相続税、贈与税に影響を与える固定資産税評価方法簡素化へ

固定資産税評価方法簡素化に向けて 税務

不動産を所有しているとかかる固定資産税。
今、この固定資産税について見直すという動きがあります。

平成28年3月29日の日本経済新聞朝刊に「過払い固定資産税、企業が奪還」という記事が掲載されました。

固定資産税は計算ミスの多発が以前より指摘されており、総務省の調査では09~11年度の3年間に全国で25万件以上の固定資産税の取り過ぎが発覚したようです。

ミスが多発している原因は何か?
固定資産税は評価額に税率を掛けて算定するのですが、建物の評価額については建築資材の原価を積み上げる方法を採用しており、膨大な作業となるためミスが起こりやすくなっているとのこと。

総務省は数年内にこの評価方法を見直す方向で検討に入ったようです。

なお、固定資産税の「奪還」についてはREITが先行して動いているようですが、一般企業も固定資産税を納付していますので当然、ミスを発見し税金の還付を受けることができます。

ただ、不動産鑑定士に確認したところ、評価方法が建築資材の原価を積み上げる方式であるため、「ミスの発見」は不動産鑑定士では対応できず、一級建築士等に依頼する必要があるとのこと。ハードルは少し高そうです。

また、この記事に関連し、平成28年4月15日の日本経済新聞朝刊の記事「固定資産税、評価法見直しへ」によりますと、東京都が検討会を設置、建物取得額をベースとする評価方法の簡素化の検討に入ったようです。

ミスが多発するくらい現在の評価方法が複雑なものとなっているため、固定資産税という「コスト」を前もって把握できない、この「投資の阻害要因」解消のためのようです。

納税者に納得してもらうべく、税金の算定方法について理屈を組み立てることも確かに必要なことなのでしょうが、そもそも複雑すぎてわからない、納税者が確認できない方法を採っていることは納得感以前の根本的な問題であると思います。
理屈だけでなくわかりやすさも大切なことです。

ちなみに、不動産を相続や贈与で取得する際、建物や路線価の付いていない土地については、固定資産税の評価額を基に相続税や贈与税を算定しますので、今回ご紹介した評価方法の見直しは相続税や贈与税にも影響を与えることになります。

今後の動向にも注意しましょう。

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筆者紹介

アタックス税理士法人 社員 税理士 村井 克行
1987年 南山大学卒。「会計税務の知の集結と事例の体系化」を確立すべく立ち上げた「ナレッジセンター室長」を務めた後、現在は、組織再編や相続対策など、最新の税法・会社法の知識を生かした永続企業のための総合的な支援業務に従事。誠実で緻密な仕事ぶりは多くのオーナー経営者から高い評価を得ている。
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