収益性の分析(その1)~売上高総利益率

会計

収益性の分析とは、損益計算書の売上と費用と利益の状態を検討することによって、会社の利益獲得の力を判断しようとするものです。
収益性指標としては次のものが存在します。

(1) 売上高総利益率
(2) 売上高営業利益率
(3) 売上高経常利益率
(4) 付加価値率

 

(1)売上高総利益率

売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100

 
売上高総利益率は、「売上総利益」と「売上高」との関係を示しており、会社が販売している商品や製品の「利益率(販売マージン)が高いかどうか」を表しています。
(「売上総利益」と「売上高」は下図で確認してください。)
損益計算書とは

売上高総利益率は業種・業態によって大きな差がでます
一般的に言えば、労働集約的な小売業、サービス業が製造業や卸売業と比べて高くなります。

また、市場におけるライバルとの競争状態、好況・不況といった経済環境、会社の販売戦略の違いといったいろいろな要因で変化します。

たとえば、市場にライバルが出現すれば競争が激しくなり利益率は低下します。
また不況時にも利益率は一般に低下します。
また薄利多売型の販売戦略をとれば、当然利益率は低下します。
インターネットを使った通信販売では販売コストがかからないこともあって利益率は相当低くなっています(低くてもやっていける)。

「売上高総利益率」を見るポイント

売上高総利益率を検討する上で大切なことは、同一業種の中で同じような販売戦略、販売方法を採用している同業他社と比較して自社の優劣を判断することです。

たとえば、ドラッグストアを多店舗展開している小売業の場合、売上高総利益率が同業他社と比べて3~4%も違うと会社の収益力に大きな差がでます。

しかも実際、この程度の差がでることは十分起こり得ることであり、自社が劣っているとすればその原因を分析し、対策を立てることが必要です。

原因は店舗の品揃えの不備(売れる商品を欠品させている、付加価値の高い商品を扱っていない)、あるいは店員の商品知識不足で付加価値の高い商品の販売チャンスを逃してしまうといった販売面に関することがまず考えられます。

物流センターが不備で大量仕入体制ができていないためメーカー問屋に仕入の値下げ要求ができない、あるいは在庫管理が不備のためロス率が同業他社に比べて高い、といった仕入在庫管理面に関する原因なども考えられます。
利益の獲得力(その2)~売上高営業利益率、売上高経常利益率、付加価値率」につづきます。

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筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 丸山 弘昭
数百社のクライアントについて「経営のドクター」として、経営・税務顧問、経営管理制度の構築・改善、経営戦略・経営計画策定、相続対策・事業承継、M&Aなどを中心としたコンサルティング業務に従事。幅広いネットワークと数多くの実績を生かし、経営者の参謀役、「社長の最良の相談相手」として活躍中。
丸山弘昭の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
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