上場企業になる狭き門をくぐるには?

経営

2018年7月にあずさ監査法人より、「2018年上半期のIPO動向」が公表されました。今回はこの情報を分析してみたいと思います。

2018年上期(1月から6月)に上場を果たした企業のうち約3分の2は売上規模が50億円以下でした。
経常利益が3億円以下の企業が全体の3分の2を占めていました。
また、半数近くの会社が会社設立後15年以内で上場を果たしていました。

また、みなさんが気になる資金調達額は、3分の2が10億円以下でした。
なかなか大型の資金調達は難しいようです。

私が今一番気になっていることは、上場を果たした企業数が減少していることです。

2018年1月から6月に新規上場を勝ち取った企業数は、36社でした。
2015年同期は43社、2016年同期は40社、2017年同期は39社でしたので、一貫して減少傾向にあります。

通期でも過去3年間は90社前後しか上場できていません。
上場を考えたいという相談が増えてきているという事実があるにも関わらず、実際に上場した社数は減っているのです。

最近、証券会社や監査法人の方々と話す機会がよくあります。
みなさんが口をそろえて言うには、「人が足りない」ということです。

証券会社でも上場準備をサポートできるようになるには、その専門性を長期間にわたり、磨いていく必要があります。
同じ会社であっても、他の部署から来てすぐに上場サポートができるわけではありません。

さらに、現在の働き方改革のため、長時間残業が難しい状況になっています。
この事情は監査法人も同様です。
働き方改革のために労働時間をある一定の枠におさめる必要があります。

一方で監査手続きは厳しくなり、既存クライアントにすべき手続きも増加傾向にあります。
したがって、これから上場を希望する新規クライアントに対してリソースを割くことができない状況にあるということです。

ということは、当面、新規に上場できる会社は年間100社以下とみるのが妥当ではないかと思います。
もし、上場を希望する場合には、この中に入る必要があります。

短期上場を目指すには、できるだけ早期に監査法人と、主幹事証券会社を見つけることです。
できるだけ早くこれらの上場関係者から合格点をもらい、前述の数十社の会社リストに乗せてもらうのです。

特に、労務管理の問題点(最近、未払い残業代があると、上場審査の致命的な障がいになる可能性が高いです)、経理体制の問題点、システムの問題点等を洗い出し、問題点を改善できるよう早く人員を配置・実行し、これが常に改善されていることを関係者に理解してもらうことが重要です。

アタックスグループは、上場特有の論点である資本政策の企画、実行から、実際の管理体制(内部統制の整備、運用までを含む)まで、幅広いサポート体制を構築しています。

上場を検討されている場合には、まずは弊グループまでお気軽にご質問ご相談ください

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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