プロ野球のGMって?【第6回】

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プロ野球のGMって?【第6回】

先日、二年前に中日ドラゴンズの監督を退いた落合博満氏が中日ドラゴンズのGMに就任されるという報道がなされました。今回はこのGMについて記してみたいと思います。

そもそもGMという言葉を初めて耳にしたという方もおられるでしょうが、英語のゼネラルマネジャーの略称です。日本のプロ野球でもこれまで何人かの方がGMという肩書でチーム運営に携わられましたし、GM的存在として球団代表や球団管理部長という名称で仕事をされた方もおられます。ただ役割は個々の球団によって違う為、GMの存在と貢献度が一般の野球ファンに広く認知されているとは言い難い状況だったように思えます。

一方、野球発祥の地であるアメリカでは、かなり役割が明確になっているようです。即ち、金を出すのがオーナー、チームの構想を作り、その構想に沿った選手を集める、要するにチーム編成をするのがGMの仕事。それに対してGMが編成したチームで実際の指揮をして最大の成果を出すというのがフィールドマネジャーたる監督の仕事、という役割分担です。

数年前にブラッド・ピットが主演した「マネーボール」という映画があったのをご存知でしょうか。この映画は実話に基づいています。アメリカ大リーグのオークランド・アスレチックスというチームのビリー・ビーンというGMのお話ですが、予算の少ない弱小球団であるアスレチックスというチームを強くする手段として、確率論に基づいて球団運営がなされ、それが成功してアスレチックスが快進撃をするというお話でした。ここではGMの役割が明確に描かれていました。

さて中日ドラゴンズの落合GMですが、落合氏のGM就任を決められた白井オーナー(中日新聞社会長)は「球団の予算に枠はかけるが、それ以外のすべては、落合GMと谷繁新監督の二人で決めてやってくれればいい」と明言されています。

即ち、どういうチームづくりをするか、その為にどういう選手を集め、どういうコーチ編成にするか、すべてを落合GMが決定する権限を手にされたのだと私は解釈しました。

まさにマネーボールに描かれたアスレチックスのビリー・ビーンGMと同じであり、アメリカ型のGM像が落合GMを通して日本型にアレンジされ、日本のプロ野球史上初めて、一般ファンにも理解できるようなGMの役割が示されていくのではないかととても楽しみにしています。

予算に枠がかけられているとすれば、何年も活躍して給料も高くなったレギュラー選手に対して、働き場を他球団に探してやり、代わりに才能には恵まれているが伸び悩んでいる二人か三人の選手とトレードをする、といったことが行なわれるかもしれません。選手のコンディションを最高に整え、的確な采配によって勝利を目指すフィールド・マネジャーたる監督とは、GMの役割は明らかに違いますし、場合によっては利益相反の関係になることも十分予想されます。

選手として三度の三冠王に輝き名選手の栄誉を欲しいままにされた落合氏、監督としての八年間でリーグ優勝四度、日本シリーズ制覇一回という輝かしい実績を残された落合氏が、今度はGMという立場でどう手腕を発揮していかれるのか、マネジメントを仕事とされている方々にはぜひ注目して見ていただきたいなと思います。

フィールドマネジャーたる監督にどう仕事をさせるのか、監督を支えるコーチの編成をどう組み立てていかれるのか、特に予算の総枠がかけられた中では重要になると思われる若手の育成(二軍・三軍)にどういう手を打たれるのか、日々の結果にはすぐ表れないところにも注目のポイントが出来て、来シーズン以降もプロ野球からは目が離せそうにありません。

(おわり)
2013/11/19

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筆者プロフィール

fukuyama福山義人氏 元 (株)CSKホールディングス社長
株式会社マネジメント・サポート 代表取締役 福山義人氏1949年生まれ。慶應義塾大学卒業後、現(株)SCSKに入社。創業オーナー大川功氏に師事し、新規顧客開拓担当、営業マネジャー、管理部門マネジャーを経て、2005年代表取締役社長に就任。退任後、(株)マネジメント・サポート設立。現在は、創業オーナーに仕えた経験と自らの社長経験をもとに、若手経営者へのサポート及び講演活動等に従事。

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