまでに変えたようですし、特に外国人選手の多いBCリーグの試合には、NPBのスカウトや編成担当が必ず見に来るまでになっているようです。角中選手以降も2013年秋のドラフトで2位指名を受け、香川オリーブガイナーズから中日ドラゴンズへ入団された又吉克樹投手や2011年秋のドラフトで福岡ソフトバンクホークスから育成2位指名を受けた後、今シーズンから支配下登録選手として中日ドラゴンズに迎えられた元香川オリーブガイナーズの亀澤恭平選手等、NPBの一軍でしっかり活躍できる選手が次々と頭角を現わしています。

昨年の春頃、自民党の日本経済再生本部が公表した政策提言「日本再生ビジョン」に日本のプロ野球を16球団に増やし、市場の拡大と地域活性化の可能性をさぐってみてはどうか、との提言がなされたことがあります。ただプロ野球関係者の多くが否定的な見方を示されたこともあり、話は盛り上がらずいつの間にか立ち消えになりました。しかし昨今の独立リーグが示す存在感は、自然発生的かもしれませんが、市場の拡大と地域活性化の芽を生み出しつつあるように見受けられます。

かつて高校・大学からプロ入りを希望してもドラフトの対象に選ばれなければ、社会人野球しか残された道がなかったのが、独立リーグを経てのNPB入りという明確な道筋がつきつつあることは、野球界の底辺拡大という観点からも大きな意味を持っていると思われます。月給が10万~40万円、しかもシーズン中しか支払われないという厳しい条件ですから、独立リーグの選手は野球だけで生計を立てることは出来ません。しかしそのハングリーな状況で、プロ野球経験者の指導を受けることでNPBの一軍でプレーをする選手が徐々に増えてくれば、間違いなく野球界全体の活性化と底上げにつながるものと思われます。

その為には数百人から2000人程度の観客動員がもう少し増えて欲しいなとも思いますし、マスメディアが色々な形で話題に取り上げて欲しいなとも思います。ハンバーガーをかじりながら、大好きな野球で少しでもうまくなりたいと厳しいトレーニングに励む独立リーグの選手たちを陰ながら応援したいなと思います。

(おわり)
2015/07/03

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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