楽天・星野監督に学ぶ人心掌握術【第7回】

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楽天・星野監督に学ぶ人心掌握術【第7回】

2013年のプロ野球は、楽天ゴールデンイーグルスが日本シリーズにおいて読売ジャイアンツを破って初の日本一の栄冠を手に入れ、幕を閉じました。楽天は球団創設以来9年目での日本一ですが、初年度の38勝97敗1分という、およそプロ球団とは思えないような状況を思い返すと、球団関係者のご努力がしのばれます。

2013年シーズンについて言うと、レギュラーシーズン24勝0敗という、奇跡としか思えない成績を残した田中将大投手の活躍があってこその優勝だったとは思うのですが、ジョーンズ選手やマギー選手というメジャーリーガーの補強と聖澤選手や銀次選手といった楽天生え抜きの若手選手とがうまく噛み合っての優勝だったと思われます。そして監督就任三年目で完全にチームを掌握された星野監督の手腕も大きな要素だったと思われます。星野監督は中日、阪神に次いで三球団目の優勝となりますが、これは三原監督(読売、西鉄、大洋)、西本監督(大毎、阪急、近鉄)に続く三人目の快挙とのことであり、まさに歴史的名監督の位置に立たれたのだと思います。

星野監督と言えば、かつては鉄拳制裁、闘将というイメージでしたが、今は年齢を重ね経験を豊富に積まれた為か、極めて論理的に納得づくで人を動かしておられるように見受けられます。星野監督はあるところでこんなことを言っておられます。「人を動かすと言いますが、行動の前に心を動かすことこそがリーダーの仕事だと思います。」

私がこの言葉をそのまま実践しておられるな、と感ずるのは、監督へのインタビューの中に何人もの選手の名前が実名で出てくることです。そのひとつの例は、守備の要として本当に大きな活躍をされた、二塁手藤田一也選手です。藤田選手は2012年のシーズン途中にトレードで横浜ベイスターズ(現DeNA)から移籍してきました。横浜時代から守備には定評のあった選手ですが、主に二塁、三塁、遊撃の控え選手であり、横浜時代は一度も規定打席に到達していません。楽天でも最初は守備固めでしたが、途中から二塁のレギュラーに定着し、今シーズンは

規定打席にも初めて到達し、二番二塁のレギュラーに定着され、シーズン終了後には二塁手としてパリーグのベストナインにも選ばれています。

田中投手が24勝0敗という成績をあげることが出来た裏では、実は藤田選手の守備に助けられていたということが何度もあったようです。そして星野監督はそういう藤田選手のことをTVインタビューや新聞記者の取材に対して、「カズヤが・・・・、カズヤが・・・・」と名前を連呼して賞賛しています。ある時には「一也の守備は10勝の価値がある」とか「現役時代の高木守道(前中日監督)を見ているようだ」と絶大な信頼感を口に出してもおられます。監督に、あるいは直属の上司にここまで言われたら、大半の日本人は悪い気はしない、と言うより、意気に感ずるのではないでしょうか?

日本シリーズは楽天の3勝2敗で迎えた第6戦、エース田中が先発するも中盤の5回・6回に4点をとられ、今シーズン初めての敗戦を喫することになりました。しかも160球を投げての完投負けです。ところが翌日の第7戦、3対0で勝利目前の楽天は最終回のマウンドに再びエース田中を送り出します。ヒット2本は打たれたものの見事におさえて胴上げ投手となりました。

試合後のインタビューで星野監督は「考えられないような継投だけれど、どうしてもいくって言うので・・・・」と答えておられますが、ここに星野監督の人の動かし方が如実に表れているように感じました。前日のくやしい思いを晴らしたいエースの気持ちをしっかり受け止めてやる、万が一田中投手が打たれたら責任のすべてをマウンドに送り出した監督の自分が負うという覚悟が見て取れます。

こういうマネジメントは、ひょっとしたら少し古いのかもしれません。しかし逆に今のような時代だからこそ、意気に感ずるようなシチュエーションを作ってあげることが思わぬ力を発揮させるような気がします。我々が日々マネジメントを行なう中で、星野監督のスタイルもひとつの参考になるのではないでしょうか?

(おわり)
2013/11/25

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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