経済効果2700億円!「鬼滅の刃」から私たちが学ぶこと

経営

衝撃的な経済効果!「鬼滅の刃」

2020年12月中旬のことです。衝撃的なニュースが飛び込んできました。

日本経済新聞の「『鬼滅の刃』ヒット桁違い」というニュース記事は読まれたでしょうか。

ご存知の通り「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が、「千と千尋の神隠し」を追い抜いて歴代1位になっています。

この影響によって東宝の興行収入(昨年11月単月)は前年同月比で「1063%」を記録しました。
まさに「鬼滅の刃」は報道通り、桁違いの効果を生み出したと言えます(106.3%ではなく、1063%!)。

この勢いは映画だけではありません。

最終巻が発売された日に書店へ来訪されたお客様の数は通常の2倍。

コラボ商品も軒並み大ヒットしています。
缶コーヒーは15倍。
歯ブラシは30倍。
レトルトカレーは57倍だそうです。

これほど「救世主」という言葉が似合う対象もないでしょう。

実に、関係各社において「鬼滅の刃」は救世主となったのです。
ビジネス的観点からして、拍手喝さいしたい気持ちにさせられます。

あっぱれな便乗商法!

とくに賞賛に値するのは、コラボ商品を打ち出した企業です。

よくぞ短期間で商品開発し、生産し、販売までこぎつけました。
各企業を心から賞賛したいと思います。

ディズニー映画や「ドラえもん」「名探偵コナン」といった、ヒットが確約されているシリーズものの映画なら、企業側もある程度の予測がつきます。

しかし「鬼滅の刃」のように、突然変異のように現れたメガヒットへの対応は、後手にまわり、便乗したくても、本当に便乗していいのかどうか、見極めはとても難しいものです。

「最初だけではないか」
「もう少し様子見したい」
という、一歩引いた感情との闘いになりがちです。

映画宣伝などのプロモーション商材は、「無形性」「消滅性」が高いという特性があります。

映画が「思った以上に伸びなかった」としても、途中でギアチェンジが可能です。
それは、形がないもので、在庫として残らないものが多いからです。

一方で、前述した缶コーヒー、歯ブラシ、レトルトカレーの商品特性は「無形性」「消滅性」がありません。形があり、在庫として残ります。

ですから、例年より15倍、30倍、57倍も売れた――

というのは、それだけ企業が、開発・調達・生産・物流・販売それぞれの活動に覚悟をもって経営リソースを確保し、投入したという証でしょう。

これは、簡単にできることではありません。

相当な経営的センスと、勇気がなければ、これほどの「桁違い」の結果を出すことなどないからです。

「流れ」に乗れるか?

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。

できるビジネスパーソンと、できないビジネスパーソンとでは、15分も話しているとだいたい見分けがつきます。そういう自信があります。

見分ける視点はいろいろありますが「ノリ」の視点から書くと、できないビジネスパーソンは総じて「ノリ」が悪く、そして「感度」が低いのです。

これだけ外部環境の変化が激しい時代に世間の流れを知る「感度」と、その流れに乗ろうとする「ノリ」が悪ければ、どんどん置いてきぼりになっていくことでしょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が好例です。

世界と比べ、日本企業のDX対応は完全に「ノリ」遅れています。

その「DX後進国」の日本において、とりわけデジタル対応が遅れているのが中小企業です。

1月7日の日経新聞にも、政府が成長戦略会議のもと中小企業のデジタル化を後押しするという記事が掲載されました。

日本の中小企業は就業者1人あたりの国内総生産(GDP)が、大企業の半分に満たないことからも必要性は自明です。

コロナの「第3波」が来て感染者が急増している現状でも、「テレワークは生産性が落ちるから」と、なかなか在宅勤務を推奨しない中小企業もあります。

生産性を上げるための努力をたいしてしてもいないのにもかかわらず、です。

つまり、こういう姿勢こそが「ノリ」が悪いと言えないでしょうか。

「鬼滅の刃」の空前のヒットに乗じて業績をアップさせた企業は、単に「勝ち馬に乗った」だけではありません。

バリューチェーンの全活動をも見直して掴み取った、素晴らしい英断がもたらした成果です。

このスピード感が、現代の経営には不可欠なのです。

コロナ禍において、業績を急減させている企業は多くあります。

しかしリーマンショック時と異なるのは、一方で業績を上げている企業もまた多くあるという事実です。

もちろん、何でもかんでも「ノリノリ」でやればいいということではありません。

しかし「ノリ」が悪く、チャレンジする習慣を身につけないと、どの「流れ」に乗ったらいいのか、その「見極めをする力」が衰えていくものです。

過去のやり方にこだわらず、緊張感をもって現代の「流れ」を敏感に受け止めましょう。

そして、ここぞというときに「流れ」に乗れる反射神経を私たちは鍛えなければなりません。

桁外れのヒットを続ける「鬼滅の刃」からは、まだまだ学ぶことが多いと私は思っています。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。支援先は、NTTドコモ、ソフトバンク、サントリー等の大企業から中小企業にいたるまで。3大メガバンク、野村證券等でも研修実績がある。企業研修は、基本的に価格がつけられず「時価」。にもかかわらず、研修依頼はあとを絶たない。現場でのコンサルティング支援を続けながらも、年間100回以上の講演実績は6年以上を継続。
ベストセラー「絶対達成シリーズ」の著者であり、メルマガ「草創花伝」は3.7万人の経営者、管理者が購読する。コラムニストとしても人気で、日経ビジネスオンライン、Yahoo!ニュースのコラムは年間2000万以上のPVを記録する。
著書『絶対達成マインドのつくり方』『「空気」で人を動かす』など著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
アタックス・セールス・アソシエイツ オフィシャルサイト
横山信弘の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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