申告所得が過去最高額!~統計値からみた景況感

税務

顧問先の社長から「最近の景気は本当にいいんでしょうかね」といった質問(雑談)をよく受けます。

これに対する一つの回答として、最近国税庁から発表された統計値が参考になりますのでご紹介します。

10月に国税庁から発表された「平成26事務年度法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、法人の申告所得は総額58兆4,433億円で、これは過去最高の記録のようです。

いままでの最高額は、平成18事務年度の57兆828億円でしたので、数字の上ではリーマンショック(平成20年)前の水準も超えたこととなります。

また、申告件数279万4千社中、黒字申告の割合は30.6%となりました。

平成20事務年度に29.1%と初めて30%台を割り込み、平成22事務年度には25.2%まで落ち込みましたが、徐々に回復し7年ぶりに30%台となりました。

ちなみに、平成18事務年度の黒字申告割合は32.4%でしたので、以前よりも儲かっている会社と儲かっていない会社の差がついているのかもしれません。

次に、給与関係はどうでしょうか。

9月に同じく国税庁から発表された「平成26年民間給与実態統計調査結果について」をみてみると、民間の事業者が支払った給与総額は、203兆809億円で、ここ10年間の間で1番高額になっています。(平成18事務年度は200兆346億円)

給与所得者数も4,756万人で平成18事務年度の4,484万人より6%増加しています。

しかし、年間の平均給与(一年を通じた勤務した者)は、415万円に対し、平成18事務年度は435万円であり、▲5%となっています。

リーマンショック前の平均給与額(平成16~20事務年度)は435万円で、一番低かった平成24事務年度が408万円なので、全体的に給与総額は増えているものの、個人への支払いという点からすればまだ改善の途中であるといえます。

この背景には、一般的には企業業績の改善にワンテンポ遅れて給与水準の改善が行われやすいことや、為替等の営業外損益で稼いだことによる業績改善の場合は給与に反映されにくいことなどが考えられます。

これらの数字を見る限り、企業業績はリーマンショック前の水準とほぼ等しいところまで来ており、ここ数年で緩やかに改善されていますが、個人にまではその恩恵が十分には及んでいないということも事実のようです。

※尚ここ数年の人材不足による給与額の高騰は今後数値に現れるものと考えられます。

これはあくまで統計値であり、皆様の会社の状況と一致するものではありませんが、少なくとも今の景気は回復基調であり、その中で自社の状況が見合っているかどうかを見極める指標になると思います。

仮に自社の回復が遅れていると感じるのであれば、何が問題なのか、そのためには何をすべきかを今一度考えてみる必要があると思います。

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筆者紹介

愛知 吉隆アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士
1962年生まれ。中堅中小企業から上場企業に至るまで、約800社の税務顧問先の業務執行責任者として、税務対応のみならず、事業承継や後継者支援、企業の成長支援等の課題や社長の悩みに積極的に携わっている。
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