経営分析の目的~結果を見るだけでは意味がありません

会計

対策を行うから分析の意味がある

人の身体と同様、会社も定期的に健康診断を行うことが重要です。
それが経営分析です。

また、人が健康診断で“要注意”と出ればさらに精密検査を受け、結果次第では手術などの治療を受けるのと同様に、経営分析で経営上の問題点があれば、その「対策」に着手することが必要となります。

治療を受けなければ、健康診断を受けた意味もなくなってしまいます。
にもかかわらず、会社の経営分析となると、会議のための集計・分析は行っているものの改善策の検討は曖昧なまま、という会社をよく見かけます。
これでは経営分析をしている意味がありません。

経営分析は結果資料ではなく、将来のため、つまり、経営をより健全化するために行うものだということを、まず、よく理解してほしいと思います。

経営分析の基本的な考え方

さて、健康診断を受け、医師から検査結果を説明される場合、医師は健康状態を判断するいくつかの数値(たとえば、血糖値、コレステロールなど)を、

(1)前回の検査と比べてどう変化しているか
(2)健康な人の標準値と比べて異常はないか

を検討の上、本人の健康状態と今後注意すべき点、時としてさらに精密検査すべき項目、治療すべき項目などを教えてくれます。

会社の経営分析も健康診断と似ています。
経営分析は一般に次の二つの方法で行われます。

(1) 直近三年間の傾向値をチェックする

自社の過去四年分の決算書を基に、経営状態を判断するためのいくつかの経営指標を計算し、比較します。
その経営指標の直近三年間の傾向値をチェックすることにより、会社の経営がよい方向に向かっているのか、あるいは悪い方向へ向かっているのかを判断します。

(2) 業界の標準値と比較する

業界の標準値(優良会社または黒字会社の平均値)あるいはライバル会社の経営指標と比較します。
これにより、自社が業界標準値やライバル会社と比べて経営上の問題点がないか、劣っていないかを判断し、改善目標と具体的な行動プランを設定します。

経営分析で自社の問題点を発見し、処方せんを実行する

このように自分の会社を経営分析する目的は、決算書を時系列で分析し、あるいは業界標準値、ライバル会社と比較することにより自社の問題点を発見すること、そして自社の経営改善の目標値(計数基準)を設定、改善のための行動プランを実行することだと言えます。

仕事が忙しいからといって毎年一回の健康診断を怠り、自覚症状(体の異常)に気づいたときは取り返しのつかない病状になっているということはしばしば起り得る事態です。

会社の経営も人間の身体と同じです。年に一回は自社の決算書の健康診断を行い、問題点の早期発見と問題解決のための的確な処方せんを検討し、経営改善を行っていく必要があるのです。

毎年、役員研修で自社とライバル会社の経営分析を行っているT社の例で見てみましょう。

T社は上場会社で大変財務バランスの良い優良会社なのですが、事業年度が終了するたびに業界トップの会社(公開企業)と自社の経営指標を比較することにより、社長以下役員全員で「上には上がある」という危機意識を持ちつづけ、業界トップ企業をいつかは追い抜くことを目標に経営を行っています。

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筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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