事業承継税制について

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事業承継税制について

自社株承継には税制も大きく関係します。自社株を譲渡するとき、贈与するとき、相続するとき、あらゆる場面で何らかの税金問題が絡むことになるからです。
また、最近の税制改正には、中堅中小企業の自社株承継を後押しする項目が含まれており、こうした税制を上手に活用する術を知っているかどうかで大きな違いが生じます。そこで、自社株の評価の基本的な仕組みに触れながら、上手な税制活用のポイントについて説明します。
(※HP担当注:2016.8.1現在の情報のため、以下は2017年税制改正の情報は反映されておりません。)

1 自社株評価の仕組み

後継者へのスムーズな自社株承継を検討するにあたり、まずは自社株の評価について知っておく必要があります。

1)自社株の評価方法

非上場会社の場合、自社株の取得者により評価方法が違ってきます。取得者が従業員であれば「配当還元方式」という比較的安い価格が算出される方法になります。しかし、親族の場合には「純資産方式」あるいは「類似業種比準方式」という、比較的高い価格が算出される方法になります。
したがって、後継者が自社株を買取る場合、その取引価格自体は当事者間で自由に決められますが、その取得価格が税法に基づいて計算した価格より安いときは、後継者に贈与税が発生します。

純資産方式

「純資産方式」とは、その会社の資産、負債を相続税法が定める一定の基準に基づき相続税評価額に置き換えたうえで、資産と負債の差額である純資産を株数で割って株価を計算する方法です。過去の利益の蓄積が大きい会社や大きな含み益を抱える資産を持つ会社はかなり高い評価額になります。
なお、ここでの純資産は、会社を清算する場合に発生する、資産の含み益にかかる法人税等に相当する額を控除して計算します。

図表 純資産方式の計算方法イメージ

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類似業種比準方式

「類似業種比準方式」とは、1株あたりの配当金、利益、純資産(1株当たりの資本金の額を50円とみなして計算します)を、類似業種を営む上場会社の平均値と比較して比準値(倍率)を出し、これにその上場会社の平均株価を乗じて株価を計算する方法です。
なお、非上場会社の場合には、株式市場が存在しないという特殊性を考慮して、会社の規模に応じた斟酌率(50%から70%)を加味します。この類似業種比準方式の場合には、最近の業績が良い会社や株主へ高額配当している会社は高い評価額になります。

図表 類似業種比準方式の計算方法イメージ

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2)会社規模区分と評価方法

次に、会社規模と評価方法の関係を見ていきます。
自社株の評価方法は、「純資産方式」と「類似業種比準方式」を自由に選択できるわけではありません。総資産価額、従業員数、1年間の取引金額により、会社の規模が大会社から小会社の5つに区分されており、どの区分に該当するかで、純資産方式になるのか、類似業種比準方式になるのか、あるいはこれらの折衷方式になるのかが決まるのです。
卸売業で、総資産価額が12億円、従業員数が48名、1年間の取引金額が55億円の会社の規模を判定すると、「中会社の大」という区分になります。

図表 相続税法上の会社区分

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次に、図表 会社区分による評価方法で「中会社の大」の場合の評価方法を確認して下さい。この会社が、純資産方式で1株30,000円、類似業種比準方式で1株10,000円としたら、その株価は、類似業種比準方式90%と純資産方式10%の折衷価格である12,000円か、純資産方式による価格30,000円のいずれか低い価格、すなわち12,000円になります。
なお、通常はここまでの説明どおりですが、会社が土地保有特定会社(総資産に占める土地等の割合が一定以上)など特殊な状況にある場合には評価方法が異なりますので注意してください。 

図表 会社区分による評価方法

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2 自社株の承継コストを検討する

自社株を後継者に承継する場合に大きな障害になるのが「高い株価」です。特に、子どもなど親族内で事業承継する会社は、業績も割りと良い会社が多いでしょうから、必然的に株価も高くなっているものと予想されます。ただ、非上場株式は、上場株式のように第三者に売却できるわけではありませんから、後継者に自社株を渡す前に何らかの手を打つ必要があります。
もちろん、自社株承継の対策が事業そのものに悪影響を与えてしまったら元も子もありません。あくまで後継者が引き継ぐ事業の価値を維持、成長させるための合理的な戦略という視点で考えていただく方が良いでしょう。

1)配当を検討する

一つめは、株主配当金の検討です。類似業種比準方式の計算方法で確認したとおり、株主配当金は株価決定要因の一つです。単純なことですが、1株あたりの配当金が低くなれば、類似業種比準方式により計算した株価が下がることになります。
ここでの配当金は基本的に普通配当金が対象ですから、この配当率を抑えて、創業記念配当金など特別配当金を導入すれば、1株あたりの配当金の額は下がります。もちろん、配当政策の変更については株主の理解が必要になります。

2)利益・純資産を検討する

二つめは、利益・純資産の検討です。これは株主配当金の見直しほど簡単ではありません。というのも、利益ある長期的成長に反するものではいけないからです。それでは、短期的な視点と中長期的な視点から確認していきましょう。

短期的な視点

代表的なものが、現社長の役員退職金です。現社長もどこかで必ず勇退時期を迎えますが、その時には、これまでの功績と労苦に見当たった退職金が用意されることになるはずです。この退職金支給後のタイミングこそ絶好のチャンスなのです。
役員退職金は基本的に損金(税法上の費用)になりますので、その支払い時には現金という資産の減少とともに、その期の利益(所得)を大きく圧縮します。利益と純資産をともに減らす効果がありますから、純資産方式による価格も類似業種比準方式による価格も引き下がることになります。

中長期的な視点

代表的なものが、高収益部門(事業)や成長が見込まれる新規事業を別会社化するものです。そうすることで、今後の純資産への利益蓄積をある程度防げますし、別会社に移す効果が期待できます。
高収益部門(事業)や成長見込み事業を分社化する方法としては、後継者中心の株主による新会社への事業譲渡や会社分割制度を活用した子会社化などがあります。
これらの対策について、税務上の検証を十分に行ったうえで、経営力を高める方向で取り組めれば効果の高い方法になりますし、その別会社を後継者に任せることで後継者育成や後継経営体制の準備ができます。

図表 自社株承継のコスト戦略

配当 ・普通配当の削減、特別配当の導入
利益純資産 短期 ・役員退職金の活用
・遊休資産の処分
・設備投資による特別償却の活用
・本社等の新築
中長期 ・高収益部門の別会社化(組織再編)
会社規模 ・合併等による規模のランクアップ
少数株主活用 ・中小企業投資育成、従業員持株会などによる第三者割当増資、売却

3)会社規模の変更

会社規模を変更することで、オーナー社長が持つ自社株の株価を引き下げる効果が出る場合もあります。
例えば、グループ経営組織の見直しや経営効率化の一環として2つの会社を合併するケースで、合併の結果、会社規模が中会社2社から大会社1社に変わる場合があります。
会社規模が大会社になれば、類似業種比準方式か純資産方式のいずれか低い価格が自社株の株価になります。もし、合併前の2社が純資産方式より類似業種比準方式の株価の方が低い場合には、合併で自社株の株価が引き下がることになります。

4)増資の検討

最後は、増資により発行済株式数を増加する方法です。増資の方法は株主割当増資ではなく、社長一族以外を引受け先とする第三者割当増資です。
第三者に新株式を引き受けてもらうことで会社の発行済株式数が増加します。その結果、類似業種比準方式における1株あたりの利益などが引き下げられ、社長一族が持つ自社株の価格総額が下がることになります。
第三者割当増資の引受け先としては従業員持株会が考えられます。持株割合のバランスを考えたうえで従業員に株式を持たせることで、安定株主対策になりますし、従業員のモチベーションアップにつながる効果も期待できます。

3 暦年贈与の活用

暦年贈与は、多くの方がご存じの一般的な贈与で、主な内容は次のとおりです。
1.贈与する人、贈与を受ける人のいずれにも制限はありません。
2.贈与する財産の種類、金額、回数に制限はありません。
3.年間110万円の基礎控除があり、これを超える部分に贈与税がかかりますが、金額が大きくなるほど税率も高くなる累進税率になっています。
累進税率であることから1年で大きな贈与を行うことはできませんが、コツコツと長期間にわたって計画的に活用することで大きな効果を得ることができるのが暦年贈与の特徴です。

図表 贈与制度の概要

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4 相続時精算課税制度の活用

1)相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度(以下「精算課税」といいます)は親から子への早めの財産承継を促すことを目的として2003年に創設されたもので、上手に活用すれば後継者への自社株承継に大いに役立ちます。精算課税の主な内容は次のとおりです。
1.60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫(相続人であること)が贈与を受ける場合に適用できます。
2.贈与する財産の種類、金額、回数に制限はありません。
3.2,500万円の特別控除枠に達するまでは贈与税はかかりません。これを超えた部分に一律20%の税率で贈与税がかかります。
4.税務署への届出が必要です。また、いったん選択したら取りやめることはできません。

2)相続時精算課税制度の計算例

1年目と2年目で各2,000万円、3年目で1,000万円、合計5,000万円の贈与を受けたときに贈与税がどうなるのかを次の図表にまとめました。
1年目は特別控除枠の範囲内で贈与税はかかりませんが、2年目は累計で2,500万円を超えた1,500万円に対して、3年目は贈与を受けた金額そのものに贈与税がかかることになります。
そして、相続時ですが、相続財産に精算課税を適用して贈与した財産が合算され、これに対して相続税がかかります。そのうえで、その相続税から精算課税による贈与税を控除して、最終的な相続税額が計算される仕組みになっています。

図表 相続時精算課税制度の計算イメージ

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3)相続時精算課税制度活用のポイント

精算課税を活用して自社株の承継を進めるときのポイントを確認しておきましょう。

自社株の早期移転に有効

従来からの贈与制度(暦年贈与)は、基礎控除額が少なく、これを超えれば累進税率により贈与税がかかりましたので、大きな金額を一度に贈与した場合には多額の贈与税を負担しなければなりませんでした。精算課税は年齢制限などの要件はありますが、非課税枠が大きく、これを超えても20%の税率ですから、比較的多くの自社株を早期移転させることが可能です。

好業績の会社の自社株に有効

精算課税は、好業績が予想される会社の自社株に活用するのが効果的です。
この制度を適用した贈与株式は相続財産に合算されますが、合算される金額は相続時点の価額ではなく贈与を受けた時の価額です。したがって、贈与後に好業績が継続し、株価が大きく上がったとしても、その増加部分に対する相続税相当額が節税できることになります。ただし、この節税効果はあくまで株価が上がる前提ですから、思わぬ業績悪化等で株価が下がった場合には逆効果になりますので、慎重に検討したうえで選択することになります。

5 納税猶予制度の活用

1)納税猶予制度の概要

納税猶予制度には、贈与税の納税猶予制度と相続税の納税猶予制度の2種類があります。

贈与税の納税猶予制度は、後継者が、先代経営者から全部または一定以上の自社株の贈与を受け、要件を満たす場合には、贈与前から後継者が保有していた議決権株式を含め発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、贈与税の全額の納税を猶予するものです。そして、猶予された税額は、先代経営者や後継者が死亡した場合など一定事由に該当したとき免除されることになります。

相続税の納税猶予制度は、後継者が、相続により自社株を取得し、要件を満たす場合には、後継者が相続前から保有していた議決権株式を含め発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予するものです。そして、猶予された税額は、後継者が死亡した場合など一定事由に該当したとき免除されることになります。

いずれの制度も、免除の時までにこの制度の適用を受けた自社株を譲渡するなど一定事由に該当した場合には、猶予税額の全部または一部を利子税と併せて納付しなければなりません。

2)制度活用におけるポイント

納税猶予制度の活用において大きなポイントとなるのが、先代経営者の要件、後継者の要件、認定対象会社の要件などをクリアできるかという点です。とくに、雇用の8割以上を5年間平均で維持するなどの「5年間の事業継続用件」についてはしっかり検討しなければなりません。

納税猶予制度は上手に活用できれば世代を超えた長期的な効果が見込めますが、要件がクリアできなかった場合には、猶予税額の一括納付をしなければなりません。とくに贈与税の納税猶予制度の場合には、猶予税額そのものが多額になるケースもありますので、慎重な判断が必要です。

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