柳田悠岐選手~まだ成長途上、規格外れのスラッガー【第44回】

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柳田悠岐選手~まだ成長途上、規格外れのスラッガー【第44回】

2015年のプロ野球も開幕後2ヶ月が経過し、今はセパ交流戦が行なわれていますが、同一リーグ内の戦いであったこの2ヶ月の最大のトピックスは、横浜DeNAベイスターズがセリーグの首位を守り切って交流戦に突入したことです。まだまだシーズンは長いですから、最終の結果がどうなるかは何とも言えませんが、横浜DeNAベイスターズが優勝争いの中にずっと居続けるなら、セリーグの戦いが例年にも増して活気あるものであることは間違いなさそうです。

一方パリーグは、日本ハムファイターズ、福岡ソフトバンクホークス、埼玉西武ライオンズが1ゲームずつの差で激しいツバぜり合いを演じています。今回はそのパリーグの選手の中から、以前から書きたいなと思っていた魅力あふれる選手を取り上げさせていただきます。その選手の名は福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐外野手です。

最初に柳田選手の名前の読み方はヤナギダではなくヤナギタ(yanagita)です。1988年10月生まれ、広島市出身の26歳の右投左打の外野手です。柳田選手は2010年秋のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスから2位指名を受け入団されていますが、この時にちょっとしたエピソードが残されています。

実はソフトバンクホークスの2位指名は、数名の候補者の中から現西武ライオンズの秋山翔吾選手(前回第43回で書かせていただきました)を獲る方向で固まっていたようなのですが、球団の会長でもある王貞治氏が「待て、(2位の指名候補の中では)誰が一番飛ばすんだ?」とたずねられたのに対し、スカウトの皆さんが「柳田です」と答えられたところ、寸前のところで2位指名は柳田選手に切り替えられたようです。

結局秋山選手は3位指名で西武ライオンズに入団された訳ですが、この二人が交流戦開始前のパリーグの打率1位と2位を分け合っており、何か不思議な縁のようなものを感じますし、今や日本を代表するバッターに育ちつつある、このお二人のどちらを指名するかの相談をされている様子に、王会長をはじめとするプロのスカウト達の見る目の確かさに感服してしまいます。

さて柳田選手は、広島商業高校、広島経済大学を経由して福岡ソフトバンクホークスに入団されていますが、第一線のレギュラーとしてのポジションを獲得されるまでには少し時間がかかっています。1年目の2011年は春季キャンプは新人では唯一人一軍キャンプに参加されるも開幕一軍はならず、結局一軍では6試合の出場に終わっています。ウェスタンリーグではソコソコの成績は残されたものの、三振数(85)リーグ2位、外野手部門失策数(5)リーグ1位タイと、まだまだ課題も多かった1年目です。

2年目の2012年は開幕一軍こそならなかったものの、6月に昇格した後は、初安打、マルチヒット、タイムリー初打点、初盗塁と徐々にステップを上げ、8月には特大の初本塁打、そして8月後半には生涯初となるサヨナラ本塁打(かつ2試合連続)を打ち、シーズン終盤の9月には猛打賞を記録、10月にはプロ初の満塁本塁打を打つなど、着実な進化の足跡を残されています。そして3年目となる2013年は開幕一軍入りを果たし、年間で104試合に出場し、初めて二桁本塁打・二桁盗塁を記録されました。

そして昨年2014年は年間144試合のすべてに中堅手として先発出場し、不動の地位を確固たるものとされています。5月に月間MVPを獲得したのを皮切りに、初のオールスターゲームでも甲子園球場でバックスクリーン左にホームランを打ってこの試合の最優秀選手賞を、シーズン終了時には打率.317(リーグ3位)、出塁率.413(リーグ2位)、盗塁33(リーグ2位)の記録をもってベストナインとゴールデングラブ賞も初受賞されました。まさにソフトバンクホークスの中心選手からリーグを代表する選手のお一人という立場にかけ上がってこられました。

柳田選手は50メートル走5.9秒、遠投125メートルという高い身体能力に裏打ちされた、俊足・強肩を生かした外野守備、そしてスピード豊かな走塁にも魅力があるのですが、それにも増して魅力的なのは、ゆったりした構えからギリギリまでボールを引きつけ目一杯体を回転させてのフルスイング、そしてジャストミートされた打球が一直線で外野スタンドまで運ばれた時の圧倒的な飛距離です。外国人選手に勝るとも劣らない日本人離れしたパワーの持ち主です。

シーズンオフには一緒に自主トレを行なっておられるオリックス・バファローズの糸井嘉男選手は柳田選手について「多分日本人では一番飛ばす。バケモン」「(自分よりも)飛距離はギータ(柳田選手の愛称)の方が2段階ぐらい上だと思う」と述べておられます。ご本人はトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を目標に掲げておられますが、そう遠くない将来に達成される可能性は十分あるように思えます。

ただ柳田選手のあの飛距離の映像を目にしてしまうと、いつの日かホームラン王を争うバッターになって欲しいなと思ってしまいます。交流戦に入る直前、パリーグで打率、出塁率は1位であるものの、ホームラン、打点はそれぞれ7位という成績に、素晴らしい成績と思いつつ、少し物足りなさも感じています。即ちホームラン部門でホームラン王争いをするような存在であって欲しいと願うからです。

福岡ソフトバンクホークスでは、ドラフト会議で王会長が「一番飛ばすのは誰だ?」と言って柳田選手を指名された時から、将来の4番候補として場を与えてこられたように見受けられます。今シーズンは不動の3番バッターですが、将来は押しも押されもしない4番バッターとなられる、今がその過程にあるのだとしたら、現時点の柳田選手はまだ成長途上を歩んでおられると言ってもいいのかもしれません。

遠くへ打球を飛ばせるという持って生まれた才能をいかんなく発揮し、我々観る者を魅了し続けて欲しいものです。40本、50本という高いレベルのホームラン争いをしながら、高い出塁率を誇り、塁に出たら盗塁もどんどん仕掛けてくるような選手がいたら、どんなに野球を観ることが楽しくなることでしょう。

遠くへ飛ばす力を持った、原石たる将来の4番候補を獲得し、場を与えながら着実に進化させているソフトバンクホークスの試みは、柳田選手ご本人の努力と相まって、三冠王と盗塁王を一緒に獲ってしまうような規格外れの夢を見せてくれるのかもしれません。とてつもない可能性を秘めた規格やぶりの柳田選手、これからの更なる進化と成長を楽しみに見守りたいものです。

(おわり)
2015/06/10

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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