「海外子会社」成功のための効果的な教育とは?

経営

先日、中国ビジネス40年というS社長と面談させていただく機会がありました。 S社長は中国で本業のビジネスを展開する以外に、経営リーダー養成学校も運営されています。

2005年の開校以来、卒業生は数百人を数え その多くは日系企業のキーマンとして活躍しています。
その活動は中国のトップ大学で広く認知されており、最優秀の学生のみが入学できる教育機関となっています。現在は、ベトナムとインドネシアでも開校されています。

S社長の言葉で印象に残ったことの一つに「最初から、テクニカルな経営管理手法(※)を教えてもダメ。なぜなら中国人は経営のイロハを知らず基礎がない。まずこれを教育することが大切である。基礎を教えないと経営管理手法の意義を理解できず猫に小判!」というのがありました。
※ここでは、カイゼンやQCなどの現場系手法のほか、予算管理・原価管理などの管理系手法も含みます。

日本人であれば、経営のイロハはある程度は理解しているもので、わざわざそれを教育する必要はないことが多いのですが、中国は、共産主義ですから、
「会社とは何か?会社は誰のものか?」
「理念とは何か?」
「利益とは何か?利益はどう使われるのか?」
といったイロハは、会社で教育されることはありません。

この知識不足が「利益は日本人が全部持っていってしまう」「会社の成績に関係なく処遇は最大限の要求をする」などの誤解や態度を生む要因になっているというのが、S社長の分析でした。
このため、S社長の学校では、経営のイロハを徹底的に教え、その後、リーダーとして必要な人間力、管理力、創造力を鍛えるとのことでした。

また、S社長の学校では、講師派遣や教育コンサルティングもされており、経営のイロハを教えることの重要性に気付いた企業から教育方法の見直し相談などが増えてきているとのことでした。中国では労務関係の悩みは尽きず、大きな問題になっています。
上記以外にも様々な要因があると思いますが、イロハ教育の不足から誤解が生じるというのは、説得力がある話だなと感じました。

中国で「経営のイロハ」に力点をおいて教育している企業はあまり多くないように感じます(経営管理手法教育はOJTを含めて、実施している企業は多いように思います)。

中国子会社で問題があるなら、教育のやり方を見直し、再構築されることをお勧めします。

アタックスでは、海外進出プランニングをご支援しています。ご関心のある方はお気軽にご相談下さい。

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筆者紹介

>株式会社アタックス 海外サポート室 室長 諸戸 和晃
大手住宅会社勤務を経てアタックス入社。株式公開、企業再生、M&A支援等のコンサルティング業務に従事。2011年より2年間北京赴任。赴任中は北京中央財経大学への留学、中国系会計事務所「中税咨询集团」(北京)で業務。帰国後、海外サポート室の室長として、中堅中小企業の海外進出に関する支援業務に注力している。
諸戸和晃の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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