筒香嘉智選手~若き4番への期待【第41回】

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筒香嘉智選手~若き4番への期待【第41回】

2015年のプロ野球が開幕しました。この原稿を書いている4月12日時点で5カードが終了しましたが、パリーグで異変が起こっています。昨シーズン最後の最後まで福岡ソフトバンク・ホークスと優勝を争い、今季はかなりな補強を行ない、優勝争いの有力候補と目されていたオリックス・バファローズの調子が上がらず、2勝12敗1分と早くも借金が10に膨らみ、非常に厳しい立ち上がりとなっています。

5位から上のチームはすべて勝率5割以上ですから、オリックスだけがパリーグのすべての借金を背負い込んだ形になっています。昨季は鉄壁であったリリーフ陣が打ち込まれるケースも目につき、チームスポーツにおいて歯車がいったん噛み合わなくなった時の恐さを見せつけられたような気がします。

一方セリーグは5カード終了時点で首位から最下位までが3.5ゲーム差の混戦ですが、僅差とは言え上位にいるのは昨シーズンBクラスであった横浜DeNAベイスターズ、中日ドラゴンズ、東京ヤクルトスワローズの3チームです。昨シーズンの上位チームである読売ジャイアンツ、阪神タイガース、広島東洋カープには、この序盤戦でそれぞれ4連敗、6連敗、7連敗という負けがあり、これが混戦に輪をかけているひとつの要因と思われます。

この混戦セリーグで健闘する上位チームの中から、今回は横浜DeNAベイスターズの若き4番打者の筒香嘉智(ツツゴウ ヨシトモ)選手を取りあげてみたいと思います。

筒香選手は1991年11月生まれの23歳、和歌山県橋本市の出身です。中学校卒業までは地元におられましたが、関西の強豪校からの誘いを断わって高校は横浜高校に進学されています。高校時代から長打力を高く評価されており、2009年秋のドラフト会議で当時の横浜ベイスターズから1位指名を受け入団されています。

入団当時から「ハマの怪物」との異名をとり、大いに期待されていましたが、入団から2年連続でイースタンリーグの本塁打王を獲得されているものの、この時点では1軍出場の記録は残っていますが、まだ華々しい活躍を見せるには至らず、雌伏の時期を過されています。

3年目の2012年に108試合に出場し、ご自身初の二桁本塁打(10本)は記録したものの、打率は規定打席到達者の中では最下位である.218しか残せず、伸び悩みの時期から脱するところまでは至りませんでした。

4年目の2013年はご自身初となる「6番・三塁」での開幕スタメンに選ばれましたが、開幕3連戦で1本もヒットが打てず、三塁のポジションを奪われた上に登録抹消されての二軍落ちを経験されるなど、ご本人にとっても辛く苦しい時期を過されたのではと推測されます。

その後一軍復帰されるも出場機会になかなか恵まれず、結局この年は23試合の出場で本塁打は1本という、入団2年目の記録も下まわってしまうような苦しいシーズンでした。

昨年2014年のシーズンは中畑清監督の意向で正式に左翼にコンバートされましたが、オープン戦で好調をアピールし、神宮球場でのヤクルトとの開幕戦では「5番・左翼」として2年連続の開幕スタメンを勝ち取られました。開幕直後はあまり打てずスタメン落ちも味わっておられますが、

その後自力で盛り返し、その後右太もも裏を痛めて一時的に二軍降格の時期はあったものの、その後はリーグトップの得点圏打率をマークし続けたことが評価され、自力で4番の座を引き寄せられました。

8月にナゴヤドームの中日戦で、打球を追ってセンターの梶谷選手と激しく交錯して地面に頭からたたきつけられ、一時戦線離脱を余儀なくされた時期があったものの、最終的に規定打席に到達し、ご自身初となる打率.300、22本塁打、77打点の好成績を残されました。得点圏打率.416は両リーグトップであり、勝負強い長距離バッターとの評価が定着しました。

そして昨シーズンのオフには日米野球の日本代表に召集され、今年3月のシーズン前に行なわれた欧州代表との試合にも日本代表メンバーに選出されるなど、少し遅かった感はありますが、今や日本を代表する強打者のお一人としての地位を確立されつつあるように思われます。

中畑監督は今シーズンを迎えるにあたって筒香選手をキャプテンに指名すると共に、年間143試合すべてで4番をまかせると宣言されました。そして筒香選手自身も「走者のいる場面では、なんとしてでもという気持ちでランナーを返すことだけを考えています。4番として全試合に出場し、自分がチームを引っぱるんだという気持ちでやっています。1年間試合に出続け、勝ちに貢献できる一打を打ちたい」と力強く語っておられます。

まだ開幕5カード15試合が終わった段階ではありますが、打率.345、本塁打3本、11打点と4番の働きを十分果たしておられます。中畑監督もこんな筒香選手に対して「筒香は皆が打って欲しいと思うところで打てる空気が出てきた」と大きな信頼を寄せておられます。

かつてヤクルト・阪神・楽天で監督をされた野村克也氏がエースと4番は育てることが出来ない、これは持って生まれた才能なんだ、という趣旨のご発言をされているのを目にしたことがあります。筒香選手に関しては、持って生まれた類いまれな才能をお持ちであったことは事実ですが、それ以上にこの選手を一人前に育てあげようというチームの意志と我慢して使い続けた中畑監督の忍耐の結実であったように思われます。

勿論、もがき苦しむ中で鍛錬、練習を怠らなかったご本人の努力があったことは言うまでもありません。そういう意味では、私には筒香選手は球団という組織が時間をかけてしっかり育てあげた4番打者という風に見えてきます。

今年の横浜DeNAベイスターズは、中核となる柱をドーンと真中に据えたチームの姿がはっきり姿を現わしました。そして今年の戦い方は、この中核を中心に試合の状況や選手の好不調を見極めながら様々な手が打たれていくのだと思われます。

打つだけなら、昨シーズン限りで読売ジャイアンツを解雇され今季より加入したロペス選手、昨年オリックス・バファローズから加入したバルディリス選手など、セリーグでも屈指の強力打線が形成されています。あとは中継ぎ・抑えのブルペン陣がより整備されてくれば上位争いも十分可能と思われます。

そんな中で中核となる4番打者の筒香選手がどんな働きを見せてくれるのか注目したいと思いますし、併せて筒香選手を通して横浜DeNAベイスターズの戦い方にも注目していきたいと思っています。

(おわり)
2015/04/15

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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