高木勇人選手~黒豆王子、更なる活躍を!【第42回】

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高木勇人選手~黒豆王子、更なる活躍を!【第42回】

2015年のプロ野球が開幕して1ケ月が経過しました。毎年この時期の大きな楽しみは、今年入団した新人選手たちの活躍です。

しかしオープン戦の期間中はそこそこ活躍できた選手でも、本気のペナントレースに突入するやプロのぶ厚い壁にはね返され、もがき苦しむ姿を何度も見てきました。今年の新人選手の中でも開幕一軍の座を勝ち取り、しかもソコソコの活躍を見せてくれている選手はそれ程多くはありません。

現時点で名前の挙がるのは、広島東洋カープの野間峻祥選手(外野手・ドラフト1位)、横浜DeNAベイスターズの山崎康晃選手(投手・ドラフト1位)、倉本寿彦選手(内野手・ドラフト3位)、東北楽天ゴールデンイーグルスの福田将儀選手(外野手・ドラフト1位)、千葉ロッテマリーンズの中村奨吾選手(内野手・ドラフト1位)、読売ジャイアンツの戸根千明選手(投手・ドラフト2位)、高木勇人選手(投手・ドラフト3位)といったところでしょうか。今回はこれら新人選手の中から、読売ジャイアンツの高木勇人選手を取り上げてみたいと思います。

今年の新人選手の中では一人だけ異次元とも思えるような素晴らしい成績をあげている高木勇人選手は、1989年7月13日生まれ、三重県津市出身の25歳の選手です。小学校・中学校時代は軟式でプレーし、高校は地元三重県の海星高等学校に進学しておられます。海星高校では2年生の秋にエースの座を獲得されましたが、甲子園への出場はかないませんでした。当時から好資質の持ち主としてプロからも注目され、ご本人もプロを志望し、志望届を提出されましたが、残念ながらドラフトでの指名から漏れ、社会人野球の三菱重工名古屋に入社されています。

三菱重工名古屋では1年目から公式戦に出場し、2年目以降は先発・救援の両面で登板機会を増やし、社会人野球での実績を積み上げていかれました。結局7年間在籍された三菱重工名古屋時代に都市対抗野球の全国大会に6度出場(うち2度は補強選手)され、毎年のようにドラフト候補として名前は挙がるものの指名を見送られ続ける状態が続きましたが、ネックであった制球の悪さが改善され、2014年に急成長した姿を読売ジャイアンツの山下スカウト部長が高く評価された結果、昨秋のドラフトで3位指名を受けるに至ったようです。

社会人時代の7年間で体もすっかり大きくなり、当初60キロ台しかなかった体重が88キロになるまでに成長されたようです。そして今春のキャンプでブルペンに入られた際には、目を慣らす為に左打席に入った阿部選手に対し、胸元をえぐる厳しいカットボールを投げ込み、阿部選手が思わず「おー、ナイスボール」と声を出されるほど、度胸満点の投球を披露されたようです。そしてオープン戦でも1イニングのリリーフ登板から一歩一歩階段を上り、3イニング、5イニングと投球回数を増やし、3月29日の開幕第3戦のDeNA戦でプロ初先発の座を自らの力で勝ち取られました。そして本拠地東京ドームの大観衆の中でのプロ入り初先発、緊張するなということが無理とも思える状況の中で6回を投げて2失点、実に堂々たるピッチングでプロ入り初勝利をあげられました。

新人投手が恐いもの知らずで最初の登板で見事なピッチングをするというのは、これまでにも時々見られたことですが、高木選手の凄いところは、初登板以降の投球が実に素晴らしい点です。

プロ入り二戦目である4月5日の阪神戦では初めての完封勝ち、以降もローテーションを守って毎週日曜日に登板し、4月の登板を終えて、5試合に先発して36イニングを投げ4勝0敗、防御率1.50、勝ちのつかなかった試合も含めて、すべての試合を2失点以内に抑えておられます。アメリカの大リーグでよく使われているクォリティ・スタート(先発投手が6回以上投げて3失点以内に抑える)という指標にあてはめると、登板5試合がすべてクォリティ・スタートであり、もう非の打ちどころのない成績と言って過言ではありません。

高木選手の投手としての優れたポイントを何人ものプロの評論家が指摘されていますが、制球力と多彩な球種(シュート、フォーク、カーブ、原監督がタカギボールと命名された曲がりの小さいカットボール等々)、併せて内角を厳しくつける抜群のマウンド度胸に秀でた投手のようです。読売ジャイアンツOBで評論家の関本四十四氏などは、開幕1ヶ月の時点で早くも「今の高木勇人は球界NO1投手じゃないか」とまで言っておられます。原監督も「毎試合毎試合リズムがいいし、いつも非常にいいコンディションでマウンドに上がってくれている」と高木選手に対して最大級とも思える賛辞を送っておられます。

これ以上ない順調なスタートを切られた高木選手ですが、この選手がドラフト3位入団であったことを考えると、実は全球団が指名することが出来たということであり、他球団からすると逃がした魚は大きかったということになるのだと思われます。しかしこの選手を単独の3位で指名した読売ジャイアンツのスカウト部隊の慧眼こそが褒められるべきであり、アンチジャイアンツの私も伝統ある常勝球団の経営体質の力量を認めざるをえません。

高木選手にとってはこれからがプロとしての本当の試練の始まりと思われます。対戦相手は徹底的な研究をしてくるでしょうし、夏場に向かって徐々に消耗してくる体力をどう維持し、これまでと同じパフォーマンスを発揮し続けるか、大きな課題にも直面していかれるに違いありません。しかしこんな若者の登場は巨人ファンのみならず、アンチジャイアンツファンも含めてすべての野球ファンにとって、野球への関心をより強くしてくれるような気がしますし、高木選手と同期入団の全チームの新人選手がいい刺激を受けて頑張ってくれれば、それがプロ野球全体の活性化にもつながるような気がします。

高木選手は黒豆が大好物なことから「黒豆王子」という愛称で呼ばれるそうですが、これは社会人として入社した三菱重工名古屋時代の恩師である佐伯功監督が食事指導をされた際に「お菓子を食べるぐらいなら栄養価の高い黒豆でも食べろ!」と言われたことが発端で、それ以来黒豆を瓶に詰めて持ち歩くことが習慣になったようです。それを機に食への意識が変わり、体も大きくなり球威も増したそうですが、そんな高木選手を佐伯監督は「愚直なまでに素直な性格」と述べておられます。また東京ドームでの高木選手のヒーローインタビューは、マウンド上での不敵なまでの厳しい風貌とは打って変わり、思わず微笑みたくなるような、ほんわかした天然系の受け答えをしてくれるところに、人に愛される性格が如実に表われているような気がします。これから本格化する長いペナントレース、高木選手がどんな活躍を見せ続けてくれるのか、一野球ファンとして見守っていきたいなと思います。

(おわり)
2015/05/01

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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