ダルビッシュ投手~海を渡った若者を応援する!【第14回】

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ダルビッシュ投手~海を渡った若者を応援する!【第14回】

2014年のプロ野球がまもなく開幕します。この時期だけはどのチームのファンも「今年こそは・・・」という思いで胸を躍らせているはずです。日本のプロ野球も大いに楽しみですが、海を渡った日本人メジャーリーガーの活躍からも目が離せません。私は中でもメジャーリーグ3年目で初めての開幕投手に指名されたダルビッシュ投手の今季を注目してみたいと思っています。という訳で今回は開幕間近のダルビッシュ投手について記してみます。

ダルビッシュ投手については今さら多くを語る必要はありませんが、高校野球で大いに活躍された後、2005年にドラフト1位で日本ハムファイターズに入団されています。プロ野球選手としてまさにスタートを切ろうとしたキャンプ前の自主トレでヒザを痛めたこともあり、最初のキャンプは2軍からのスタートとなったのですが、ここで大きな事件に遭遇してしまいます。

憶えておられる方もおられるでしょうが、キャンプの休日にパチンコ店で喫煙しているところを写真週刊誌にスッパ抜かれ、社会的な批判を受け、沖縄から千葉・鎌ヶ谷の球団寮に強制送還されています。そこで無期限謹慎と謹慎中の社会貢献活動を行なうことを命ずる処分を受けたのですが、謹慎中も練習をすることだけは許された為、体力づくりを中心に、中味の濃い充実した練習を積むことが出来たようです。

そしてこの時2軍の投手コーチとしてダルビッシュ投手が出会ったのが、前回「選手を支えるコーチの役割」の項で、田中将大投手のコーチとしてご紹介した佐藤義則コーチだったのです。余談ですが、日本人メジャーリーガーとして、今シーズンはアメリカでの活躍が期待される二人の若い大投手のコーチが共に佐藤義則コーチだったというのも単なる偶然とは思えないものを感じてしまいます。

佐藤コーチはダルビッシュ投手との思い出としてこんなことを語っておられます。ダルビッシュ投手の入団2年目(2006年)の春季キャンプのことですが、一軍キャンプで選手とコーチとして出会った際のことです。佐藤コーチはキャンプ中コミュニケーションの一環として選手とのキャッチボールを日課とされているようなのですが、初日にダルビッシュ投手を指名した際、何の予告もなくスライダーを投げられたそうです。佐藤コーチのスライダーは現役時代に西武の森監督をして、「パリーグで一番のスライダー」と言わしめた伝家の宝刀ですから、その鋭く横に変化するスライダーにダルビッシュ投手は驚いたそうです。

ところが逆にダルビッシュ投手は捕球しにくいカットボールを連投して佐藤コーチを翻弄したそうです。そのことについて、どんな反応をするか見てみようと思ったけど向かってくるなんて頼もしい奴だと思ったネ、と語ると共に、オリックス、阪神、日本ハムと3球団でコーチを勤めてきて対抗してきた選手は初めてだったとも語っておられます。

そんなダルビッシュ投手ですが、入団1年目は5勝5敗、防御率3.53、2年目は12勝5敗、防御率2.89という成績を残しています。高卒で入団された投手の2年間の成績としては立派なものではあるのですが、3年目(2007年)に初の開幕投手に選ばれてから大きくブレークし、押しも押されもせぬ日本ハムのエース、というより日本球界を代表する大エースに躍進していかれます。

ちなみに2011年のシーズン後にポスティングシステムでアメリカへの移籍が決定するまでの5年間、連続して開幕投手を勤め、その間15勝5敗、16勝4敗、15勝5敗、12勝8敗、18勝6敗、しかも防御率はすべて1点台という文句のつけようがない成績をあげられています。ちなみに防御率の5年連続1点台という記録は、「神様・仏様・稲尾様」と伝説に謳われる大投手・稲尾和久氏の記録を塗り替えた歴代1位の大記録です。

7年間在籍された日本ハム時代、通算成績93勝38敗、通算防御率1.99、1250奪三振という記録を残して、2011年シーズン終了後にポスティングシステムでテキサス・レンジャーズに移籍されました。アメリカへ渡って以降の2年間は16勝9敗、13勝9敗、昨年は最多奪三振のタイトルも獲得されるなど、素晴らしい活躍なのですが、防御率が1年目3.90、2年目2.83となっており、ストライクゾーンの違いやボールそのものの違い等の環境面への適応に少し時間がかかったのかな、という印象です。特に初年度の防御率3.90という数字には、日本での活躍を知っている者には少し信じられない思いでしたが、メジャーのレベルはそれぐらい高いのだということを改めて思い知らされた感じがいたします。

今シーズンよりカンサシシティ・ロイヤルズへ移籍された青木宣親選手がオープン戦で対戦したダルビッシュ投手のことを「これまでは日本人のメジャーリーグ投手だったが、もう完全にメジャーリーグの投手になっている」と評されたようです。素人には、この表現の真の意図は理解できませんが、この2年間の経験を経て環境にすっかり順応されたということかな、と解釈いたしました。日本ハム時代がそうであったように、メジャーリーグでの3年目を迎え、何か大きくブレークする、そんな予感を抱かせてくれます。

まだ進化の途上にあるダルビッシュ投手について現時点で何かを語ることは時期尚早の気がいたします。ただダルビッシュ投手の与えてくれるワクワク感は、戦後の荒廃期に東京通信工業として設立された会社がトランジスタを手にしたことで、ソニーとして世界に羽ばたいた歴史を思い起こさせてくれますし、未来への限りない可能性という点では、かつて岡田屋という屋号の地方の一流通業者が、合併によってジャスコに変身し、今やアジアの雄として日本を代表する会社となってまだ成長を続けるイオンの姿にも重なり合います。

才能のある若者が海を渡って活躍をする姿をながめるのは嬉しいものです。野球以外のスポーツでも日本の若者が海の向こうで頑張っていますが、そんな選手達にもエールを送りたいと思います。まもなく始まるメジャーリーグのプレーボール、皆さんとご一緒に楽しみたいものです。

(おわり)
2014/03/26

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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